地価上昇率で示された福岡市の超絶ポテンシャル トップ100内に住宅・商業地15地点がランクイン

5/8 10:02 配信

東洋経済オンライン

3月に発表された2024年の地価公示価格は、熊本・北海道の半導体バブルの影響が色濃く反映される結果となった。4月12日配信の「全国地価上昇率ランキング」を見て浮かび上がってきたのが、福岡市内の地価の上昇ぶりだ。トップ100内に住宅地、商業地含めて15地点も登場する。

 全国の地価上昇率における福岡市の最高ランクは20位。博多区竹丘町の商業地で上昇率は21.62%。次いで34位に博多区麦野3丁目の住宅地が19.63%、42位に中央区清川2丁目の商業地が19.30%、47位に中央区荒戸2丁目の商業地が19.01%と続いていく(下表参照)。

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■再開発促進事業「天神ビッグバン」が牽引

 まちの発展の勢いが止まらない福岡市の原動力となっている再開発の目玉は何といっても市の再開発促進事業「天神ビッグバン」である。福岡市の中心部にある天神交差点から半径500メートル(約80ヘクタール)が対象エリアで、天神ビジネスセンター、福岡大名ガーデンシティなど、これまでに建築確認申請された63棟のうち52棟が竣工した(2023年3月末時点)。天神ビッグバンはいよいよ佳境を迎えていると言っていいだろう。

 さらに福岡市最後の大開発と言われる九大箱崎キャンパス跡地(東区)=約30ヘクタールの再開発事業者には、地元のJR九州、西部ガス、西鉄などの企業グループが優先交渉権者となったが、その代表者が住友商事である点にも注視したい。地元資本だけではなく、大手商社が加わったということは、中央から見ても魅力的な再開発事業ということだ。

 4月25日にはソフトバンクホークスの本拠地である「福岡ドーム」のネーミングライツ契約が新たに締結され、「みずほPayPayドーム福岡」と変更された。

 決済サービスなどで協力関係にあるみずほFGとPayPayのさらなる関係強化を目指したものと見られている。みずほにしてみればPayPayの金融事業とのシナジー狙いがあるのだろうが、アジアに向けた金融シティ・福岡のポテンシャルにも大きな魅力を感じているのではないか。

 ここからは、福岡のポテンシャルの高さをさまざまな角度から検証していこう。

■起業がしやすい環境

 福岡商工会議所「地場企業の経営動向調査」(令和6年1月)によると、地場企業の景気判断指数(DI値=令和5年12月調査)は全産業平均で+4.2(前期比+0.4ポイント)と好調。市内事業者からは「インバウンドによる売り上げが昨年を大きく上回る数値で伸長しており、業績においてプラスに影響している」(小売業)「ドライバーの人員不足や燃料高騰の影響を受けている」(運輸・倉庫業)といった声が出ている。

 また、福岡都市圏の開業率(令和4年度時点)開業率は5.3%と全国の大都市の中で1位と、堂々のスタートアップ都市となっている。ちなみに以降は名古屋市5.0%、さいたま市4.7%、東京23区/大阪市4.5%と続く。 

 博多港・福岡空港における貿易額(令和5年)の輸出額は、4兆4844億円 (前年比3140億円増)。輸入額は2兆3143億円 (前年比2636億円増)となっている。主な輸出先は中国(26.2%)、韓国(18.0%)で、輸入先は台湾(27.4%)、中国(24.3%)だ。

 アジアへのゲートウェイとしての福岡の着実な成長、発展がうかがえるデータといえる。

■転入により人口も増加中

 福岡市の成長、発展を象徴しているのが人口の増加だ。4月1日現在の推計人口は164万5863人で、前年同月比で1万2361人の増加(0.8%)である。毎年増加が続いている。令和6年3月中の人口動態を見ると、自然動態は462人減、社会動態は1064人の増加。他市からの転入増が続いているのだ。

 「高島宗一郎市長が企業誘致の先頭に立って、東京での誘致セミナーでプレゼンを行うなど、市を挙げて経済成長と発展に取り組んできました。天神ビッグバンも2026年末に向けて再開発が佳境に入り、まちが大きく変貌します。一方、JR博多駅周辺でもビルの建て替えが進み、福岡はアジアへのゲートウェイとして、さらにはシリコンバレー九州を支える一大拠点として新たな時代に突入しようとしています」(地元財界関係者)

 スタートアップ先端都市、国際金融都市、アジアを中心としたゲートウェイとして成長を続けてきた福岡市が、2026年末に天神ビッグバン完結という節目を迎える中、さらなる変貌をどう遂げていくのか。シリコンアイランド九州の拠点として開発が進む熊本エリアを支える存在でもある。縮みゆくニッポンにあって、稀有な成長都市の今後に注目したい。

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最終更新:5/8(水) 10:02

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