「三菱トライトン」と「トヨタ ハイラックス」一線を画した明確な違い【試乗記】

6/19 20:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 “遊びグルマ”の選択肢が広がった。トライトンは世界150カ国で愛される三菱の主力ピックアップ。日本仕様はダブルキャブ仕様。2.4Lディーゼルターボ(204ps)を積む豪快4WDである。

● 三菱の世界戦略ピックアップ 今回は見てのとおりたくましく、ワイルド

 話題の三菱トライトンに富士山麓の公道とオフロードコースで試乗した。トライトンは累計生産台数150万台以上/世界150カ国で販売してきた三菱の世界戦略ピックアップである。

 日本仕様はボディサイズ5360×1930×1815mm(GSR)の5人乗りダブルキャブのみ。2.4L直4ディーゼル(204ps/470Nm)に6速ATが組み合せている。2グレード体系で、GLS(498万800円)とGSR(540万1000円)という三菱ファンの心をくすぐるグレード名も話題だ。GSRは、スタイリッシュなオーバーフェンダーやベッドライナー、本革シートが標準となる上級仕様だ。

 10数年前に限定販売されたときのトライトンは、当時のアウトランダーに通じる乗用車っぽいスタイリングだった。対して今回のトライトンは見てのとおりたくましく、ワイルドだ。

 フロントマスクは三菱車共通のダイナミックシールドの要素が入っているものの、独自性が明確。個性的で“強いデザイン”は、海外では他社のライバルと並べて販売されることが多く、そうした状況でも埋没しないことを意図したからだという。力強く、アグレッシブな造形は素直にカッコいいと感じる。

 ちょっと武骨な雰囲気のインテリアもいい。外観と調和していて、質感は十分に高い。メーターは中央に7インチのカラー液晶を配した2眼式。水平基調のレイアウトでどこに何があるのかひとめでわかり、収納スペースも豊富に設定されている。

 キャビンはロングホイールベースも効いて、相当に広い。前席はもちろん、後席の居住スペースも余裕がある。後席向けの空調として、頭上にリアサーキュレーターが配されている点もうれしい。

● オンロードの快適性は並みのSUV以上 しかも圧倒的な悪路走破性の持ち主

 走りはいろいろ“目からウロコ”だった。前回導入のトライトンはスタイリングこそモダンだったが、乗ると「ああやっぱりトラックだな」という感じがした。ところが、今回のトライトンは、まったく逆。見た目はいかにもタフなイメージながら、ラダーフレーム構造とは思えないドライブフィールに仕上がっていた。やせ我慢することなくSUV感覚で乗れることを、会場周辺の公道を走ってすぐに実感した。

 印象的なのは乗り心地のよさだ。突き上げが圧倒的に小さく、ワナワナと振動し続けることもない。いたって快適な乗り心地を実現している。操縦感覚も同様。ラダーフレームにありがちな応答遅れはわずか。ラックパラレル方式を採用したという電動パワーステアリングのフィーリングは上々で、操舵力は軽く扱いやすい。

 ラダーフレームでもここまでできることに感心した。その走りはラダーフレーム方式のライバル、たとえばハイラックスなどと一線を画している。聞いたところでは、フレーム剛性の強化と分析を綿密に行ったという。それが素晴らしい結果となって表れている。

 運転を交代して後席に乗せてもらっても、よい印象はそのまま。リアタイヤが着座位置よりもだいぶ後方にあるおかげで、路面からの入力や音はほとんど気にならない。実に快適だ。コーナリング時の横方向の動きもマイルド。急激にGが立ち上がることはなく、いたって自然だ。タカをくくっていた後席の乗り心地だが、想像よりもはるかにくつろげた。これなら長距離クルーズも大歓迎である。

 エンジンの実力も予想以上だった。2ステージターボシステムを採用し、204ps/3500rpm、450Nm/1500~2750rpmのハイスペックを実現した2.4Lクリーンディーゼルはパワフルでかつ振動が少ない。しかもリニアなレスポンスとスムーズな吹き上がりを実現している。実に気持ちいい。エンジンも新型の大きな魅力だ。

 オフロードコースでは、優れた走破性を存分に体感した。4WDシステムには定評ある三菱独自の“スーパーセレクト4WD-II”を搭載しており、7つのドライブモードが搭載される。

● ここまで進化し洗練され しかもタフなピックアップトラックは世界でもない

 前日に降った雨の影響でコースはだいぶ難易度が増している個所があった。トライトンは、それをものともせず駆け上がっていく。4LLC(ローギア直結4WD/センターデフロック)にセットし、ドライブモードをMUDかSANDに設定するとスリップが抑えられ、たいていのところは走破できる。スタックしても、センターに配されたスイッチを押してリアデフロックにすると大丈夫。見事に切り抜ける。運転が簡単で快適であることも印象的だ。

 舗装路でも好印象だったエンジンは、豊かな低速トルクとリニアなレスポンスのおかげでオフロードでも非常に扱いやすい。新開発のシャシーはサスペンションストロークが長く、足がちゃんと届く感覚がある。剛性が向上したラダーフレームと相まって、路面からの入力を巧みに吸収してくれる。

 新開発の電動パワーステアリングもいい仕事をしている。キックバックが小さく、ストレスを感じさせない。ブレーキを駆使した三菱独自のAYCやアクティブLSDも、縁の下で圧倒的な走りを支えてくれているに違いない。

 完成度と実力の高さに感心しきり。ここまで進化し洗練され、しかもタフなピックアップトラックは世界でもない。好調な売れ行きは高い実力に裏打ちされている。ピックアップに憧れを抱く筆者は、手に入れたユーザーが無性にうらやましい。

 (CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)

ダイヤモンド・オンライン

関連ニュース

最終更新:6/19(水) 20:02

ダイヤモンド・オンライン

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング