和歌山の負の遺産、「コスモパーク加太」にGoogle関連企業が進出《楽待新聞》

3/15 11:00 配信

不動産投資の楽待

長年、和歌山県の「負の遺産」であった企業用地「コスモパーク加太」。関西国際空港の建設時に土砂を採取した跡地で、バブル経済期にリゾート施設などの開発が計画されるも、バブル崩壊などの煽りを受け計画が頓挫していた。

その後も企業誘致が進まず、広大な土地が未活用のまま放置されていたのだが、今回この一部が、米国のIT大手「Google」の関連企業に売却されることになった。

取引面積の37ヘクタールは、和歌山県のこれまでの売買取引において最大の広さであり、売却額も59億4000万円という大型売却だ。

今回の売却によって、県がかつての開発計画時に抱えた巨額の負債を大幅に減らすことができる。本記事ではコスモパーク加太の大型売却が与える影響について考える。

■252ヘクタールの広大な企業用地

コスモパーク加太は、和歌山市加太、磯の浦の高台に位置する大型の企業用地。関西国際空港の建設の際、埋め立て用の土砂を採取した跡地だ。

総面積は252ヘクタールにおよび、1平米あたり2万円を上限に売りに出されている。

企業用地となると、運輸経路の確保が1つ重要な点となってくるだろう。コスモパーク加太までは、関西国際空港から車で約50分、大阪市内から約80分、和歌山北ICから約30分でアクセス可能だ。

南方には国際拠点港湾である和歌山下津港があり、4万トン級の貨物船が入出港できるといい、運輸経路も問題はなさそうだ。

コスモパーク加太は、海抜100メートルの高台に位置しており、地盤が強固で地震や津波に強い。周辺には温泉や海水浴場などもあり、恵まれた自然環境でも知られている。

2012年には、高台の日照の良さを生かして、県内第1号の大規模太陽光発電所(メガソーラー)「コスモパーク加太太陽光発電所」が誕生。推定年間発電量約227万キロワットの設備を配置している。

■データセンターを設置予定も、借入金は残ったまま

当初、コスモパーク加太には、和歌山県土地開発公社を中心に、リゾート施設や高層マンションの開発が行われる予定だった。

しかし、バブル崩壊などの経済情勢悪化によって、計画は途中で中止に。公社の借入金は約438億円に膨らんでいたところ、2003年、民事調停法に基づいて県が約265億円の債務保証をすることになっていた。

これまでに県は、消防学校やドクターヘリの格納庫などを整備したり、民間企業に土地を売却したりして活用を進めてきた。

報道によると、それでも87ヘクタールの土地が売れ残っていたという。今回、Asa合同会社にそのうちの37ヘクタールが売却されることになり、未活用だった土地の約4割が駒を進めることになりそうだ。

売却額は59億4000万円とのこと。37ヘクタールという広大な土地の売却は、県にとっても過去最大の取引規模となったと報道がされている。

Asa合同会社は東京都港区に本社を置くIT会社で、データセンターの保有や運営などを行っている。コスモパーク加太もデータセンター用地として活用される予定だが、詳細について現時点では公表されていない。

同社は広島県三原市の本郷産業団地でもデータセンターの建設を予定しており、27.5ヘクタールの土地を58億1100万円で購入し、2033年度の稼働に向けて整備が行われている。

本郷産業団地への総投資額は1000億円ほどを見込んでいるとのことで、コスモパーク加太へも同等かそれ以上の規模の事業が展開される可能性も考えられる。

しかし、本件売却を経てもなお、公社の借入金は263億円残っており、50ヘクタールの土地が未活用のままだ。和歌山県は、引き続き企業誘致や防災用地としての活用を進めていくという。

■コスモパーク加太の活用で和歌山県に賑わいを

一般的に、企業が工場や事業所を設置すると、自治体の税収増加が見込まれたり、地元に雇用機会が創出されたりして、周辺地域に賑わい効果がもたらされる。

今回のコスモパーク加太の一部売却、データセンターの設置に関しても例外ではないが、大企業の工場が設置されたときに比べるとその効果は大きくはなさそうだ。

ただし、今後残りの未活用地に他の企業が進出してくるようなことがあれば、雇用や税収増の効果も大きくなり、地域経済の活性化にもつながるだろう。

現在は、50ヘクタールの売れ残り用地があり、借入金263億円を早期に返済する目処はついていない。今回の大型売却を起爆剤として、引き続き積極的な企業誘致をすることが県に求められている。

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最終更新:3/15(金) 11:00

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