(ブルームバーグ): 日本銀行の植田和男総裁は22日、大規模な金融緩和政策の見直し後の国債買い入れについて、市場における今回の政策変更の消化状況を見極めてから減額を実施する考えを示した。参院財政金融委員会で答弁した。
植田総裁は、日銀が19日の金融政策決定会合で長短金利を操作対象とするイールドカーブコントロール(YCC)を廃止したのに伴い、「長期金利の形成は基本的に市場に任せる」と指摘。その上で、長年にわたって国債市場に介入してきた経緯を踏まえ、国債買い入れの減額は「とりあえず、現在の政策変更が消化される様子を見てからと考えている」と語った。
黒田東彦前総裁が2013年4月以降に推進してきた異次元緩和は「円高を鎮め、経済の下押し圧力を緩和し、その後の大幅な雇用の増加と企業収益の改善に繋がったと」と評価。それを基に、「昨今のインフレ率、特に基調的なインフレ率の上昇が現在生じてきている」との見解を示した。
日銀は今回の会合で、世界で最後のマイナス金利(マイナス0.1%)を解除し、17年ぶりの利上げを決定。YCCの廃止や上場投資信託(ETF)の新規購入の停止も決めた。市場では今後の利上げペースに加え、国債買い入れ方針を含むバランスシートの行方も注目されている。
日銀の保有国債残高は昨年12月末時点で585兆円と残高全体の47.9%を占めた。昨年は約592兆円だった日本の名目国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する規模となっている。
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--取材協力:氏兼敬子.
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最終更新:3/22(金) 12:32
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