リスク資産抱えたウォール街のファンド、悪材料山積で動揺広がる

4/13 16:45 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ほんの数週間前まで、米資産運用担当者にとって、全ては安易に感じられた。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局は緩和に転じると想定され、米銀大手をはじめとする企業業績好調はウォール街などの高揚感を裏付けるとみられていた。

しかし、この1週間の地政学的緊張や債券相場のボラティリティーの高まりを経て、株式とクレジットの合計へのエクスポージャーが過去10年間で最高レベルに達している資産運用担当者は、従来よりも困難な状況に置かれている。

イスラエルがイラン側からの攻撃の可能性に備えていると伝えられ、12日の市場では、株価が大幅変動してS&P500種株価指数は週間ベースで昨年10月以来の大幅安となり、北海ブレント原油先物は1バレル=90ドルを上回って取引を終えた。

10日には、3月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなり、米10年債利回りは4.5%を突破してドルを押し上げた。

ゴールドマン・サックス・グループやバークレイズなどは今年の米利下げ回数見通しを減らし、一段と多くの投資のプロにとってバリュエーションを度外視した今年のリスクオン戦略は危険なものと映っている。

中東紛争で株価が上昇の勢いを失い、原油100ドルの可能性が高まる状況にあって、株式に強気なエド・ヤルデニ氏でさえ、警告を発している。

同氏が社長を務めるヤルデニ・リサーチは12日の顧客向けリポートで、「S&P500種はほぼ垂直の上昇を遂げてきた」とした上で、特にイスラエル・イラン間の有事となれば、当面は万事休すかもしれないとの分析を示した。

悪いニュースへの許容度は以前よりも低下している。ソシエテ・ジェネラルによれば、今年に入ってからのリスク資産の相場上昇で、ファンドマネジャーが抱える株式と社債へのエクスポージャーは既に資産全体の3分の2に跳ね上がっている。

また、JPモルガン・チェースの分析によれば、ノンバンクの投資家による現金への配分は過去10年で最低水準前後にある。

ソシエテ・ジェネラルの米株式戦略責任者、マニッシュ・カブラ氏は「成長への信頼が維持されれば、リスク配分は3分の2にとどまる可能性があるが、過去の事例からみてさらに高くなることはない」と指摘した。

米国債の大幅なリプライシングも地合いを圧迫している。トレーダーが見込む今年の米利下げ回数は2回未満と、米金融当局者が3月の金利予測分布図(ドット・プロット)で示唆した予想中央値をも下回っている。

ヤン・ハッチウス氏率いるゴールドマンのエコノミストチームは年内の米利下げ予想を2回に引き下げ、バークレイズのアナリストは1回だけの利下げを見込んでいる。

ハリス・アソシエーツのポートフォリオマネジャー、アダム・アッバス氏は「労働市場が大幅に悪化するか、リセッション(景気後退)に陥らない限り、利下げはないだろう」との見方を示した。

原題:Risk-Addicted Wall Street Funds Are Shaken as Bad News Piles Up(抜粋)

--取材協力:Cecile Gutscher.

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最終更新:4/13(土) 16:45

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