「新環境でのビクビク」怯える人が使える簡単テク 自己肯定感をアップするための毎日の習慣

3/24 13:02 配信

東洋経済オンライン

人事異動や転職、進学などを控え、新生活への期待と不安が入り混じる3月。まだ見ぬ出会いを目前にわくわくした気分になる一方で、新たな環境で周りの人に馴染めるか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
地元FM局でのパーソナリティを3年以上務め、日本心理学会の認定心理士でもある堀もとこ氏は、「人の気持ちを推測しても、いつまでも正解にはたどり着けません。正解は、その人しか持っていないから、考えるだけ時間の無駄なのです」といいます。

同氏の著書『悪口を言われても気にしない人の考え方』より、周りの反応を気にせず、自分のペースで人間関係を構築できるようになるための方法を一部抜粋してお伝えします。

■身近なところにある「確証バイアス」

 心理学の言葉で、「確証バイアス」というものがあります。

 これは、自分で正しいと思うことや、自分にとって都合のよい情報だけを集め、それ以外の情報はあまり記憶に残さないという脳の性質のことです。

 身近なものでは、血液型占いがそれにあたります。

 A型は几帳面で真面目、B型はマイペースで個性的、O型は大雑把、AB型は二面性がある……。

 これは各血液型に対する一般的な認識ではあるものの、その一方で血液型と性格の関連には、科学的な根拠はないとも言われています。

 私はA型なのですが、お菓子の袋ゴミはおみくじのように小さく折りたたみます。そのまま捨てるよりも、折りたためばかさが減るからです。

 私のそんな行動を見ると、たいていの人が「やっぱりA型だね」と言うのですが、これこそが「A型は几帳面である」という確証バイアスです。一方で、私はモノを片づけるのが得意ではありません。

 使ったハサミをそのまま放置することは日常茶飯事。車の鍵もしょっちゅう行方不明になっています。

 ですが、これは血液型占いで言うところの「A型は几帳面」には当てはまらないので、「片づけが苦手」という印象を持たれることはあまりありません。

 このように、日常のいたるところで確証バイアスが働き、人の脳は自分の思い込みとは逆の情報や、自分に不利な情報を受け取らないまま過ごしています。

 悪口というのは、たいていが自分の予想外のシーンで起こるもの。脳は自分に不利な情報は受け取らないようにプログラムされているので、プログラム外のことがあると、バグが起きて思考停止してしまうのです。

