横須賀中央駅前に33階建てタワマン計画、市中心部で進む再開発の効果は《楽待新聞》

5/12 19:00 配信

不動産投資の楽待

横須賀市の中心部で再開発計画が進んでいる。

近年、人口減少が進む横須賀市だが、2015年には38階建ての「ザ・タワー横須賀中央」が建てられるなど、中心部ではビッグプロジェクトが続いている。

今年2月末には京急電鉄「横須賀中央駅」からデッキでつながる商業施設「横須賀プライム」が閉館し、その跡地に地上33階建ての複合商業施設が建設される予定だ。

現時点で判明している再開発計画の内容を紹介しつつ、横須賀市の今後を展望する。

■2013年の人口減少数が「全国トップ」に

横須賀市は神奈川県の南東部、三浦半島の中心に位置する。1853年にペリーが浦賀沖に来航したことでも知られる軍港のまちだ。

横浜市、逗子市、三浦市、三浦郡葉山町に隣接しており、総面積は100.81キロ平米で神奈川県では7番目の広さとなっている。

人口は2024年4月1日時点で37万1930人、世帯数は16万5975世帯。人口規模では、横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市に次いで神奈川県で5番目の都市だ。

ただし、1990年の43万3358人をピークに人口は減少しており、2013年には人口減少数が全国の市町村でトップという不名誉な結果となった。2023年4月1日からの1年間だけでみても4000人以上減少しているのが実情だ。

そんな横須賀市の地理上の大きな特徴は、海に囲まれていることと丘陵や傾斜地が多いこと。トンネルが150本以上通っており、「日本一トンネルが多いまち」とも言われている。

市内にはJR横須賀線も走っているが、都心へのアクセスが良好な京急電鉄の利用が多い。今回、再開発計画が行われている若松町1丁目は、京急電鉄「横須賀中央駅」から約50メートル、徒歩1分ほどのエリアだ。

■市内で最も利用者が多い「横須賀中央駅」

市民から「中央」と呼ばれる京急電鉄「横須賀中央駅」は、横浜駅へ約40分、品川駅へは1時間強のアクセス。横須賀市の中心駅・代表駅として機能しており、山口百恵さんの「横須賀ストーリー」が接近メロディとして使用されていることでも有名だ。

周辺には「いちごよこすかポートマーケット」や「三笠公園」などの観光スポットのほか、横須賀市役所や神奈川県の合同庁舎、神奈川県横須賀警察署、横須賀市消防局など行政の中心地でもある。

横須賀市が公表している「令和4年度版横須賀市統計表」によると、市内の駅別乗客数(2021年度)では第1位になっている。

■52年の歴史に幕を閉じた「横須賀プライム」

2月末に閉店した「横須賀プライム」は、この「横須賀中央駅」東口改札前にある6階建ての商業施設だ。駅と横須賀中央Yデッキ(ペデストリアンデッキ)でつながっており、半円形型の入り口が特徴。飲食店や100円ショップ、カフェ、靴屋などの店舗が軒を並べ中心地のにぎわいに一役買っていた。

「横須賀プライム」は、当時業界最大手だった月賦百貨店「緑屋」の横須賀店として1972年に開業。屋上に観覧車が設置されており、横須賀市のランドマーク的存在として家族連れでにぎわった。

しかし、業績不振によって1976年に西武百貨店と資本提携し、西武グループの一員として再スタートした。1985年に「ウォーク横須賀」、95年にはテナント店を主体とした「ザ・プライム」に変更されている。

月賦百貨店「緑屋」は1989年に株式会社クレディセゾンに商号を変更しており、「ザ・プライム」の運営はクレディセゾンの連結子会社である株式会社コンチェルトが担っていた。

■駅前で相次ぐタワマン開発

人口減少の改善や市内の活性化のために、横須賀市では「横須賀中央エリア再生促進アクションプラン」を策定。助成金や特別減税など建て替え事業を支援する優遇を設け、エリアの再開発を促している。

その中で2015年に誕生したのが地上38階(地下2階)建ての「ザ・タワー横須賀中央」だ。総戸数は297戸で、賃貸に出されている住戸もあり、神奈川歯科大学や神奈川県立保健福祉大学といった大学教職員、米軍関係者などをターゲットにしている。

今回、若松町1丁目で進んでいる再開発計画は、「横須賀プライム」跡地を含めた約0.6ヘクタールの敷地に地上33階(地価1階)建ての複合型商業施設を建設予定。1階~4階が店舗、5階が住宅共用室、6階~10階がホテル、11階~33 階が住宅。住宅戸数は2LDK(約54平米)が86戸、3LDK(約73平米)が187戸の合計273戸となっている。

高さは128メートル。横須賀市によると144メートルの「ザ・タワー横須賀中央」に次いで、市内2番目の高さになる。

建築工事開始は2025年10月15日、竣工は2029年5月末となっており、2029年夏ごろには開業される見通しだ。

■周辺でも再開発計画を検討中

市街地再開発事業は、これまで市内5地区で実施しており、この若松町1丁目地区のほか、追浜駅前第2街区でも市街地再開発事業が進んでいる。さらに「横須賀中央駅前地区」「三笠ビル地区」「若松町2丁目地区」「若松町1丁目北地区」など検討中の案件も多い。

今後、これらの再開発事業が実施されると、横須賀市内の活性化が進み、上昇傾向にある土地価格をさらに押し上げるほか、住戸の資産価値が上昇することも期待できる。

しかし一方で、人口減少が続く中でタワー型マンションが林立して供給過剰になると、新築・中古ともに販売価格の値崩れが起き、賃貸物件の賃料も下落する可能性がある。

横須賀市では都市づくりの目標と取り組みの基本的な考え方として、「都市魅力で選ばれるまち横須賀」を掲げている。

人口増加には市外からの流入が不可欠だが、横浜市や藤沢市、鎌倉市などブランド力の高い周辺市町村を抑え、「横須賀市で暮らしたい」と思ってもらえる魅力的な新施設となるか、今後の続報を待ちたい。

倉岡明之進/楽待新聞編集部

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最終更新:5/12(日) 19:00

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