日本株急落の影で中国関連銘柄に回復の兆し、政策効果で最悪期脱出か

4/19 8:36 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 日本株相場が急落する中、長らく低迷していた中国関連銘柄が回復の兆しを見せている。中国の景気刺激策の効果が現地の製造業に浸透し始めた可能性があり、東京市場でも中国経済の今後の好転を期待した見直し買いが加速するかもしれない。

米国の利下げ期待の後退や中東情勢の緊迫化で日本株市場全体は急落に見舞われているものの、中国依存度の高い銘柄の一部は堅調だ。中国向け売上高比率が大きい精密小型モーターのニデックは過去2カ月間で18%上昇し、産業用ロボットの安川電機は12%高、ファナックは6.2%高など。この間、東証株価指数(TOPIX)の上昇率は1.4%にとどまっている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の上席投資戦略研究員の大西耕平氏も、中国関連株に「回復の兆しが出ているのは確かだ」とみている。ただし、「現時点ではやや期待が先行している感がある。安川電も受注が前年比プラスになったといってもまだ1回。今後データなどで確認が必要だ」と言う。

安川電の小川昌寛社長は5日の決算説明会で、中国の景況感は既に底を打ち、今後は「急加速する可能性が十分にある。今準備しないといけない」と語った。半導体ウエハー向け搬送装置のローツェは11日、今期(2025年2月期)の営業利益が前期比31%増になるとの見通しを発表。決算説明資料によると、中国向け売り上げは前期の第1四半期を底に急回復している。

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もっとも、中国関連銘柄で底打ち傾向が見えるのは製造業関連に限られており、消費関連企業は依然として厳しい状況が続く。国内外でカジュアル衣料品「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、中国の販売不振で第2四半期の営業利益が市場予想を下回り、株価は決算発表の翌日に1年3カ月ぶりの日中下落率となった。

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中国関連銘柄の動向からうかがえる傾向は、直近の経済統計とも符合する。中国国家統計局が16日発表した1-3月の国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増と市場予想(4.8%増)を上回った。3月の固定資産投資も市場予想以上に伸長。半面、同月の小売売上高は前年同月比3.1%増と伸び率は市場予想(4.8%増)に届かず、対照的だ。

景気の低迷を受け、中国政府は財政支出を拡大しており、直近では設備や製品の買い替え支援にも財政資金を投入する方針を示している。

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長引く不動産不況などの影響もあり、中国の消費者心理は改善し切れていない。しかし「世界の工場」と呼ばれる中国製造業の業況は、中国国内だけではなく、グローバル経済の影響も受ける。世界経済の最近の粘り強さは、中国を含む世界の製造業にとって朗報と言えるだろう。国際通貨基金(IMF)は16日、世界経済の成長率予測を1月時点から0.1ポイント引き上げ、3.2%とした。米国と一部新興市場の好調が理由だ。

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IFAリーディングの穂積拓哉最高投資責任者(CIO)は、中国経済全体の先行きには不動産セクターの不況など構造的な問題もあり、長期的な懸念が残るが、「工場自動化(FA)投資など必要なところにはそれなりの需要があるため、数字として持ち直している感じがある」と指摘。今後の企業決算で前向きなサインが出てくれば、「市場としてもだいぶポジティブに見られるのではないか」と話している。

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:4/19(金) 8:36

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