 では、悪口を言われて思考停止になってしまったとき、そこから自力で抜け出すためには、どのような考え方を身につければよいのでしょうか。

■人の価値は悪口や他人からの評価で左右されるものではない

 私は、三重県内の中学や高校で講演をすることがあります。そんなとき、必ず披露する鉄板ネタがあります。おもちゃの1万円札を用意し、生徒さんに尋ねます。

 「みんな、この1万円札が本物だとしたら、欲しい?」

 ノリのいい生徒さんがいると、「欲しい!」「課金する!」「何か買う!」と口々に答えてくれます。

 そこで私は、1万円札をパシッと叩きます。

 「私は今、この1万円札を叩きました。さて、叩かれた1万円札だけど、欲しいかな?」

 生徒さんは変わらず「欲しい」と言います。叩かれる前も、叩かれた後も、1万円札に変わりはないからです。

 次に私は、1万円札を握りつぶします。

 「私は今、この1万円札を握りつぶしました。見て、ほら。こんなにくちゃくちゃ」

 手のひらでぎゅっとつぶされて小さくなった1万円札。

 それでもみんな「開いたら使える」などと言い、やはり「欲しい」と言います。握りつぶされる前も、握りつぶされた後も、1万円札には変わりはないからです。

■1万円札をドンドンと踏みつけても…

 今度はその丸まった1万円札を床に落とし、足でドンドンと踏みつけます。

 「この1万円札を踏みつぶしました。叩かれて、握りつぶされて、そのうえ私に踏まれてぺちゃんこになった1万円札。欲しい?」

 生徒さんは笑いながら答えます。

 「欲しい!」

 踏まれる前も、踏まれた後も、1万円札に変わりはないからです。

 私はおもむろに1万円札をひろげて……。

 「じゃあ私、今度はこれをこうするね」

 叩かれて、つぶされて、踏まれてくちゃくちゃになった1万円札を、ビリビリと何枚にも破ります。

 「破ってやった。この破られた1万円札ならどう?  欲しい?」

 ここで、数人の生徒さんは「え、使えないからいらない」という反応をしますが、必ず誰かがこう言ってくれます。

 「銀行!」

 「そう!  銀行に持っていけば、新しい1万円札と交換してくれるね!」

 そう言うと、先ほど「いらない」という反応をした生徒さんも「じゃあ欲しい」と言います。

 叩いても、くしゃくしゃに丸めても、踏みつぶしても、破いても、1万円の価値は変わりません。

 叩かれても、ぐしゃぐしゃにされても、踏みつぶされても、ビリビリにこころを破られても、人の価値だって変わらないのです。

 このことを伝えたくて、私はいつもこのパフォーマンスをします。

 講演後のアンケートには「誰かに何かをされても、自分の価値は下がらないということがわかった」「1万円札の話が一番こころに残った」という感想をもらえます。

 ときどき、「人間を殴っても蹴っても価値は変わらないから、何をしてもいいってことだ」と、こちらの意図とは違う受け止め方をする子がいるのも事実ですが、そう受け止めること自体が「認知のゆがみ」であり、その子からのSOSであると考えています。

■人のモノサシで自分の価値を判断する無意味さに気づく

 人は、悪口を言われたら価値が下がるのでしょうか?  そうではありません。悪口というのは、誰かが勝手に自身の主観で言うことです。

 猫を見て「かわいい」と言う人もいれば、「汚い」と言う人もいるように、人は自分のモノサシで勝手にいろいろなものを測り、好き勝手に言っているだけなのです。

 悪口を言われてこころが折れてしまう人は、その多くが自分で自分を「価値がない」と思い込んでいるので、常にその思い込みが正しいかどうかの答えを探しています。

 だから悪口を言われると「やっぱりそうだ!  自分で価値がないと思っていたけど、他人から見ても価値がないんだ」と、正解を見つけたような気持ちになり、その悪口にどんどん捉われてしまうのです。

 自分で自分の価値を下げているならば、自分で自分の価値を上げることもできるはず。

 「そんな……。私には価値なんてありません」 と、みなさんおっしゃいますが、次のことを毎日するだけで、必ず自己肯定感を上げることができます。

■毎日鏡に向かって笑顔を作る

 毎日、顔を洗ったり化粧をしたりして使う鏡ですが、自分の素の表情を見ているだけではもったいない。鏡を有効活用して、毎日笑顔を作ってみましょう。

 脳は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいと認識するようにできています。

 脳に「楽しい」と認識させるためのスイッチは、目の少し下の、頬骨のあたりにあるので、この部分が動くぐらい表情筋を使って笑顔になることがポイントです。

 自己肯定感が低いうちは、自分の笑顔さえも気持ちが悪いと思ってしまいますが、どうせ誰も見ていないのですから大丈夫。毎日、笑顔の練習をしましょう。

 慣れてきたら、笑顔を自撮りするのをおすすめします。

 鏡で見るだけよりもハードルは高いのですが、自撮りのほうが効果は大きいです。

 このときに注意したいのが、あくまでも撮るのは笑顔であってキメ顔ではないということです。

 おそらく、ほとんどの方がキメ顔で写真を撮ることに抵抗感は少ないでしょう。

 集合写真や証明写真などで、キメ顔には慣れているからです。

 ですが、キメ顔を撮っていては意味がありません。笑顔であることが重要なのです。

 最初は全く笑顔が作れなくても構いません。

 少しずつ、口角をあげ、目の周りの筋肉も使い、最終的には歯を見せてはじける笑顔で自撮りをしましょう。

 実はこの「笑顔の自撮り」、YouTube講演家の鴨頭嘉人さんが主宰する「話し方の学校」で課された宿題でした。

 私も最初は、キメ顔・キメ笑顔で撮っていました。

 他人の評価が気になって、こころからの笑顔を作れなかったのです。

■自己肯定感アップにつながる

 それでも毎日笑顔の自撮りに取り組んだ結果、気がついたら自己肯定感は上がっているし、何よりも周囲から「笑顔が素敵」「いつも楽しそう」「頼りになる」などと言われるようになったのです。

 どの角度で、どの背景で、どの表情で撮ればいいのかを考える。撮った笑顔を自分の目で見て認識する。

 この流れが、自己肯定感アップにとても効果的なのです。

 どんなに一生懸命他人に接していても、他人が自分のことをどう思うかまではコントロールできません。

 悪口を言われているのではないか、嫌われているのではないかと毎日疑心暗鬼になって生活するより、自分でできることからはじめて、新年度を気持ちよく迎えるための準備をしてみてはいかがでしょうか。

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最終更新:3/24(日) 13:02

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