「授権資本」ってどういう意味ですか？

Question

「授権資本」ってどういう意味ですか？資本金とはどのように違いますか？どうぞ宜しくお願いします。

fk0******** · Accepted Answer

授権資本を理解するにはまず授権資本制度を理解されるとよろしいかと思います。そしてこの制度は会社法の中で規定されています。授権資本制度とは、①公開会社において、④機動的な資金調達の観点から、②定款所定の発行可能株式数の限度内であれば、③株主総会の決議を経ることなく、⑤取締役会の決議でもって、新株の発行が可能であるとする制度です。（会社法２０１条） ①公開会社とは株式の中に譲渡制限が付されていない株式がある企業です。(会社法２条５項)つまり、譲渡制限の付されていない株式が発行される可能性があるため、株式の流動性が比較的高い企業です。流動性が高い結果、多くの株主が存在すると考えられます。譲渡制限株式の譲渡には、会社の承認が必要になり（会社法１３９条等）、株式の売買には制約があることから流動性は落ちます。 ②そして、会社は設立時に発行可能株式数を定款にて定める必要があります。（会社法３７条）うちの会社はこのぐらいの株式を発行する可能性があるということを事前に決めておくのです。 ③この時、新株の発行は会社にとって規模の拡大という大きな影響を及ぼすものです。そのため本来であれば会社の所有者たる株主の意思決定を求めるべきと考えられます。(会社の所有者は誰かという議論は様々ありますが、会社法の中では会社の所有者は株主と考えられています) ④ところが、公開会社は株式の流動性が高く、多くの株主が存在すると考えられるため、資金調達の都度株主総会を招集し、意思決定を行っていては、日々刻々と価格の変化する株式市場の元では、経営者の思うような資金調達ができません。機動的、タイムリーな資金調達が阻害される可能性があります。（公開会社の株主総会は総会の２週間前までに召集通知を株主に発送しなければならないため、準備は２週間以上前から行う必要があります。時間とお金がかかるのです。） ⑤それゆえに、新株発行の意思決定を取締役会の決議にすることにより、機動的な資金調達が可能になるのです。公開会社は多くの株主を抱えていると考えられ、取締役の人数はそれに比して少なく、意思決定が迅速に行われると考えられるのです。そしてこの時、授権資本とは取締役会で発行できる株式(数)を言います。つまり、定款記載の発行可能株式数からすでに発行された株式数を控除した範囲内の株式(数)を授権資本といいます。 EX 定款記載発行可能株式数(10,000株)－発行済株式数(3,000株)＝授権資本(7,000株) 7,000株は取締役会の裁量で発行が可能。本当は株主総会でやるべきだけど。機動的な資金調達が重要と考えます。一方資本金とは、設立や株式の発行に際して株主となるものが会社に対して払い込んだ財産の額です。（会社法445条）つまり、EXを前提とすれば、授権資本制度の下で、取締役会が５，０００株（授権資本）の新株発行を決議することによって100,000円(5,000株×例えば20円)の増資（資本金の増額）を行うというイメージです。なので授権資本は資本金の一種というわけではなく、取締役会が授権した取締役会の意思決定で発行できる株式数が授権資本です。簡単に言えば、授権資本が「数」、資本金が「額」というイメージでしょうか。

fk0********さん

回答日：2009/12/20

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質問した人からのコメント

fk0305112000さん、大変丁寧に教えてくださってありがとうございます。 tiebo5963さんもとってもわかりやすくありがとうございます。理解できました。助かりました・・。お二方また宜しくお願いします☆

回答日：2009/12/21