(ブルームバーグ): 2023年に米MGMリゾーツ・インターナショナルのカジノやホテルで業務を妨害したハッカー集団は、今度は銀行や保険会社を標的にしている。保険会社を中心にサイバーセキュリティーのリスクを調査するレジリエンス・サイバー・インシュアランス・ソリューションズが明らかにした。
MGMリゾーツにハッキング、スロットマシン動かず飲み物も現金払い
これによると「スキャッタードスパイダー」として知られるハッカー集団は、4月20日以来29社を標的にし、少なくとも保険会社2社のシステムに不正侵入している。
レジリエンスのシニアリサーチャーがセキュリティー上の懸念から匿名で話したところによれば、スキャッタード・スパイダーはビザとPNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、トランスアメリカ、ニューヨーク・ライフ・インシュアランス、シンクロニー・ファイナンシャルを標的にした。ハッカーがこれらの企業に不正アクセスできたかどうかは明確ではないという。
トランスアメリカとシンクロニーの担当者はコメントを控えた。ビザとPNC、ニューヨーク・ライフはいずれもコメント要請に対して返信していない。不正侵入された2社がどこなのか、リサーチャーは開示を控えた。
サイバーセキュリティーの専門家らによると、スキャッタード・スパイダーは2022年5月に出現。MGMのほかにもカジノのシーザーズ・エンターテインメント、暗号通貨取引プラットフォームのコインベース・グローバル、生活用品のクロロックスなど、昨年下期に広く報道された大型ハッキングを指揮したとされている。クロロックスのハッキングは全米の小売店の棚から洗剤類が消える事態に至った。
レジリエンスの調査によると、「スターフロード」を自称するこのグループは10代の未成年を含む英米の若者が中心で、「ザ・コム」と呼ばれる大規模な犯罪組織から集められている。当初は通信会社を標的にしていたが、今年は食品や小売り、ゲームのほか、銀行や保険にもターゲットを広げているという。
原題:Gang Accused of MGM Hack Turns Its Sights on the Finance Sector(抜粋)
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最終更新:5/9(木) 1:58
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