• トップ
  • ニュース
  • 雑誌・コラム
  • これから部屋を借りたい、家を買いたいと思っている人が「ゴミ集積場」を見るべき深い理由、清掃員を12年続けて間違いないといえる持論

これから部屋を借りたい、家を買いたいと思っている人が「ゴミ集積場」を見るべき深い理由、清掃員を12年続けて間違いないといえる持論

5/24 14:02 配信

東洋経済オンライン

私たちが生活するうえで避けては通れない、ごみと掃除。しかし、たとえば、ごみを分ける、正しく捨てる、汚れをとる、部屋を片づける、清潔な空間を保つ、捨てない工夫をするetc. そんな毎日のちょっとした作業にこそ「人生を好転させる秘密」がある――。
本稿では、ごみ分別の方法やごみを減らすアイデア、毎日を快適にする簡単掃除のコツとともに、著者である滝沢秀一氏、新津春子氏の生き方も劇的に変えた「ごみと掃除と人生の法則」を紹介する。

(本稿では、『世界一清潔な空港の清掃人と日本一のごみ清掃員をめざす芸人が見つけた「ごみと掃除と幸せな人生」』から、一部を抜粋してお届けします)

■住みやすい町はごみを見ればわかる

 僕はごみ清掃員を12年間やってきて、これだけは間違いないという持論がひとつあります。それは、「住みやすい町はごみ集積所がきれい」ということ。

 逆に、100%ではないけど治安のよくない地域はごみ集積所が汚いことが多いです。ポイ捨てもよく見かけます。

 ごみ集積所が汚いということは、近所の目が行き届いていないということです。やっぱり、人の目がないとごみの分別もおろそかになりがちです。分別されていない違反ごみは回収されないので、そのごみがその場にたまり続けることになります。

 ごみ集積所だけじゃない。「ごみはごみを呼ぶ」ではないけれど、ポイ捨てされたごみが多いと、そのごみのまわりにごみが集まるんです。

 「ごみがあるってことは、ごみを捨ててもいいんだ」と思うのか、その周辺一帯の住民のことを考えることもなく、そこにごみを放置する人がいて、いつしか「ごみの山」ができる。ごみの山が放置されれば、もちろんニオイも出るし、ごみを狙ってカラスやハエ、ハチなんかも集まってくる。

 こんな町に住みたいと思う人は、ほとんどいないと思います。誰だって汚い町よりはきれいな町に住みたいですよね。

 ごみ集積所がきれいな地域は、その周辺に住んでいる人たちが顔を合わせて、そこに住む人々の気持ちを考えながら生活している地域といえます。

 つまり、ごみ集積所を見れば、住みやすい町なのかどうかということがわかるのです。これは偏見でもなんでもなく、ごみ清掃の仕事を通していろんな町を見てきた実感です。

■ごみ清掃員が考える「物件の選び方」

 これから部屋を借りたいと考えていたり、家を買いたいと思っていたりする人に、ごみ清掃員の視点からアドバイスしたいのは、「引っ越しをするなら、その地域のごみ集積所を見てほしい」というか、「絶対に見てから決めたほうがいい」ということです。

 最近は、インターネット上で内見しただけで、物件を決める人もいるみたいだけど、実際に足を運んだほうが絶対にいい。

 その理由は、部屋の中だけじゃなくて、周辺環境のことがわかるから。

 部屋の中はネットで見られるけど、周辺環境は実際に行ってみないとわからない。

 ごみ集積所なんてとくにそう。

 「見に行く時間がない」という人がいるのもわかる。でも、せめてペットボトル回収の日だけでも行ってみてほしい。

 ラベルとキャップを外さないで出されていたり、中身が入ったままで適当に出されていたりする集積所がある地域はおすすめしない。これはごみをいいかげんに出す人が多いってことだし、地域での管理もおろそかになっているということだからです。

■ペットボトルの捨て方がなぜ大事? 

 僕はペットボトルの扱い方は、可燃ごみの出し方にも反映すると思っている。

 ペットボトルをきちんと分別している人が、いきなり可燃ごみだけを適当に出すことはないと思う。

 逆に、ペットボトルの中身が入ったまま、しかもそこにたばこの吸い殻なんか入れて捨てる人は、可燃ごみもなんでもおかまいなしに捨てる。なんならビンや缶まで入れて捨ててくる。

 捨てたほうはバレないと思って捨てているのかもしれないけど、ちょっとベテランの清掃員になれば簡単に見破ることができるからね!  ごみ袋を持ち上げたときの感触と音が違うから!  絶対にビンや缶を可燃ごみで捨てないでね! 

 ごみの回収のときビンや缶が混ざっている可燃ごみの袋があると、ごみ清掃員は袋を開けて、そのビンや缶を取り出してその場に置いていく。

 先に書いたように、ごみが置かれたままになっていると、それを見た人がそこにごみを捨ててもいいんだと勘違いして、新たなごみをポイ捨てしていく。ひとつルールが破られると、ほかのルールも破られていく。

 また、ごみ集積所以外には、家の近くの自動販売機横のリサイクルボックスを見てほしい。自販機横のリサイクルボックスの状態でも、その地域に住んでいる人がどんな人なのかだいたい想像がつく。

 ペットボトルや缶がボックスいっぱいになっているにもかかわらず、無理やりねじ込まれたままになっていたり、そのまま道に置いてあったり、しまいには家庭ごみやおむつまで捨てられているところもあったりする! 

 勘違いしている人もいるけど、「リサイクルボックス」はごみ箱ではありません。

 絶対にビンや缶、ペットボトル以外は入れないでほしい。

 それとここでもうひとつ。

 滝沢は「ごみ集積所」という名前をもっといい名称に変えたら、世の中はもっとよくなると思っている。何を言っているんだと突っ込まれるかもしれないけど、真剣にそう思っています。

■ごみに対する意識を変える第一歩

 その昔、ごみ集積所は「ごみ捨て場」と呼ばれていた(と思う)。それが何かの理由で、ごみ捨て場よりは「ごみ集積所」のほうがいいんじゃないか、となって名称が変わったんだ(と思う)。それなら、そろそろごみ集積所も「エコステーション」のような名称に変更したらどうだろう?  

 これには理由がある。「ステーション=駅」だ。自分の捨てたごみがこの駅から旅を始めて、リサイクル工場をへて、再び手元に戻ってくる、循環型社会の駅の意味合いとして、集積所という呼び名をステーションに変えたいのだ。

 どう?  思ったよりちゃんとした理由でしょ。まさかここまできれいな理由だとは思わなかったでしょ。

 でも、「名前が変わると意識が変わる」というのは、本気でそう思っている。

 僕は「マシンガンズ」というコンビ名でお笑いの仕事をしているんだけど、この名前に引っ張られて、気づいたらマシンガンのように早口でまくし立てる漫才をするようになっていた。

 昔はそんなことはなかったし、今も意識してやっているつもりはない。でも、「マシンガントークをするであろう」というお客さんの期待なのか想像なのか、見えない何かにこたえるように早口になっていったんです。

 「名は体を表わす」っていうし、やっぱりイメージは大事でしょ。

 「エコステーション」になったら、みんなのごみに対する意識も変わって、世の中全体の意識もいいほうに変わっていくと思っています。

東洋経済オンライン

関連ニュース

最終更新:5/24(金) 14:51

東洋経済オンライン

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング