株式週間展望=米利下げペース見極め、日銀会合にも不確実性
日経平均予想レンジ:3万7500-4万500円
日本株相場は今週、日経平均株価が取引時間中としては2カ月ぶりに4万円台を回復する場面があった。ただ、週末13日は米物価系指標の上ブレを背景に反動安に見舞われ、レンジ上抜けとはならなかった。日米の金融政策に対する織り込みが終盤を迎える中、来週もインフレをめぐる消費系の重要な経済統計の発表が控える。
<日経平均、レンジ抜けず>
日米の中銀イベントを翌週に控えた今週は、想定内に収まった米11月CPI(消費者物価指数)の上昇率や、日銀の12月追加利上げの見送り観測を手掛かりに、日経平均が12日に4万91円(前週末比1000円高)を付けた。9月中旬以降のもちあいの上限ゾーンに到達し、8月の暴落後の戻り高値(10月15日の4万257円)に接近した。
ただ、同日に米国で出た11月PPI(生産者物価指数)は、前月比プラス0.2%(前月は同0.3%)の市場予想に反して同0.4%に伸びが拡大。これを受け、投資家は再び身構えた。12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ期待後退により米株が下げ、翌日の東京市場でも日経平均が一時前日比で600円超値下がりした。
米11月PPIに関しては、警戒するほどの内容ではないとする意見も聞かれる。鶏卵価格の上昇が上ブレの主因であり、鳥インフルエンザによる一時的な影響ととらえることができるためだ。FRB(米連邦準備制度理事会)が重視するPCE(個人消費支出)デフレーターにかかわる項目は抑制されており、利下げペースについての確度を揺るがすには至らないとも考えられる。
それでも実際にリスクオフムードが生じたように、18日のFOMCや来年の金融政策の方向性に対する警戒感は根強い。20日に出る11月PCEデフレーターの市場予想は、前月比のコアベースでプラス0.2%と前月(同0.3%)から鈍化する見通しだ。
また、それに先立ち17日には米11月小売売上高も発表される(市場予想は前月比0.5%増)。ブラックフライデー(感謝祭翌日のセール、今年は29日)のオンライン販売は昨年以上に高い伸びだったと伝わっている。こちらもコンセンサスを上回る結果となれば、インフレへの懸念が再燃する恐れがある。
<イベント通過でアク抜けか>
一方で、日本国内では日銀の次の一手に注目が集まる。前月末に報じられた日本経済新聞によるインタビューから、マーケットは追加利上げの時期が近づいてきているという植田総裁の言質を取っている。実際、OIS(固定金利と変動金利を交換するスワップ取引)市場では、来年1月の金融政策決定会合までに8割の実施確度が織り込まれている。
12月19日の会合に関しては、日銀は利上げを温存するとの見方が優勢だ。ただ、それを見越してドル・円が上昇しつつあるだけに、早期の引き締めに動く可能性を完全に排除することはできない。そのため、やはり様子見ムードは払しょくされないと考えられる。
ただ、仮に日米の12月の金融イベントが市場の思惑に沿わない結果になった場合でも、悪影響は一時的にとどまると考えられる。また、無風となれば、素直に株式への好材料ととらえられそうだ。
12月は株高の季節性があり、日経平均は年内4万円台での着地が十分に期待できる。来週はキオクシアホールディングス<285A>(プライム)(電気機器)の上場(18日)や国内の11月CPI(20日)、中国の11月小売売上高など(16日)、米11月住宅着工件数(18日)、マイクロン・テクノロジーの決算(18日)も注目される。
重要イベントがある週なので、日経平均の予想レンジは3万7500-4万500円と広めに取る。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:12/14(土) 8:06