英中銀の量的引き締めに市場緊張、一部指標で短期金利3年ぶり高水準

5/10 3:09 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)の積極的な債券ポートフォリオ縮小が短期金融市場に波紋を広げ、いくつかの指標ではポンド資金を借り入れるコストが3年ぶりの高水準に上った。

複数のアナリストは英中銀が週次の債券売却を年後半に停止する必要があるだろうとし、さもなければ将来の金融緩和が難しくなるリスクを冒すことになると警告。だが、今のところ英中銀は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に買い入れた債券の売却を続け、市場から過剰な資金を吸収している。9日の政策発表後の記者会見でも、量的引き締めプログラムの変更は示唆しなかった。

ブルームバーグがまとめたデータによると、銀行が翌日物資金を得るために提示しなければならない金利は、英中銀の主要金利との比較で2021年以来の高水準に上昇した。欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度は英中銀のような直接の債券売却をこれまで避けており、緊急時の金融緩和から銀行を脱却させるに当たり政策当局者が直面するかじ取りの難しさを浮き彫りにする。

英国では国債保有の負担が納税者に回ることも、問題の緊急性を高めている。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の欧州グローバルマーケッツ・リサーチ責任者、デレク・ハルペニー氏は「金融環境は引き締まりつつある。流動性の状況は短期金利のボラティリティー上昇を生む可能性がある」と指摘。「現金不足と金利に上昇圧力がかかる可能性は、英中銀の利下げと矛盾することは確かだろう」と述べた。

これに関連したパニックは、まだ全く見られていない。英中銀は現金を必要とする銀行向けのバックストップ措置を用意している。英国債を担保として銀行に現金を供給する短期レポ(STR)ファシリティーは、9日の利用額が136億ポンド(約2兆6500億円)と過去最高に上った。

英中銀のベイリー総裁とラムズデン副総裁は9日の政策発表後の記者会見で、量的引き締めが銀行の流動性に及ぼす影響について問われたが、STRファシリティーの利用額増加を今のところ懸念してはいないと示唆した。

だが短期市場金利の上昇は、英中銀がいずれ政策緩和を経済に波及させようとする際に、その取り組みを弱める恐れがある。

英中銀金融政策委員会(MPC)は債券売却計画の見直しを9月まで予定していない。

原題:BOE Has Money Markets on Edge on QT With Cost of Cash Rising (1)(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:5/10(金) 3:09

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