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三菱UFJが4期連続過去最高益 今後の業績や株価に注目|注目企業の決算レポート

三菱UFJが4期連続過去最高益 今後の業績や株価に注目|注目企業の決算レポート

日本最大の金融グループである三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>が好決算を発表し、株価は上場来高値を更新しています。時価総額は40兆円超えで国内4位。派手な値動きはないものの、累進的配当や自社株買いなどを打ち出し、株主還元にも積極的な企業です。同グループの歴史は古く、三菱財閥の創業者である岩崎彌太郎氏が1880年に三菱為換店として創業したのが出発点。そんな日本を代表する金融グループについて、株式投資に強いファイナンシャル・プランナーとして有名な市川雄一郎氏にお話を伺いました。

情報提供元:All About編集部
取材日:2026/5/28
※掲載情報は取材日時点のものです。

利ざやの拡大もあり、業績は絶好調。4期連続の最高益更新へ

三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>は、銀行や信託、証券、カードなど総合的な金融サービスを展開する日本最大級の民間金融グループです。主要グループ会社には、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングスのほか、高配当銘柄としてNISA(少額投資非課税制度)でも人気の三菱HCキャピタル<8593>もグループ関連企業です。米国やアジアなど海外での展開も積極的で、特に米国では、投資銀行業務を展開するモルガン・スタンレーと戦略的資本提携を結んでおり、グループ全体の利益を押し上げています。

グループ収益の稼ぎ頭である三菱UFJ銀行は、三菱銀行、東京銀行、三和銀行、東海銀行が合併・統合して誕生した国内最大のメガバンクで、2018年に「三菱東京UFJ銀行」から現在の「三菱UFJ銀行」へ行名が変更されました。ちなみに、三菱銀行は三菱財閥の創業者である岩崎彌太郎(1835年~1885年)が1880年に三菱為換店として創業したのが発祥とされています。

そんな長い歴史を持つ「三菱UFJフィナンシャル・グループ」が、5月15日に2026年3月期(通期)の決算を発表しました。海外における買収案件の収益貢献に加えて、円金利上昇影響の取り込みや利ざや改善などもあり、当期純利益は2兆4,272億2,900万円(前年比30.3%増)で着地。続く2027年3月期も2兆7,000億円(前期比11.2%増)を見込むなど4期連続で過去最高益を更新する見通しです。

三菱UFJフィナンシャルグループの業績推移

※過去3年間の3月期実績と2027年3月期の業績目標(出典:同社の決算短信より作成)。経常収益と経常利益は未発表。

「2026年3月期の決算では、銀行セクター全体が相対的に良かったわけですが、中でも三菱UFJフィナンシャル・グループは時価総額でも国内トップの金融グループですし、他行と比べて海外展開に積極的ですので、グローバルな視点で見ても投資家の注目度は必然的に高まります。今後は日銀(日本銀行)が金利を引き上げていく中で、さらなる利ざやの拡大が期待されます。また、他行と比べて大手企業への貸し付けが大きいことや、国内外のプロジェクトファイナンスでトップクラスの収益を維持できている点も同社の魅力と考えています」(市川氏)

ここでいう「利ざや」とは、預金金利と貸出金利の金利差による利益のこと。一般的に、金利上昇は製造業をはじめ多くの企業にとってネガティブ要因と捉えられますが、銀行や生損保会社などは利ざやの拡大が期待できるため、利上げが追い風になる業種とされています。国内では、6月16日に行われる日銀金融政策決定会合での利上げが織り込まれつつありますが、米国でもインフレの高止まりから利上げの可能性が高まっています。

「米国でも、原油価格高騰によるインフレの高止まりなどもあり、目先は"利下げができない状態"が続いています。これが長引けば、当然、米国でも利上げが視野に入ってきます。ただ、トランプ大統領は基本的には利下げを望んでいますので、そのあたりのかじ取りが気になるところです。足元の経済的な状況を考えれば、インフレを抑制するためにも利上げをするのが当たり前なのですが......。最終的に米国が利上げとなれば、現地で投資銀行業務を展開するモルガン・スタンレーの収益拡大が見込めますので、三菱UFJフィナンシャル・グループの業績に寄与することになるはずです」(市川氏)

累進的配当に加えて、自社株買いなど株主還元にも積極的

株式市場で同社と比較されて語られるのは、ライバルの三井住友フィナンシャルグループ<8316>です。13倍前後のPER(株価収益率)や1.5倍程度のPBR(株価純資産倍率)、約3%の配当利回りといった株価指標はほぼ同水準で、株価推移も似たような形状となっています。ただ、2027年3月期の当期純利益の予想を比較すると、三菱UFJフィナンシャル・グループの2.7兆円(11%増)に対して、三井住友フィナンシャルグループが1.7兆円(7%増)と大きな差が見られます。

「まず株価指標についてですが、6月上旬現在、東証プライム市場のPER平均は約17.5倍、PBR平均は1.8倍程度です。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループのPERは13倍程度、PBRは1.57倍ですので全体相場と比較しても割安に見えます。ちなみに、ソフトバンクグループ<9984>のPERは30倍超、PBRは2.71倍もあります。では、三菱UFJフィナンシャル・グループの株価が市場平均に向かって水準訂正されるかというとそれは難しいかもしれません。というのも、株式市場全体からすると割安感こそありますが、今の水準が銀行セクターの基準と考えられるからです。AIや半導体などの成長企業と比べて期待値は高く持てませんので、PERやPBRといった株価指標は低くなりがちです。ですので、今後株価が上昇していくためには業績の拡大を伴う必要があります」(市川氏)

