【給付付き税額控除の大綱案】令和9年から開始予定!飲食料品の消費税率「1%」と「就業者負担軽減支援金」の仕組みを解説
2026年(令和8年)9月8日に開催された「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場において、新たな支援金制度と消費税率の臨時的な引き下げに関する大綱案(政府の基本的な方針案)が公表されました。日々の生活に直結する大きな制度変更の可能性に注目が集まります。
今回は、令和8年9月に示された「給付付き税額控除」の大綱案について解説します。
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令和8年9月公表の大綱案「給付付き税額控除」へ向けた2つの柱
今回公表された大綱案は、働く人たちの手取り(実際に受け取れるお金)を増やし、働くことにより生活の向上を実感できる社会を作ることを目的としています。制度の背景にあるのが「純負担率」という考え方です。これは、税金や社会保険料などの支払額から、国から受け取る現金給付を差し引いた割合を指します。
日本の中低所得の現役世代は、諸外国と比べてこの純負担率が高い傾向にあると指摘されています。この負担を軽くするために打ち出されたのが、以下の2つの大きな柱です。
●(1)「就業者負担軽減支援金の導入」
中低所得の現役勤労者に対して、所得や家族構成に応じた支援金を支給し、手取り額を底上げする仕組みです。また、社会保険への加入によって手取りが減ってしまう、いわゆる「年収の壁」による働き控えを和らげる狙いもあります。
●(2)「飲食料品消費税率の臨時引下げ」
令和11年度(2029年度)の支援金本格導入に向けた「つなぎ」の施策として、令和9年(2027年)4月から2年間に限り、飲食料品の消費税率を1パーセントに引き下げて支援金と組み合わせて先行実施する予定となっています。
消費税が1パーセントに?令和9年開始予定の臨時措置の影響
多くの方にとって身近でインパクトが大きいのが、この消費税率引き下げのニュースでしょう。
現在、スーパーなどで購入する飲食料品には8パーセントの軽減税率が適用されていますが、大綱案によれば、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間に限り、これが1パーセント(国税0.78パーセント、地方税0.22パーセント相当)まで引き下げられる計画です。
対象となるのは、現在軽減税率の対象となっている飲食料品です。ただし、週2回以上発行される新聞の定期購読分については、今般の税率引き下げの対象外となり、引き続き8パーセントが適用されます。
日々の食費は、家計の中でも削るのが難しい費用であり、物価高の影響を最も受けやすい部分でもあります。2年間という期間限定ではあるものの、日々の買い物にかかる消費税が大幅に引き下げられるとなれば、家計にとっては大きな支えとなります。
たとえば、月に食費が8万円かかるご家庭の場合、消費税の負担が軽くなることで、年間を通せば数万円単位の節約効果が出る可能性があります。浮いたお金を将来の貯蓄に回したり、家族のレジャー費に充てたりと、生活の質を向上させる選択肢が増えるでしょう。
支援金は誰が対象?受け取るための4つの条件
もう一つの柱である「就業者負担軽減支援金」について見ていきましょう。
この支援金は世帯ごとではなく個人を単位として支給され、以下の4つの条件を満たす中低所得の現役勤労者が主な対象です。
1.一定以上の勤労所得があること給与収入や一定水準以上の事業所得(個人事業などの儲け)があり、国が定める「所得下限額(最低限の収入ライン)」を超えている必要があります。事業所得や業務に関する雑所得についても、就労とみなせる水準として定める額を超える場合に勤労所得として合算されます。
2.所得が一定以下であること前年の合計所得金額が、扶養する子ども(令和9年度および10年度は16歳未満、本格導入後は19歳未満)の数に応じて設定される「所得上限額」以下であることが求められます。
3.実質的な税・社会保険料負担があること住民税や社会保険料などの負担額から公的年金などの収入を差し引いた「純負担」が、基準となる額を超えている人が対象です。現役世代並みの負担をしている中低所得の高齢者も支援の輪に含まれます。
4.配偶者の所得条件を満たしていること基準日現在で配偶者がいる場合、その配偶者の合計所得金額が一定額(配偶者所得上限額)以下であることが条件に加わります。
なお、病気や障害、育児や介護などでやむを得ず働くことが難しい状況にある方もいらっしゃいます。大綱案では、こうした就業が困難な方々が支援から取り残されないよう、生活困窮者の自立支援に関する制度や障害者の福祉に関する制度など、既存の社会保障制度との関係を整理しつつ、必要な措置を講じることが検討事項として明記されています。
多様なライフスタイルに寄り添う、温かみのある制度設計が期待されます。
いくらもらえる?給付額が決まる6つのステップ
支援金の金額は全員が一律で同じ額をもらえるわけではなく、働いた所得や家族構成に応じてきめ細かく調整される「6つのステップ」で決まります。なお、支給額は1000円単位(端数切り上げ)で計算されます。
・定額支給(低所得ゾーン):個人住民税所得割が非課税になる水準の層には、一定の定額支援額が支給されます。
・逓増(働くほど給付が増えるゾーン):就労を促すため、所得が増えるにつれて支援額が一定の割合で段階的に増えていく仕組みです。
・支援基本額(標準ゾーン):一定の所得レベルに達した後は、標準となる「支援基本額」が固定で支給されます。
・就業促進特例加算(年収の壁対策):社会保険に加入することで生じる手取りの減少を補うため、時限的な特例加算が上乗せされます。 こども加算:扶養する子どもの人数に応じて、定額のこども加算が行われます。
・逓減・消失(中高所得ゾーン):所得が一定ラインを超えると、所得が増えるにつれて支援金が段階的に減額され、上限額に達すると支給はゼロになります。
まとめにかえて
今回は、令和8年9月に示された「給付付き税額控除」の大綱案について解説しました。令和9年度から予定されている飲食料品の消費税率1パーセントへの引き下げ案と、中低所得の現役勤労者を対象とした就業者負担軽減支援金の仕組みが議論されています。
日々の生活や働き方に直結する重要なテーマですが、今すぐ慌てて対策をする必要はありません。税制や社会保障の制度変更は複雑に感じられますが、情報を正しく受け止めることで、不要な不安を手放すことができます。普段通りの生活と家計管理を続けながら、無理のない範囲でこれからのニュースや正式な発表を見守っていきましょう。
参考資料
・内閣官房「「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場(第3回) 議事次第」
・内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(案)(概要)」
・内閣官房「「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」(政府の基本方針)について参考1:総理会見(令和8年7月30日)資料」
・国税庁「消費税のしくみ」
村岸 理美
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