「必死に感情抑え」大谷選手会見を心理分析家が解説 「え~」を多発、口を一文字にする表情の意味

3/26 17:32 配信

東洋経済オンライン

 ドジャース・大谷翔平選手は、自身の通訳であった水原一平氏が関与したとされる違法賭博問題に関して、声明を発表しました。声明発表時における大谷選手の言動から心理を推測します。大谷選手は、元通訳の違法賭博にどのような認識を抱いていたのでしょうか。

 冒頭、大谷選手は、チーム関係者、ファン、メディア関係者に向けて感謝の意を示し、現在進行中の調査であることから話せることに限りがあるという制約を述べたうえで、次のように発言します。

■大谷選手は何かを隠している? 

 「え~まず初めに、え~僕自身は、え~何かに賭けたりとか、え~誰かに代わって、え~その~スポーツイベントに賭けたりとか、え~それをまた頼んだり、え~ということは、ないですし、え~まぁ、僕の口座からブックメーカーに対して、え~誰かに送金を依頼したことももちろんまったく、え~ありません。え~まぁ、本当に数日前まで、え~まぁ彼が、え~そういうことをしていたというのも、まぁまったく知りませんでした。え~まぁ結論から言うと、え~彼がまぁ、僕の、え~え~口座から、お金をえ~盗んで、え~なおかつ、え~まぁ皆、僕のまわりもそうですね、皆に、え~まぁ嘘をついていたというのが、え~まぁ結論から言うとそういうことになります」

 私は、この冒頭を観て、「大谷選手は何かを隠しているのではないか」と感じました。大谷選手は、言葉では違法賭博の関与を明確に否定しています。

 一方、非言語では「え~」「まぁ」というパラ言語や口を一文字にする表情が散見され、認知的な負担(頭がいっぱいの状態)を抱え、感情を抑制している様子がわかります。これら非言語の特徴は、さまざまな研究からウソのサインだということがわかっているからです。

 しかし、ここで判断するのは早計です。人は、自身が疑惑の渦中にいたり、身近な人が犯罪に関わっていたりすれば、感情的になり得ます。言えることと言えないことがあれば、その判断に頭がいっぱいになることもあるでしょう。

 そこで、本会見時において真実を話しているときの状態と比べる必要があります。真実を話しているものの、感情的になりえて、認知的負担を抱えうる場面との比較です。

■確からしい発言時に生じる言動と比較すると…

 冒頭から続く、疑惑が持ち上がったときの場面描写です。

 「え~ま、まず、初めに言うと先週末、え~韓国ですね。え~僕の代理人に対してメディアの、え~方から、え~私が、え~僕の方にですね、え~違法のブックメーカーから、え~僕が、え~関与しているのではないかというスポーツバクチ、スポーツ賭博について、え~関与しているのではないかという打診が、連絡がありました。…略…え~まず初めに代理人には、え~一平さんは僕と話してわかったのは、え~一平さんにではなく、某友人の借金の肩代わりとして、え~支払ったというふうに、え~僕の代理人含めてみんなに話していました」

 この発言が証拠に基づいて事実と判断されているわけではありませんが、メディアから大谷選手の代理人へ疑惑が伝えられたことはこれまでの報道から確からしく、友人の借金の肩代わりを水原氏がしたとみんなに話したということは、「みんな」に確認することで裏付けが可能な供述ですので、事実と仮定します。

 この場面において、大谷選手から「え~」というパラ言語と口を一文字にする表情が散見され、認知的な負担を抱え、感情を抑制している様子が確認できます。これらは、疑惑を否定した冒頭の発言時とほぼ同様です。

 真実を話しているときも疑惑を否定しているときも、ほぼ同様の感情ということです。したがって、大谷選手の声明は、真実の可能性のほうが高い、とこの会見時の言動から推測します。

 ただ、冒頭発言時に口を一文字に結ぶ表情がやや多く生じていることや声明全体の中で登場人物のやり取りがほとんど語られていないことから、「言うに言えないこと」があるのだと推測されます。しかし、これ以上の推測はできません。続報を待ちましょう。

■感情が高ぶった場面

 大谷選手の感情が最も高ぶったと思われる場面は、会見終了間際。やや呼吸が乱れ、眉はハの字になり、下唇を小刻みに震わせ、口はへの字になりながら、次のように発言します。

 「ま、正直あの~ショックという~(鼻から抜ける音)~ま、言葉が、ま~正しいとは思わないですし、え~ま~それ以上の、ん~うまく言葉では表せないような、え~感覚でこの1週間ぐらいは、ずっと過ごしてきたので、今はそれを、ま、言葉にするのは難しいなっていう、思っています」

 長年苦楽を共にしてきたパートナーを失ってしまった大きな喪失感が伝わってきます。

 大谷選手は、「今日は…略…これがお話しできるすべてなので、質疑応答はしませんが、これからさらに進んでいくと思います」というメッセージで締めくくります。このとき大谷選手は、軽く口角を上げ、笑顔を見せました。

 今はネガティブな状況だけど、良くなっていくだろうという期待が感じられます。これからの大谷選手の活躍と事態の推移を見届けたいと思います。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:3/26(火) 17:32

東洋経済オンライン

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング