5%の利回りでアクティブファンドに投資家誘う-ピムコなど債券大手

4/19 21:50 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、ブラックロック、キャピタル・グループなど債券ファンド大手が、利回りが5%になる可能性をちらつかせて、アクティブ運用の債券ファンドに資金を呼び込もうとしている。顧客は注目している。

1-3月(第1四半期)には約900億ドル(約13兆9000億円)がアクティブ運用債券ファンドに流入し、3カ月間の流入額として2021年半ば以降の最大となった。利回りが過去20年間で最も高い水準にある現在、ファンドマネジャーは米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げをする前に投資家が大きなリターンを確定する好機だとみている。アクティブ運用者とっては、ゼロ金利に近い状態が何年も続いたために利回りに飢えていたポートフォリオを立て直すチャンスでもある。

ロサンゼルスを拠点とする債券大手キャピタル・グループの債券事業開発責任者、ライアン・マーフィー氏は、今回の新規資金流入は「数四半期、数年にわたる長期的な現金離れのトレンド」の始まりを意味すると述べた。同氏によれば、多くの投資家はまだ慎重に現金資産を選好しているが、債券の利回りが上昇していることから、より多くの投資家がより長期の債券に資金をシフトさせるはずだという。「投資家は債券から、ここ20年で最高のリターンを得ている」とマーフィー氏は述べた。

1-3月の流入額は相当なものだったが、債券ファンドマネジャーが本当に狙っているのは、投資家がマネー・マーケット・ファンド(MMF)に滞留させている約6兆ドルの資金だ。

18日に発表された最新のデータによると、MMFからは17日までの週に、2008年9月以降で最大の資金が流出した。

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今年これまでにはMMFのほかアクティブおよびパッシブ債券ファンドに資金が流入し、投資家が一部の株式やプライベート資産へのエクスポージャーを減らしていることがうかがわれる。

米利下げ開始時期の予想が後ずれし利下げ回数見通しも切り下げられ続けている現在は、個人投資家が債券を買うには難しい時期だ。また、ゆがめられた債券価格と信用の質を選別し、真の機会を見つけるのは容易ではない。

これらは全て、アクティブ運用者に有利に働く。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントでマルチセクター債券投資の責任者を務めるリンゼー・ロスナー氏は先週のインタビューで、「全体像としては、利回りは魅力的であり、このような環境では、(異なる国や企業、指数の価格差から利益を得るために)アクティブ運用者である必要がある」と述べた。

EPFRがまとめたデータによると、米国の債券ファンドと債券上場投資信託(ETF)を合わせると、第2四半期に約1590億ドルの資金流入があった。パッシブファンドが690億ドルだったのに対し、アクティブファンドは約900億ドルとその半分以上を占めた。アクティブ債券ファンドがわずか190億ドル、パッシブファンドが2790億ドルを集めた昨年とは対照的だ。

第1四半期は、ピムコ、ブラックロック、キャピタル・グループ、PGIM、JPモルガン・チェース、フィデリティ・インベストメンツ、ジャナス・ヘンダーソン・グループなどのアクティブ運用ファンドに資金が流入した。

1兆2000億ドルの資産運用について機関投資家に助言し、自らも約860億ドルを運用するウィルシャー・アソシエーツでは、伝統的なコアおよびコアプラス債券戦略のポートフォリオマネジャーを探す手助けを顧客が求めていると、伝統的債券調査担当シニア・バイス・プレジデントのウィル・ベック氏が述べた。

アクティブ債券マネジャーは通常、米国債、住宅ローン担保証券、社債へのエクスポージャーをシフトさせることで、ブルームバーグ総合債券指数をアウトパフォームしようとする。

アクティブ運用者らは、経済と高インフレ、FRB政策の紆余(うよ)曲折を乗り切る自信を見せているが、最も困難な挑戦は、ほとんどリスクを取らずに5%以上の利回りが得られるマネー・マーケット口座かもしれない。米投資信託協会(ICI)によると、これらの口座は今年これまでに約800億ドルが流れ込んでいる。

ブラックロックの社長兼共同創業者のロブ・カピト氏は今月、少なくとも今のところ現金資産の利回りは「非常に魅力的」であり、「債券への資産配分の増加を遅らせている」とアナリストに語った。同時に、パフォーマンスの高いアクティブファンドへの関心も高まっていると指摘し、イールドカーブが変化し始めればアクティブファンドにとって有利になると思うと述べた。

原題:Bond Funds Dangling 5% Yields Lure Cash Back to Active Managers(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:4/19(金) 21:50

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