運用会社がESG規制で「トランジション」重視を要求-SFDR見直し

5/10 9:09 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 資産運用会社は、世界で最も広範なESG(環境・社会・企業統治)投資規制である欧州連合(EU)の「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」を修正し、高炭素資産がグリーン戦略の要となるよう求めている。

SFDRに関し意見を募るコンサルテーションの回答によると、いわゆるトランジション(移行)ファイナンスに関する明確なガイドラインの盛り込みを、投資マネジャーは「最優先事項」とみている。これは、今は環境汚染につながっていても、投資家の関与を通じ環境により優しくなり得る資産を保有しやすくする動きだ。

SFDRには、現在約13兆ドル(約2020兆円)相当の資産が登録されている。

EUが示したサマリーによれば、「トランジションに焦点を当て、投資対象資産の持続可能性に関する内容の改善を目的とした商品カテゴリー」の設置を、回答者らはEUに求めている。これらの回答者の名前は特定されていない。

こうした措置は、EUの投資ユニバースを再構成する可能性がある。SFDRの下でESG重視を主張するファンドは目下、テクノロジー企業をはじめ二酸化炭素排出量が少ない企業に重点的に投資している。一方、気候変動に焦点を絞った投資家は、排出削減目標を組み込んだパッシブ戦略への関心を高めている。

EUの回答のサマリーによると、新たな「トランジション」カテゴリー設置への投資業界からの支持は、「圧倒的」だという。

「クライメート・トランジション」への関心は世界中で高まっている。モーニングスターによれば、EUの規制を受けた気候関連とパリ協定適合関連の指数に連動するファンドは昨年50%増加し、計1550億ドル規模に達した。

EUは昨年、SFDRを広範囲に及ぶ見直しの対象とした。SFDRは2021年初頭に施行された。欧州委員会のマクギネス委員(金融サービス・資本市場担当)はSFDRの枠組みについて、おそらくトランジション投資により注意を払う必要があるだろうと認めている。

EUの執行機関である欧州委員会は、今後数カ月以内に次のステップについて提案を行う見込みだ。

原題:Asset Managers Demand More Leeway in Allocations: ESG Regulation(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/10(金) 9:09

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