一方、同社の配当利回りは3%超と、プライム市場平均の2.5%前後や日経平均採用銘柄の平均1.6%前後を上回っています。長期的に高い配当を享受しながら、緩やかな株価上昇というダブルメリットを狙っていく戦略もおもしろそうです。

「当分、モノやサービスの価格が上昇していくインフレが続きそうですから、0.3%程度の銀行預金だけでは資産は目減りする一方です。極端な話、銀行にお金を預けるより、その資金で銀行株を買って放置しておいたほうが効率的にお金を増やせるのではないでしょうか(笑)。三菱UFJフィナンシャル・グループは、減配(配当を引き下げること)をせずに維持または引き上げる"累進的配当"を打ち出していますので、NISAを活用して、積立投資を行うのも投資妙味がありそうです。高配当に加え、自社株買いなど株主還元にも積極的ですので、長期投資には向いている銘柄だと思います」(市川氏)

前向きな経営が場合によってはリスク要因になることも

では、同社にとって懸念材料はあるのでしょうか? 金利の引き下げが行われれば、利ざやが縮小し、利益をむしばむことになりそうですが......。

「金利の引き下げは当然ですが、それ以外にもいくつか懸念材料は存在します。例えば冒頭でも触れたように、同社は大手企業への貸し付けが多いという強みがありますが、これは一方で弱みにもなります。貸し付けが多いということは、企業の財務安全性を測る自己資本比率の低下にもつながるからです。ただ現状では、『前向きな経営を行っている』と評価できると思います。また、アジアなどで積極的にプロジェクトファイナンスを行っていることもリターンとリスクの両面があります。例えば、中東情勢の悪化でアジア各国の経済が失速すれば、プロジェクトが中断されるなどのリスクも考えられるからです。もちろん、このあたりについては、経営陣も十分に理解しているはずですが......」(市川氏)

一方、足元の全体相場はスピード違反的な上昇を演じ、三菱UFJフィナンシャル・グループも構成銘柄となっている日経平均株価は6月3日に6万9,000円台に迫る動きとなっています。マーケットでは、高値警戒感も出ている中で株価だけがどんどん上がっていく状況です。

「高値警戒感ということでは、株式市場全体の信用取引の買い残が急激に増えている点には要注意です。5月末現在、買い残を売り残で割った信用倍率は7倍を超えています。つまり、売り残に対して買い残がその7倍もあるということです。信用取引は基本的に反対売買によって決済されますので、買い残は将来の売り圧力になります。回転が効いてうまく回っているうちはいいのですが、何かショック的な事象が起こった場合には、一斉に売られて、全体相場が急落するリスクも考えられないわけではありません」(市川氏)

派手な動きはないものの長期上昇トレンドが継続か

三菱UFJフィナンシャル・グループの株価は、5月20日に上場来高値となる3,170円を記録し、その後も高値圏での推移が続いています。今後の株価推移について、市川氏は以下のように分析します。

「同社の株価は年初から30%弱、過去1年間では約60%も上昇しています。AI(人工知能)や半導体関連の銘柄からすると物足りないように感じられますが、高配当銀行株としては満足のいく値動きだと思います。今後も、派手ではないものの上昇トレンドが継続していく中で、目先は3,500円が1つのターゲットとなりそうです。高市早苗政権では、メイド・イン・ジャパンを世界に広げていこうという政策を打ち出していますので、モノづくり企業に対しては国からもお金が出てくるはず。銀行もお金を貸しやすくなるはずですから、よほどの有事がない限り、銀行セクターは伸びていくと見ています」(市川氏)

最後に、今回の好決算を受けて、三菱UFJフィナンシャル・グループのホームページ上のトップメッセージが更新されていましたので簡単にご紹介しましょう。メッセージは、同社の代表執行役社長でグループCEO(最高経営責任者)である半沢淳一氏によるもの。

要約すると、2026年を最終年度とする中期経営計画において、「成長を取りにいく3年間」と位置づけており、戦略の柱である「成長戦略の進化」「社会課題の解決」「企業変革の加速」を掲げ、着実に成果を積み上げてきたとのこと。今期は純利益2兆7,000億円、ROE(自己資本利益率)12%程度を目標とし、成長志向のビジネスモデルへの進化を一段と加速させ、挑戦を結果につなげることにもこだわりながら、さらなる成長を創り上げていきたいとのことです。今後の同社の業績や株価には要注目です。

市川雄一郎

ファイナンシャル・プランナー

日本FP協会会員、日本FP学会会員。国家資格1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)と世界24カ国のFP国際資格CFP®取得。学位はMBA/経営学修士(専門職)。投資教育の第一人者として、GFS(グローバル・ファイナンシャル・スクール)の校長を務める傍ら、ソフトバンクグループが創設した私立大学であるサイバー大学でも教鞭を執る。また、金融機関主催の講演や、TBSドラマ・劇場版『トリリオンゲーム』および日本テレビ系「ちはやふるーめぐり」の投資監修、ラジオパーソナリティ、TV番組への出演、新聞、雑誌への寄稿などメディアでも活躍。主な著書に『投資で利益を出している人たちが大事にしている45の教え』(日本経済新聞出版)、『知識ゼロからの株で3000万円貯める技術』(幻冬舎)などがある。

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【編集部より】
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取材・文:三枝 裕介

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