(ブルームバーグ): 中国共産党の習近平総書記(国家主席)が金融政策に関して以前語った内容を引用した本の一節が28日、中国人民銀行(中央銀行)の量的緩和(QE)を巡る臆測を株式・債券トレーダーの間に広げた。
3月に出版された172ページのこの本によれば、中国は金融政策の手段を拡充させ、人民銀は公開市場操作(オペ)で国債の売買を徐々に増やすべきだと習氏が述べたという。
この発言は、昨年10月に開催された10年に2度の「中央金融工作会議」での習氏のスピーチから抜粋された。古い曖昧な発言だが香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の記事で取り上げられ、トレーダーの注目を集めた。
少数ながら一部の市場参加者がQEを検討していることを意味するのではないかと材料視し、これが28日の中国株上昇を後押しした。
ただ、大半の識者による認識はQEにゴーサインを出したわけではないというもので、人民銀が市場から直接国債を購入するところまで踏み込むべきかどうかに議論が集中した。
みずほセキュリティーズのエコノミスト、セリーナ・チュウ氏は、「人民銀の取引規模が巨大であることから、流通債券市場で人民銀による取引が増えれば、金利市場のボラティリティーを高めるだろう」と指摘した上で、「それが習氏が示唆したものかどうかは分からない。QEを暗示するものではないと思う」と語った。
原題:Old Xi Speech on China’s Monetary Tools Catches Trader Eyes (1) (抜粋)
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最終更新:3/28(木) 21:33
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