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意外と多い「新NISA成長投資枠で株式投資」の意向、「安定した利回り」を求める投資意向とはギャップ

3/15 16:54 配信

ウエルスアドバイザー

 投資信託協会が実施した「投資信託に関するアンケート調査 2023年」が3月13日に発表された。20歳~79歳の全国2万人の声を集めた調査で、調査時期は2023年9月29日~10月10日と、新NISAの開始を前にして投資に関する関心が高まり始めた頃のタイミングになっている。この調査結果では、新NISAに関する関心が、従来のNISA制度と比較して高いことがわかったものの、新NISAの成長投資枠での投資対象として45%の人が第一選択肢として「株式」と回答する(インデックスに連動する投資信託は約24%)など、「長期・分散・積立投資」の普及には、依然として課題があることも浮き彫りになった。
 

 調査結果によると、新NISAの認知率は52.3%だった。旧NISA(「一般NISA」が75.3%、「つみたてNISA」が76.0%)と比較すると低いものの、制度開始前の調査にしては比較的高い認知率といえる。また、新NISAの利用意向については、「成長投資枠」を29.5%が利用したいと答えており、これは前年調査での「一般NISA」の25.6%を上回り、「つみたて投資枠」も28.1%と「つみたてNISA」の22.9%を上回る結果になった。認知度の高さ、そして、利用意向において新NISAへの期待が高いことがわかった。
 

 新NISAの魅力については、「非課税保有期間の無期限化」、「年間投資枠の拡大」、「口座開設期間の恒久化」などについて評価が高く、いずれの項目も「旧NISAで現在商品保有者」よりも「旧NISAの非利用者かつ新NISAの利用予定者」の方が、評価するという回答比率が高く出ていることから、旧NISAでは制度を利用していなかった人でも新NISAでは制度を活用し始める人が少なくないことが期待される。
 

 一方、新NISAの投資行動について聞いた結果では、「成長投資枠」において「毎月一定額を積立投資したい」という回答が39.8%を占め、これは、前年に一般NISAで積立投資をしたいという回答の29.6%よりも10%ポイント以上上回る高い回答率になった。この積立投資がしたいという回答は、年代別には「30代」が50.7%、「40代」が47.2%、「20代」が46.7%と若い世代に積立投資意向が強いことがわかる。その積立金額については、月次の積立投資希望額の平均は「成長投資枠」で4.8万円、「つみたて投資枠」で3.3万円という回答になった。これは前年の「一般NISA」での2.9万円、「つみたてNISA」の1.8万円を大きく上回る結果になった。
 

 また、新NISAで投資したい金融商品について聞くと、成長投資枠の複数回答では「国内上場株式」が54.9%で最も高く、ついで、「インデックス運用を行う投資信託」が41.0%、「海外上場株式」が30.3%となった。そこで、「最も購入したい商品」を聞くと、「国内株式」が33.2%、「インデックス運用を行う投資信託」が23.6%、「海外上場株式」が11.7%となり、個別株式を第一の選択肢と考えている人が約45%を占める結果になった。株式を投資対象に考えている人の比率が高い印象だが、新NISAで選択したい金融商品の性格について聞いた回答では、成長投資枠の利用意向者は「安定した利回りを目標とするもの」が38.7%でトップであり、次に、「元本の安全性が高いもの」が21.8%で、株式への投資期待として妥当と考えられる「値上がり期待が持てるもの」という回答は19.9%にすぎなかった。
 

 「安定した利回りを目標とするもの」といったインカム収益に重きを置く投資対象としては、債券ファンドのような債券、あるいは、株式でも高配当株式など一定の条件を満たす株式を選ぶことが妥当と考えられる。回答者の意図が、「上場株式」としつつ、そこに「高配当」を含んで考えているのであれば問題はないのだが、「元本の安全性が高いもの」という考えで、「上場株式」を選ぶのは、選択に少し無理があるといえる。同じ株式に投資する場合でも「投資信託」、「ETF(上場投資信託)」であれば、数十、数百といった銘柄に分散投資して価格変動を抑える工夫がある。そのような「投資信託」という選択肢を飛ばして「上場株式」を選好する姿勢には、一種の危うさが感じられる。「投資信託」についても、「インデックス運用を行う投資信託」が突出していることも投資意向との間でギャップがある。
 

 「安定した利回りを目標とするもの」、「元本の安全性が高いもの」に高い優先順位があるのであれば、「債券で運用する投資信託」、あるいは、「株式や債券など幅広い資産にバランスよく投資する投資信託」などが選択肢として浮上しても良い。このあたりは、新NISAで金融商品購入検討のきっかけとして「金融や投資を勉強して理解できたら」(15.5%)が最も高い回答率になっており、金融商品や投資についての理解について依然として不安を感じている人が多いことがうかがえる。新NISAがスタートして2カ月余りが経過し、投資信託の市場では「インデックス運用を行う投資信託」に前年末までを上回る勢いで資金流入が続いている。新NISAスタートの影響が証券市場に及んでいることは明らかだが、この流れをより広く太いものにするため、金融経済教育の浸透が求められているといえるだろう。(イメージ写真提供:123RF)
 

ウエルスアドバイザー

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最終更新:3/15(金) 16:54

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