米家計債務が過去最大、インフレ直撃で返済遅延も増加-NY連銀調査

5/15 2:41 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米国の家計債務が過去最高を更新し、返済に苦しむ借り手が増えている。

ニューヨーク連銀が14日に公表した調査報告によると、家計債務は1-3月(第1四半期)に17兆7000億ドル(約2769兆5200億円)と、前四半期から1840億ドル(1.1%)増加した。

このデータはインフレ率が上昇する中で、米国の家計への圧力が高まっていることを浮き彫りにしている。上昇が続く食料品や家賃などが家計を苦しめ、生活必需品の購入にクレジットカード残高を膨らませざるを得ない状況になっている。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、消費者の債務は3兆4000億ドル増え、増加分は格段に高い金利を負担している。

報告書によると、クレジットカード債務総額は1兆1200億ドル。昨年10-12月(第4四半期)の1兆1300億ドルからわずかに減少しているが、これは消費者が休暇中に発生した債務を支払うという季節的なパターンに沿ったものだ。しかし、2020年第1四半期からは25%近く増加している。

今年3月現在、債務残高の3.2%が何らかの返済遅延状態にある。これは19年第4四半期より1.5ポイント低いままだが、全ての金融商品で遅延率が上昇した。

クレジットカード利用率の幅が広いことも示された。クレジットカード利用者の約6人に1人は、信用枠の90%余りを利用している。信用枠を60-90%利用している割合は11%だった。

ニューヨーク連銀家計・公共政策調査部のジョエル・スカリー氏は「24年第1四半期にクレジットカードと自動車ローンが深刻な遅延のカテゴリーに移行した比率は全ての年齢層で上昇を続けた」と指摘。「クレジットカードの支払いを延滞する債務者が増加し、一部の家計で経済的困窮が深刻化していることが明らかになった」と分析している。

自動車ローンの返済が23年に月平均738ドルに跳ね上がったため、自動車ローンも返済遅延が増えている。自動車ローンの2.8%近くが90日以上遅延しており、これは300万台余りに相当する。自動車ローンは住宅ローンに次いで2番目に大きな債務カテゴリーであり、残高は1兆6200億ドル。

家計債務で最も多いのは住宅ローンで、全体の70%以上を占めている。この負債は良好な状態にあるが、住宅所有者はホームエクイティー・ローン(住宅価格からローン残高を差し引いた持ち家の正味価値を担保とする融資)という形で、蓄積された住宅価値を活用する傾向が強まっている。

ホームエクイティ-・ローンは第1四半期に160億ドル組成された。これは08年以来の大幅な増加で、過去1年間では370億ドル増えた。

原題:Overdue Bills Rising With US Debt Delinquencies, Fed Survey Says(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/15(水) 2:41

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