株式週間展望=中銀ウイーク、グロースと金融株をマーク
現在値 | ||
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三菱UFJ | 1,448.5 | -1.50 |
日経平均予想レンジ:3万5000-3万7000円
今週の日本株相場は12日の突出した上げを除くと低調な商状が続き、買い上がる動きは乏しい状況だ。来週は国内で日銀金融政策決定会合、米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)が控える中銀ウイーク。円高を警戒しつつ、グロース(成長)株と金融株をマークしたい。
<不透明要素多くエネルギー不足>
日経平均株価の13日終値は3万6581円で、前週末(3万6391円)をやや上回った。ただ、12日に今年3番目の上げ幅(1213円高)を記録した以外は軟調で、直近のサイコロは3勝9敗と大きく弱気に傾いている。
8月5日の大暴落後の強烈な戻り相場は鳴りを潜め、根強い米国の景気先行き不安や、頭をもたげつつある日銀の追加利上げリスクを前に、指数は上値が重い。好業績株の下値を拾う動きはみられるものの、円高が買い意欲をそぐ。
足元の東証プライム市場の売買代金は4兆円内外の水準以上には膨らみにくく、エネルギー不足が鮮明だ(今年の1日当たり平均売買代金は13日時点で約4.6兆円)。薄商いの中で、目新しくもない材料に乗じて短期資金を転がす、ヘッジファンドの「フリーバッティング」の場になってしまっている感が否めない。
11月5日の米国の大統領選まで同国の政策の方向性が定まらず、日本も事実上の次期首相決定イベントである自民党の総裁選(9月27日)の票読みがしにくい。それに加えて、日米の金融当局のかじ取りがターニングポイントに差し掛かり、中・長期の投資家は予断を持てない状況だ。
来週はまず17、18日にFOMCがあり、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに踏み切る公算だ。引き下げ幅については、今週出た物価系指標が上ブレしたことから、通常の0.25ポイントにとどまる可能性が高いとみられている。そして19、20日の日銀会合では金融政策の現状維持が予想されるものの、追加利上げのタイミングを見極める上で植田総裁の会見や声明文が注目される。
<日銀10月利上げに現実味>
日銀に関しては、7月に続く利上げのタイミングの総意は12月会合とされている。ただ、一部では10月会合での決定を予想する向きもあり、肌感覚としてはマーケットがそちらの見方に急速に傾いている。日銀高官による金融緩和の調整に前向きな発言が相次いでいることも、早期利上げのメッセージと受け取れる。
1ドル=140円台に突っ込んだドル・円は、こうした状況を映したものだ。仮にFOMCが「サプライズ」の0.5ポイント利下げで決する事態となれば、日米金利差の急縮小を視野に一段と円高が進むだろう。直前の17日に発表される重要経済指標の米8月小売売上高がコンセンサス(前月比0.2%減)に反して拡大した場合も、市場はリスク回避の反応を強めそうだ。
しかし、不透明要素が多い中でも、米国の利下げ、日本の利上げという方向性だけははっきりしている。米金利の低下は同国のグロース株や中・小型株への追い風となり、日本の類似銘柄にも好影響が及ぶことが見込まれる。
また、日銀の利上げは金融株の買い手掛かりになる可能性がある。特に銀行は、上期決算での自社株買いなど還元策への期待も次第に高まっていく公算だ。押し目を形成している三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などのメガバンクや地銀株の見直し機会をうかがいたい。
来週の日経平均の予想レンジは3万5000-3万7000円とダウンサイドをやや広めに取る。9、11日の安値(それぞれ3万5247円、3万5253円)が防衛ラインとして意識される。ただ、FOMCが想定通り0.25ポイントの利下げにとどまる場合は、出尽くし感から円安に転じる可能性があり、日本株の意外高も想定される。また、日銀が今会合で利上げを強行する「まさか」の展開となれば、レンジ下限を大きく割り込むおそれがある。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:9/13(金) 17:54