「コミュ力が低い子」の親が無意識で繰り返している“NG習慣”とは?

5/9 15:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 新年度がスタートして1カ月。「うちの子、会話が一方通行でお友だちと仲良くできない」「友だちの輪に入っていけないわが子が心配」という親御さんも多いのではないでしょうか。お母さんサポートの専門家でプロコーチの田嶋英子さんは「大丈夫!遊びながら、暮らしながら、コミュニケーションは上手になります」と断言します。そこで今回は田嶋さんの近刊『「うちの子、コミュ障かも?」と感じたら読む本』(青春出版社)から、今日からわが子のコミュ力を伸ばす“ちょっとした親の習慣”について抜粋して紹介します。

● スマホを見ながら、子どもに返事していませんか

 上手に話す、きちんと聞く、これができることを、コミュニケーションが上手いと思っている人が多いです。でも、その前に、大事なことがあります。意外に思われるかもしれませんが、コミュニケーションの最初のステップは、「話す」ではないのです。

 実は、コミュニケーションの最初のステップは、「見る」ことです。相手を見て、「観察する」こと、これがすべての基本になります。

 たとえば、学校から帰ってきたばかりで、お腹が空いている、疲れているみたい。そんなときはすぐに本題に入らず、おやつでも食べてちょっと回復するのを待ったりしてますよね。今、気持ちがイラついている、他に気にかかることがある、そんな様子を見たら、話し方を少し変えたりしていませんか?

 それって、どうやって判断していますか? そう、「見て」判断しています。これが「当たり前」にできない人が増えています。

 当たり前にできていたときと、今では、何が違うのでしょう。それは、ひとつには「スマホ」が原因ではないか、と私は考えています。

 どこでも、どんなときも、視線の先にはスマホがあるのが当たり前です。座ったらスマホ、荷物降ろしたらスマホ、会話が途切れたらスマホ。「スマホ以前」だったら当然見ていたはずの時間、見る機会が減ってきているのです。

 何を見なくなったのか? そのとき一緒にいる人を見なくなりました。スマホを見ている時間は、一緒にいても、それぞれ別の体験をしているということです。子どもたちからしてみれば、スマホにパパやママの視線が奪われているわけです。

 この「見る」ということを、最先端の心理学といわれるNLP心理学では、「キャリブレーション(観察)」と言っています。

 「見る」は、立派なコミュニケーションのスキルなんです。どんな役に立つかというと、「相手との関係性をつくる」ということに効果的に働くスキルです。

● 子どもに「ちゃんと見ているよ」が伝わる姿勢をつくる

 コーチング講座のなかで、受講生のみなさんに「見る」(観察する)スキルをお伝えするときには、こんなふうにお伝えしています。

 まず、体の向きです。相手に分かるように、相手のほうへ体を向けます。

 顔の向きははっきりと相手に向けます。目線だけ動かすのはNGです。相手の目のあたり(眉と眉のあいだ)にまなざしを向けます。凝視したりジロジロ見るのではなく、少しぼんやり見てください。

 身体全体や、顔をしっかり動かして、相手を見るのは、相手に「見ていますよ」というメッセージを送るためです。同時に相手の話を聴く準備ができたことを知らせるサインになります。

 「見る」(観察する)のは、「相手の変化」です。表情や顔色、呼吸の速さや、身振り手振り、足や手を組んだりといった姿勢の変化に気づきましょう。口調や声の大きさ、話すスピード、声のトーンも、観察してください。

 これは、プロの聴き手が、クライアントに対する姿勢のつくり方です。短い時間で相手と関係性を築き、深い会話ができるようになるための手順です。子育て中のみなさんに、ぜひ取り入れてほしい部分は、体や顔を子どもに向ける、そして、目(のあたり)を見る、というところです。

 とくに意識してほしいのは「相手に分かるように」という部分です。「見る」「見られる」がお互いに意識できるようにする、というのが、ポイントになります。

 朝出かけるとき、学校から帰ってきたとき、あるいはパパママがお仕事から帰ってきたときでもかまいません。

 バタバタして忙しい、その手をちょっと止めて、ほんの数秒です。ちゃんと身体を向けて、目を見て、「いってらっしゃい」、「ただいま」って言ってみてはどうでしょう。

 毎日続けていると、変化に気がついてきます。今日は元気ないな、とか、ちょっと目がきらっとしてるぞ、いいことあったのかな、とか、髪が伸びてきてる、とか、「観察」できてきます。自分の「見る力」が上がってきていることにも、気づいてくださいね。

● 人は「見る人」「見てくれる人」を好きになる

 「見る」スキルが身につくと、もっといいことが起こります。それは、「人に好かれる」という効果です。

 「見る」「見られる」というのは、子どもたちにとって大切な働きかけです。この働きかけのことを、心理学では「ストローク」といいます。

 プラスのストローク(働きかけ)をたくさんもらえた子どもたちは、親に対する愛着形成がしっかりとできるだけでなく、そのほかの人間たちに対しても安心感を持ち、人間関係をつくることが自然にできてきます。

 赤ちゃんを「見る」と思わずにこっとしてしまいますよね。そうすると、赤ちゃんがにこっとすること、ありませんか?

 赤ちゃんは、あなたのことを好きだから、にこっとしたのではありません。赤ちゃんには(人間には)、ミラーニューロンという神経細胞があります。これは「見たものを真似る」という働きがある細胞です。あなたが「笑顔」になったから、赤ちゃんが「笑顔」を真似たのです。そもそも、あなたが赤ちゃんを「見た」から、赤ちゃんが「見る」のを真似たのです。

 「見る」って、すごい力なんです。人は自分を「見てくれる」人を好きになります。何度も「見る」人を好きになります。自分を「好き」な人を好きになります。ミラーニューロンの働きです。

 この働きは、初めて会う人と人間関係をつくるときにも有効です。視線をまっすぐにして相手をしっかりと「見る」ことができる人は、何だか自信がありそう、信頼ができそうな印象を与えます。

 逆に、うつむいたり、目をそらしたり、きょろきょろして視点が定まらない人は、自信がないのかな、話をしてて落ち着かないな、と思われます。第一印象で損をしている人が、けっこういます。

 「好かれる」というのは、相手に警戒心や不信感を持たれたりせず、この人といるのが心地よい、と感じてもらうことです。見た目ではなく、能力でもなく、スキルなのです。

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最終更新:5/9(木) 16:21

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