GDP1─3月期は年率2.0%減、内需に弱さ 特殊要因響く

5/16 9:20 配信

ロイター

Kentaro Sugiyama

[東京 16日 ロイター] - 内閣府が16日発表した2024年1─3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.5%減り、2四半期ぶりにマイナスとなった。年率換算では2.0%減。一部自動車メーカーの認証不正問題に伴う生産・出荷停止など特殊要因が影響し、個人消費や設備投資が押し下げられた。

1─3月期は、ダイハツ工業と豊田自動織機の認証不正問題、能登半島地震、23年10─12月期に生じたサービス輸出急増の反動など複数の特殊要因がある。

GDPの過半を占める個人消費は前期比0.7%減。2008年4─6月期から09年1─3月期以来の4四半期連続マイナスとなった。個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資も同0.8%減と、2四半期ぶりのマイナス。自動車メーカーの出荷停止が個人の買い替えや企業のトラック購入の制約となった。

民間住宅は2.5%減で3四半期連続マイナス。公共投資は3.1%増で3四半期ぶりプラスだった。

国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーター(原系列)は前年同期比3.6%上昇。23年10ー12月期の3.9%上昇から上昇幅は縮小した。

ロイターがまとめた民間調査機関17社の予測によると、1─3月期実質GDPの予測中央値は前期比0.4%減、年率換算で1.5%のマイナスだった。

23年10─12月期実質GDPは前期比0.004%増、年率0.01%増に遡及改定された。

<4─6月期はプラス成長の見通し>

現段階で24年4―6月期はプラス成長となる見通し。日本経済研究センターが14日発表したESPフォーキャスト5月調査(回答期間4月26日─5月8日)によると、民間エコノミストの予測平均は年率2.10%増となっている。

24年春闘における賃上げが徐々に実際の給与に反映されていく中、6月の定額減税が消費者マインドの追い風になることが期待されており、政府もデフレ完全脱却に向けて「徐々に進捗している」(内閣府幹部)との認識を示している。

ただ、足元の外為市場の円安進行がコストプッシュ型インフレを再燃させ、家計の所得環境を悪化させかねないとの懸念も浮上している。大和証券の末広徹チーフエコノミストは「足元で個人消費の弱さが目立つことから、日銀が追加利上げで円安阻止に動くべきとの議論がマーケットで強まる可能性がある」との見方を示す。

新藤義孝経済財政相はGDPの発表を受けた談話で、中国経済の先行き不透明感や中東情勢の不安定化に伴う資源価格の変動に注視する必要があると指摘。「為替の変動が輸入物価の上昇を通じて国内物価を押し上げるリスクなどに十分注意する必要がある」とした。

<23年度の実質GDP、3年連続プラス>

23年度の実質GDP成長率は1.2%で、3年連続のプラスだった。個人消費が弱含んだものの、公共投資や設備投資がプラスに寄与した。

名目GDP成長率は5.3%で、1991年度(5.3%)以来32年ぶりの伸びとなった。

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最終更新:5/16(木) 11:53

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