「ダンスをやりたい」より「ダンスをやる!」と言い切る…子どもの自信とやる気をつくる「親の7つの口ぐせ」

4/20 7:17 配信

プレジデントオンライン

子どもの自身とやる気を引き出すには、どうすればいいのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「子どもの自己肯定感を上げるには、親の自己肯定感がとても大事になる。そのために親がふだん何げなく発する言葉を、少しずつ意識して変えてほしい」という――。

 ※本稿は、中島輝『何があっても「大丈夫。」と思える子に育つ 子どもの自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■親の自己肯定感は子どもに受け継がれる

 何げないひと言は、自己肯定感を上げもすれば、下げもします。

 子どもの自己肯定感を上げるには、じつは親の自己肯定感がとても大事です。親の自己肯定感が低くなっていると、子どもの自己肯定感も低くなっていきます。

 自己肯定感は世代間をまたいで連鎖していくのです。お母さんの自己肯定感が低い場合、そのまた母親であるおばあちゃんの自己肯定感も低かったのかもしれません。

 「代理強化」とは心理学用語で、ほかの人の行動とその結末を観察して学習することをいいます。別名、「観察学習」や「モデリング」とも呼ばれ、関係性が密接であればより強く働きます。

 もちろん親子の関係性のなかでも代理強化は強く働きます。

 お母さん、お父さんの姿を見て、子どもはマネをし、ポジティブなところもネガティブなところも吸収してしまいます。

 もしお母さん、お父さんが「自分の自己肯定感は低い」と感じているなら、いまから自己肯定感を高めて、次の世代につなげてください。

■お父さん、お母さんの口ぐせを変えてみよう

 とはいえ、いますぐ自己肯定感をアップするなんて、とてもできないと思われる方もいるでしょう。そこで即効性があるのが、お母さん、お父さんがふだん何げなく口にする言葉。そう、口ぐせを変えるのです。

 からだは食べものからつくられますが、こころは口ぐせからつくられると、わたしは思っています。

 自分自身が口にする言葉は、自分でコントロールできます。ですからぜひ、お母さん、お父さんがふだん何げなく発する言葉を、少しずつでいいので意識してみてください。

 子どもの自信とやる気をつくる口ぐせと、そのポイントは7つあります。

■まずは「そうなんだ」と受け止めてから質問

 ①「傾聴→承認→質問」の法則

 傾聴、承認、質問は「9:3:1」の割合で愛情を込めて行いましょう。

 どういうことかというと、子どもの話に対して、9倍くらいの気もちで傾聴(その子のこころのなかを聞く)し、3倍くらいの愛情の承認を与え、やさしいトーンと明るい雰囲気で1つ質問をするという法則です。数字はあくまでも目安なので、そのくらいのつもりで対応してほしいという意味です。

 たとえば忙しいときに「お母さん、今日こんなことがあったんだ」と子どもが話しかけてきたとき、どんなふうに聞いてあげますか。

 ここで大切なのは、言葉だけでなく、声のトーンと表情です。同じ「そうなんだ、よかったね」と答えるにしても、「そうなんだー♪ よかったね~♡」と、やさしく受け止めてあげてください。文字ではトーンがなかなか伝わらないので、絵文字で表現してみましたが、あなたなりのやさしい受け止め方でOKです。

 「そうなんだ」「そんなことがあったのね」という受け止め言葉は、ぜひ口ぐせにして、傾聴→承認→質問の順番と量を意識しつつ、大切に受け止め、そのあとに質問してあげると、たったそれだけで子どもの自己肯定感や特性が発揮されていきます。

■ネガティブな言葉は「否定脳」を育てる

 ②脳の仕組みを知り、肯定的な言葉でコントロールする

 少し難しい言葉ですが、RAS(脳幹網様体賦活系)という脳機能があります。RASには、自分が興味や関心がある情報を無意識に多くインプットする役割があります。自分が積極的に注意を向けているものを、いちばん重要視するという、フィルターのようなものです。

 簡単にいえば、五感から入ってくるあらゆる情報のなかで、必要な情報だけに意識を向ける、逆にいえば必要のない情報は入ってこないようにするのが、RASの役割です。

 この機能を活用します。つまり、ポジティブな言葉かけ、肯定的な言葉を親が使うようにするのです。親がポジティブな部分を見いだすと、子どももどんどんポジティブなことを探し、ポジティブになっていきます。親からの肯定的な言葉や話を聞くことによって、子どもは肯定脳になっていくのです。

 逆にいえば、ネガティブな言葉のシャワーを浴びてしまうと、どんどん自己肯定感が下がっていきます。残念ながら、ネガティブな言葉や否定系の言葉は、ポジティブな言葉や肯定的な言葉よりもインパクトが強いので、それだけ印象に残ってしまいます。すると、ネガティブな情報だけを集める否定脳になってしまうので、注意しましょうね。

■子どもの目が輝くときを見逃さない

 ③子どもの目が輝いた口ぐせを毎日伝える

 あなたのお子さんは、どんな言葉かけをしたときにうれしそうに目を輝かせますか。それを少しだけ意識してみてください。そしてその言葉を毎日伝えるようにしましょう。

 短い言葉でいいのです。

 たとえば、お子さんが話してきたことに対して、「よかったね」「それはうれしいね」「大丈夫だよ」「すごいわね」「さすがだね」など、どの言葉を伝えたときに、うれしそうに目を輝かせるか。お子さんをしっかり観察してみるのです。

