ウクライナに「パトリオット」追加提供を、ドイツが米国に働き掛け

4/23 21:01 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ドイツ政府は米国に対し、ウクライナに地対空ミサイルシステム「パトリオット」を少なくとももう1基供与するよう促している。ロシアが攻撃を強める中で、ウクライナ防空網の穴を埋める一助とする狙い。事情に詳しい関係者が明らかにした。

匿名を条件に語った関係者によると、ドイツは北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の他の加盟国にウクライナの防空支援強化を訴えており、米国への圧力もその取り組みの一環。ドイツは今週、フランスやイタリアなど他のEU加盟国に何が供与可能か洗い出すよう働き掛けを続けるという。

ロシアがウクライナを侵攻して以降、兵器供与に消極的だとしてやり玉に挙げられることも多かったドイツだが、こうした働き掛けは積極的な関与へと姿勢を転じたことを示す。ただ、ショルツ首相は長距離巡航ミサイル「タウルス」の提供には依然抵抗し、供与すればドイツが戦争当事国になるリスクが生じるとの主張を続けている。

それでも激しさを増すロシアの攻撃でエネルギーや都市のインフラ破壊が続くウクライナへのパトリオットなど防空システムの追加供給に、ショルツ氏は先頭に立って取り組んでいる。同氏は先週、3基目のパトリオットを提供すると表明、他のEU加盟国からさらに6基の供与が近くあるはずだと語った。

3基のパトリオットはドイツ軍が保有する4分の1に相当し、比率では米国の供給をはるかに上回る。ドイツはこのほか、「Samp/T」や「NASAMS」、「ホーク」、「IRIS-T」などの地対空ミサイルシステムやその部品、資金の提供を呼び掛けている。

ウクライナは今月、少なくとも7基のパトリオットを追加供与するよう西側の支援国に要請した。だがこれまでのところ、提供を確約したのはドイツのみにとどまっている。

ドイツのハーベック副首相兼経済相は22日、公共ラジオ放送、ドイチュラントラジオ(DLR)とのインタビューで、「極めて多い数のドローンやミサイル」がウクライナを標的にしていると指摘、同国は防空システムを今すぐに必要としていると語った。

「米国がパトリオットを提供できるなら、甚大な助けになるだろう」とも述べた。

米国家安全保障会議(NSC)の報道官はすぐにはコメントの要請に応じなかった。

原題:Germany Urges US to Send Kyiv Another Patriot Missile System (1)(抜粋)

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最終更新:4/23(火) 21:01

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