ヘッジファンド、高リスクCLOのファンドに年金マネーを引き寄せる

5/10 20:47 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 1兆3000億ドル(約202兆円)規模のローン担保証券(CLO)市場で最もリスクの高い部分が、世界で最も保守的な投資家を引きつけている。

匿名を条件に話した複数の資産運用関係者によると、年金基金や保険会社はここ数カ月、CLOのエクイティートランシェに投資するファンドに資金をつぎ込んでいる。この資金流入により、ゴールデンツリー・アセット・マネジメント、スカルプター・キャピタル・マネジメント、カーライル・グループ、CVCクレジット・パートナーズなどのヘッジファンドや資産運用会社が、こうした投資に特化したファンドに1年足らずで少なくとも31億ドルを集めた。

エクイティー部分は、レバレッジドローンをさまざまな安全格付けの債券にパッケージ化したCLOの一部で、実際には超劣後債の一種。支払いを受ける順番が最後で、損失を被るのは最初になるため、非常にリスクが高い。裏付けになるローンからの利益の取り分が大きく、10%台半ばから後半のリターンが約束されている。

エクイティートランシェのファンドの投資家は通常、他のヘッジファンド、ファミリーオフィス、政府系ファンドなどだったが、より高い利回りが期待できることから、従来リスクを回避してきた多くの資金が引き付けられるようになった。最近の年金基金からの需要の高まりは、大きな買い手が加わる可能性を意味する。高リスクという性質のためにこれまで調達が困難だったCLOエクイティーファンドの資金プールはより大きくなっている。

CLOエクイティーファンドに資金を集める側は、リスクを十分に説明していると言うが、投資家の中には、こうした投資に群がる年金が、常に期待に応えてきたとは言えないリターンのために、過剰なリスクを負っているのではないかと懸念する者もいる。

ニューヨークを拠点に35億ドル以上の資産を運用する機関投資家、アリーナ・インベスターズの創業者で最高経営責任者(CEO)のダン・ズワーン氏は、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)が1.5-2%と推計するレバレッジドローンの低いデフォルト率が、この資産クラスの広範な欠点を覆い隠している可能性があると指摘する。

デフォルト率が低いから大丈夫だという「見せかけの安心感」があるとズワーン氏は言う。「しかし、問題はデフォルト率ではなく回収率と実際の損失だ」と同氏は述べた。

ズワーン氏によれば、デフォルト率が低いのは、債権者の保護が年々劣化し、借り手の債務条件違反を理由に債務不履行を宣言することが難しくなっているからだという。JPモルガン・チェースによると、ジャンク債とレバレッジドローンの回収率は、直近12カ月でそれぞれ33.1%と41.7%と、25年間の平均である40%と63.5%から低下している。

ズワーン氏は「返済期限延長と見せかけ、そして 『負債管理』が行われている。これは、痛みが先送りされ、回収率が予想よりずっと低くなることを意味する」と語った。10%台前半のリターンでは、CLOエクイティーのリスク・リターンは最悪だと付け加えた。

原題:Hedge Funds Draw Pension Money to a High-Stakes CLO Strategy(抜粋)

--取材協力:Carmen Arroyo.

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最終更新:5/10(金) 20:47

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