ロシアがバルト海境界の一方的な変更計画、近隣諸国は激しく反発

5/22 21:35 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ロシア国防省はバルト海海上の境界線を一方的に変更し、北大西洋条約機構(NATO)加盟国と隣接する地点まで領海を拡大する計画を打ち出した。だがリトアニアやフィンランドの激しい反発に遭い、計画は政府ウェブサイトから説明のないまま削除された。

一般意見を募るため同国政府のウェブサイトに公表された文書によれば、国防省はロシアの領海を計算する際の位置座標を修正したいと説明。この計画を正当化する根拠として、1985年にソ連で可決された文書を引用した。

削除前にロシアの主要通信社3社は匿名の「軍事外交筋」の情報として、政府にはバルト海の境界線や領海を書き換える計画はないと伝えた。文書が公表された理由には触れていなかった。

公表された文書に、バルト海に面する近隣諸国は激しく反応。ロシア大統領府のペスコフ報道官は政治的な意図はないとしつつ、文書を否定することはせず、ロシアは安全保障を確保するため「適切な措置」をとる義務があると主張した。

リトアニアのランズベルギス外相は22日、ロシアは「バルト海におけるその意図について、不安と不透明性、疑いを広げようとしている」とX(旧ツイッター)への投稿で指摘。「北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に対する明らかな挑発のエスカレートで、それに見合う断固とした対応で当たるべきだ」と続けた。

ロシアは変更対象の地点や境界線をどう引き直すのか具体的には明らかにしなかったが、修正する場合は本土とバルト海の諸島、とりわけフィンランド湾と飛び地のカリーニングラード州周辺の国境地帯に影響が及ぶ可能性があるとしていた。

フィンランドのバルトネン外相は、沿岸国の管轄海域については国連海洋法条約によって規定されており、ロシアも署名国として同条約を順守する義務があると指摘。「混乱の種をまこうとするのは、支配力を及ぼそうとするハイブリッド戦術の一部だ。フィンランドは惑わされない」とXに投稿した。

原題:Russia Pulls Notice of Baltic Sea Border Plan That Raised Alarm(抜粋)

--取材協力:Milda Seputyte、Kati Pohjanpalo.

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最終更新:5/22(水) 21:35

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