イエレン米財務長官、円安とウォン安への懸念に留意-初の日米韓会談

4/18 6:34 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): イエレン米財務長官は、自国通貨の急激な下落を巡る日本と韓国両財務相の懸念に留意する姿勢を示した。日米韓3カ国はワシントンで17日、初の財務相会合を開いた。

日本の鈴木俊一財務相と韓国の崔相穆経済副首相兼企画財政相、イエレン長官は、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合に合わせて会談。終了後の共同声明によれば、3氏は同日に為替についても意見交換を行った。

共同声明には外国為替市場に関して、「最近の急速な円安およびウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存の20カ国・地域(G20)コミットメントに沿って、外為市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」との文言が盛り込まれた。

今年2月に開かれたブラジルG20の議長総括では、「為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する」という2021年4月のG20声明の為替に関するコミットメントを再確認した。

17日の会合後に鈴木財務相は記者団に対し、為替について日米での意思疎通を確認し、急速な円安、ウォン安についての認識を共有したと述べる一方、「為替で具体的にどういう対応をするかについてはコメントを控える」と話した。

鈴木財務相は、為替は経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましく、行き過ぎた動きについては適切に対応するという日本政府の立場に変わりがないことを米韓の財務相に説明したとし、「それについてはよく聞いてもらったと思う」と語った。

また、同じくワシントンを訪問中の神田真人財務官は、円安、ウォン安への認識共有を声明文で明記することは最近ではなかったことだと強調。

共同声明に盛り込まれた日韓の「serious concerns」との文言については、「文字通りシリアスというのは本当に深刻だと、普通の懸念というよりは重たい懸念だということだと、素直に読んでほしい」と話した。

これに先立ち、日韓財務相は最近の自国通貨安に「深刻な懸念」を表明し、急激な変動の際にはそれに対処するため、適切な措置を取ると警告していた。

協調介入への思惑も

市場では実弾介入がいつでも起こり得る可能性と、日韓が協調して自国通貨買い介入に動く可能性を指摘する声がある。18日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=154円32銭(8時53分時点)と前日比0.1%上昇。17日の海外時間では日米韓財務相会合の声明を受けて154円16銭まで円が買われていた。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、日米韓財務相会合を受けて「介入について米国の了承が得られたということで、いよいよ実弾介入がいつあってもおかしくないフェーズに至った」との見方を示した。

井口氏は、これまで単独での介入が想定されていたとした上で、「これで協調介入があり得るという思惑が広がっている」と指摘。日韓がタイミングを合わせて自国通貨買い・ドル売り介入を実施する可能性を想定した。G20会合で日韓の姿勢が自国通貨安に苦しむ新興国にも広がっていくと、「ドル高のスピードが少し弱まっていく可能性はある」と述べた。

原題:Yellen Acknowledges Japan, S. Korea Worries Over Yen, Won (1)(抜粋)

--取材協力:Eunkyung Seo、占部絵美、下土井京子、関根裕之.

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最終更新:4/18(木) 9:00

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