 子どもの目が輝くときは、脳に快のスイッチが入ったとき。そうなるとプラスの連鎖になり、子どもの肯定感情と肯定脳が育まれていきます。いかがですか。いまからお子さんの目がキラッと輝いた言葉をメモしましょう。そして、毎日伝えることをこころがけましょう。

■論理的な言葉と情緒的な言葉を使い分ける

 ④義愛の言葉と慈愛の言葉を区別する

 義愛の言葉とは、脳でいうと左脳的な言葉です。左脳的とは冷静で論理的なもの。一方の慈愛の言葉は右脳的な言葉で、感情豊かで情緒に富んでいます。

 たとえば明日、子どもの大切な野球の試合があり、勇気づけたい場合。

 義愛の言葉なら「この1カ月間、学校が終わってから毎日1時間も練習して、その密度もすごく濃かったと思うよ。明日の試合に勝てるだけの練習を積み重ねてきたんだから、自信をもっていこう」などと、具体的に論理的に言葉を駆使して勇気づけます。

 慈愛の言葉の場合は「一生懸命やってきたから、大丈夫。そのままでリラックスしていこうね」などと感情的、情緒的な言葉を使います。

 どちらがいい悪いではなく、両方を必要に応じて使い分けられるように意識しておくとベストです。

 義愛の言葉=建設的な言葉、慈愛の言葉=情緒的な言葉を、お母さん、お父さんがうまく使い分けてみましょう。

 たとえば、お父さんが義愛の言葉を話したら、お母さんが慈愛の言葉を使う。またもう少し工夫し、学校の先生が義愛の言葉が多い先生なら、塾の先生は慈愛の言葉が多い先生を選ぶなど、親御さんがお子さんの指導者を客観的に見て、義愛タイプか慈愛タイプかのバランスを保つようにすると、お子さんの自信とやる気がぐんぐん成長していきます。

■「やりたいけど無理だよね」より「やるぞ!」

 ⑤「~したい」ではなく「~する!」といい切る

 お母さんがダンスを習いたいと思っているとします。

 このときなるべく「お母さん、ダンス習いたいな」ではなく「お母さん、ダンス習う」というようないい切りの言葉を使います。

 「やりたい」ではなく「やる!」です。

 逆に「お母さん、ダンス習いたいんだけど、運動神経悪いし、お金もないし、時間もないから、無理だよねー」なんていっていたら、どうでしょうか。こんな大人のあきらめ言葉を、子どもが日常的に聞いていたら……。

 脳は一人称と二人称を区別できません。つまり「自分」と「他人」の区別がないので、これを上手に利用しない手はありません。

 お母さん、お父さんがつねに「やるぞ!」というようなやる気に満ちた肯定的な言葉を使っていると、子どももやる気が起き、肯定感情になり肯定脳に影響を与えます。

 自信とやる気は、お母さん、お父さんがしっかり伝えていかなければ、子どもに伝わりません。つまり、お母さん、お父さんが自信とやる気に満ちあふれれば、子どもにはそれ以上に自信とやる気が伝染していくのです。

■思春期までに思う存分スキンシップを

 ⑥言葉と同時にプラスのストロークを与える

 プラスのストロークとは、笑顔やスキンシップなどポジティブな触れ合いのこと。

 これまでにも触れた、声のトーンもそうですが、言葉に加えてちょっと肩に触れながら伝えるといったスキンシップをするようにしましょう。

 スキンシップをすることで愛情ホルモンといわれるオキシトシンも分泌されやすくなるので、親子にはおすすめです。オキシトシンは自律神経を整えるうえでとても重要な役割を果たしています。スキンシップが多い子は、セルフコントロールが上手になると心理学でもいわれています。

 子どもが大きくなるにつれ、とくに母親と息子、父親と娘など異性の親子間ではスキンシップがしづらくなり、だんだん減っていくのは避けられません。

 ですから、スキンシップをしやすい10歳までにたくさん触れ合っておくことが、とても重要になってきます。

 10歳までのプラスのストロークは、人生100年時代だと考えると、残り90年ではできないものです。お子さんとの時間は案外短いものです。大切にしましょうね。

■「私」を主語にして希望や意見を伝える

 ⑦You(あなた)ではなく、I(私)メッセージを伝える

 「(あなたに)こうしてもらいたい」というYou(あなた)メッセージではなく、「わたしはこう思う」「こうしてもらえると、わたしはうれしい」といったI(わたし)メッセージで伝えるようにしましょう。

 よくいわれることですが、どうしても、親が子どもを言葉でコントロールしてしまいがちな親子間では、できていない人が多いのではないでしょうか。

 I(わたし)メッセージを使うようにすると、子どもを非難したり、責めたりすることなく、希望や意見を伝えることができます。子どもは判断を自分にゆだねてもらった、自分を尊重してもらえたと感じます。すると、感情のコントロールがうまくできるようになり、自己肯定感も高まって、自信とやる気がみなぎってきますよ。



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中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー
自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。
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最終更新:4/20(土) 7:17

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