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紀文食品 Research Memo(9):「持続的成長サイクルの確立」を基本戦略に中期経営計画を推進

3/28 14:39 配信

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紀文食品1,147-2

 ■中期経営計画

1. 現中期経営計画
紀文食品<2933>には、ブランド力、商品企画・開発力、物流サービスなどの「強み」、健康志向や和食文化への関心の高まりなどの「機会」、財務体質や利益率などの「弱み」、漁獲の減少などの「脅威」があると自己分析をしている。そうした「強み」の強化と「機会」の獲得、「弱み」と「脅威」の克服を重要課題とし、「持続的成長サイクルの確立」を基本戦略に、収益性向上と財務体質改善による基盤づくりを進める3ヶ年の中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を上場直後の2021年5月に策定した。そのなかで「強み」の強化と「機会」の獲得では、海外市場への積極展開、国内外の健康ニーズの取り込み、ロングライフ商品の開発拡充、簡便・即食ニーズへの対応強化、ものづくりDXの更なる進化を進め、一方「弱み」と「脅威」の克服では、増資による資本増強、設備刷新による生産性の向上、持続可能原料の調達・研究、フードロス対応の推進、ESG・SDGsへの取り組み強化を掲げ、以下のような成長戦略を展開してきた。

(1) 国内食品事業
同社は国内では、シェア拡大、商品拡充、販売チャネル拡大、生産設備の増強などを推進してきた。シェア拡大に向けては、水産練り製品や惣菜などの健康価値の訴求や、正月など和食文化の保護継承の推進とともに、顧客とのコミュニケーションの充実を図っている。また、簡便性による付加価値向上や顕在・潜在ニーズに対応した商品開発、原材料調達力や製品供給力の強化にも取り組んできた。商品拡充と販売チャネル拡大では、減塩・糖質オフなどの健康志向商品やタンパク加工技術による商品、新規カテゴリー商品の拡充を図った。また、ECなど成長の著しい流通形態への展開に加え、水産品や食品原材料の取引ノウハウを生かした調達、国内卸販売、輸出も強化してきた。生産設備の増強としては、ライン集約による定番商品の生産性向上、商品のロングライフ化による生産の平準化、自動化・省人化・省エネルギー化・食品ロス削減など環境負荷を低減する設備への更新、品質向上や労働安全対策が進む設備への更新を進めている。様々なコスト増が同時に発現し高止まりするなかで、グループ企業の連携強化による業務プロセスの見直し、共通業務の集約化などによるコスト削減も目指した。

(2) 海外食品事業
海外では、和食や水産練り製品の現地展開の拡大、市場トレンドとなっている健康志向ニーズに向けた商品展開、マーケティングや商品開発の機能強化、グローバルワイドでの供給能力の強化を進めることで、グローバル市場における同社ポジションを確立することを目指してきた。また、各地の販売体制を強化しローカルマーケットを拡大するとともに、地域に合った商品を投入することで新規顧客を開拓、タイでは生産能力の増強を図った。

(3) 食品関連事業
主力のチルド物流サービスではITとの連動を強化し、より高い鮮度・品質・スピードで納品することで荷主や運送パートナーとの信頼関係を一層高め、物流事業の高付加価値化を図ってきた。また、共同配送や仕分サービス、在庫管理といった多様な機能を訴求して外部売上を伸ばす一方、配送ネットワークやコストの見直しによって効率化を図り、高品質かつ環境負荷の低いチルド物流サービスを実現を目指した。ほかにも、食品安全衛生管理に関するノウハウの外販も検討を続けているようだ。

(4) 経営基盤の整備
社会や株式市場にも配慮し、社是である「感謝 即 実行」に基づきESG経営を推進することでSDGsの達成も目指した。環境(E)については、省エネルギー、環境負荷軽減、商品ロングライフ化、フードロス削減、持続性資源の調達と研究開発により、自然への感謝を示しながら持続性を追求している。社会(S)については、人材育成と職場環境の整備、健康と安全・安心の提供、伝統文化・和食文化の保護と継承により、人材の活性化と文化社会貢献を進めている。統治(G)については、内部通報制度や法令遵守強化、危機管理対策(BCP策定、ものづくりDX2.0など)、誠実なIR、指名報酬委員会設置を通じて、内部統制強化と透明性の確保を図っている。

(5) 中期的なキャッシュ・フローと配当政策
現中期経営計画策定時は、上場時の増資資金と3年間で創出する予定の営業キャッシュ・フローの合計126億円を、設備投資や借入返済、配当などに充てる方針であった。設備投資は3年間で63億円程度を予定し、内訳は国内食品事業の成長戦略に17億円、生産設備の刷新に32億円、その他2億円、海外食品事業の世界戦略商品の増産に12億円としていた。また、借入金依存度35%以下を目指して借入返済に44億円、20%程度を当面の配当性向目標として残額を配当などに充当する計画となっていた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《AS》

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最終更新:3/28(木) 15:58

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