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AI戦略、検証・事業拡大・利益成長の3段階で進行 エクスモーション<4394>
投資情報サービスを提供するウエルスアドバイザー株式会社が作成したレポートです。エクスモーション<4394>の業績動向や財務状況、事業環境を分析し、今後の見通しを投資判断の参考情報としてレポートいたします。
※本記事は2026年7月30日時点で作成されたレポートをもとに構成しています。
業績ハイライト
・第2四半期は増収増益で計画上ブレ着地
26年11月期第2四半期累計(25年12月-26年5月)の連結業績は、売上高706百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益97百万円(同30.2%増)となり、期初計画(売上高702百万円、営業利益82百万円)を上回って着地した。生成AIによるソフトウェア開発が広がりをみせるなか、従来からの自動車メーカーからは自動運転やSDV(ソフトウェアによって定義される自動車)開発支援などの継続案件があり、ほかの産業分野からも、半導体製造装置やフィジカルAIのAI活用支援の依頼が急増。売上面ではコンサルティング事業が計画以上に好調で、全体をけん引。ストックビジネス型で、生成AIを活用した要件定義支援サービス「CoBrain(コブレイン)」や、eラーニングサービス「Eureka Box(ユーリカボックス)」は利益に貢献した。
26年11月期の連結業績予想は、売上高1,451百万円(前期比4.7%増)、営業利益204百万円(同7.7%増)を据え置いた。
・AIビジネスの成長に確信、株主優待制度を導入
26年11月期より株主優待制度を導入する。毎年11月末現在で1単元(100株)以上保有の株主に、一律1,500円相当のデジタルギフトを贈呈するもので、直近の株価から算出した配当金と合わせた総合利回りは5%前後となる。優待制度の導入は株主層の拡大や流動性向上を目的としているが、これまで仕込みや検証を進めてきたAI活用ビジネスについて、今後は右肩上がりではなく指数関数的な成長が期待できると判断し、事業成長への確信を深めたことも理由のひとつだ。
同社のAI関連分野の売上高は、この1年半で約2倍に拡大した。2026年を「検証」、2027年を「事業拡大」、2028年を「利益成長」の年と位置づける。今回の増収はその移行を後押しする材料だ。足元では生成AIの性能向上により、汎用AIでも十分と考える顧客企業も存在するものの、同社は長年培ってきた組込みソフトウェア開発や製造業向けコンサルティングの知見を強みとしている。AIを単に導入するだけではなく、品質や安全性を担保しながら活用するノウハウは、汎用AIにはない同社独自の価値となる。
顧客企業の導入を促進させるためにも、引き続き生成AIを活用した要件定義支援サービス「CoBrain(コブレイン)」の機能拡充に注力する。MCP(Model Context Protocol)への対応などを進め、顧客が利用するAI環境から同社サービスを活用できる仕組みを整備することで、利便性向上と差別化を図る。また、AIエージェントの普及を見据え、専門的な知見を持つAIサービスとして進化を目指す。
また、これまで顧客に対しては部門レベルでサービスの導入などを進めてきたが、全社レベルでの提案に切り替えていく計画。経営層が関与することで導入判断が進みやすくなるほか、横展開がしやすくなり、標準化や競合との差別化も期待される。
従来、同社のコンサルティングはソフトウェア品質向上という「リスク低減」の側面が強かったが、AIの登場により「開発スピード向上や生産性向上」という成長投資としての需要が拡大している。AIを活用し、人手に依存しない形で顧客支援を広げることで、さらなる成長余地が期待される。
ウエルスアドバイザー(WA)では、27年11月期に26年11月期比で2ケタ増収増益との見通しを据え置き、エクスモーションの想定株価レンジについても、過去のPERや業界平均のPERを参考に算出した600-800円(前回は株式分割前で1,200-1,600円)を据え置く。足元の株価とのカイ離が大きいため、投資判断は「Overweight」を継続する。(宮川 子平)
企業概要
組込みソフトの設計技術に特化したコンサルティング会社。自動車産業向けのウエートが高く、SUBARU<7270>などを主要顧客に持つが、近年は医療機器、FA(ファクトリー・オートメーション)、建設機械など先端的な技術コンサル案件も増えている。コンサル内容は、多様なユーザーニーズに対応し問題の仕組みや検討過程を可視化、組織のナレッジとして資産化する「モデリング技術」が中心。
特に自動車分野で大きな実績を有しており、上流工程を中心とした開発技術の導入を支援している。コンサルで実績のあるソリューションの一部は有償で利用できるようにツールとしても提供。また、実践型ナレッジ提供サービス「Eureka Box(ユーリカボックス)」をリリースしている。
事業環境と成長戦略
同社が各種調査をまとめ作成した資料によると、EV(電気自動車)とSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の市場規模は22年に356億ドルだったものが32年には1兆7,168億ドルを突破するとみられている。特にOTA(Over The Air:インターネット経由でソフトウェアを更新する技術)を使って車を制御するソフトウェアを更新できるSDVの開発が主流になり、今後のSDV市場は年間20%近い成長を続ける見通し。この市場には自動車メーカーや関連部品メーカー、組込みハードウェア・ソフトウェア開発企業、ITシステムベンダーなど様々なプレーヤーが存在する。
自動車産業は裾野が広く、関連部品メーカーなどユーザー企業ではIT化が遅れ、ベンダー企業であるシステムインテグレーター(SIer)にITシステム構築を依頼するケースが多い。ただ、ユーザー企業側がITシステムの不具合を知っても問題の全容がつかめず、ベンダー企業側は限られた利益水準内で多重下請けに出し問題解決が遅れるなど、課題を抱えるケースも目立つ。同社はこうした課題を抱えるユーザー企業の状況改善を共に行う伴走型コンサルに強みを持つ。
ユーザー企業のITスキルが高まれば、SIerにITシステム構築を全面委託する需要は減り、段階的に内製化を志向する動きもあるという。同社はSIerのようにシステム構築を受注するプレーヤーではないが、SIerビジネスの拡大・縮小、ユーザー企業の内製化など潮流がどう変わっても、伴走型コンサルというポジションでユーザー企業の最適なニーズに応え、業績成長を遂げていく考えだ。
投資判断のポイント
・アナリストピックアップ情報
・リスク要因
同社の売上高は自動車業界向けが大半を占めている。自動車業界が推進する自動運転等の技術や開発現場で起こる問題点等に対して、提案や支援を行っているが、技術開発が一段落したり、現場支援のニーズが減少したりするようなことがあれば、業績に大きな影響を与える可能性がある。この他、技術人材の確保や人員流出などのリスクも要注意。
・競合他社比較
比較企業は、IT系の伴走型コンサルのフューチャー<4722>、ユーザー企業にシステム開発発注支援コンサルティングなどを提供するULSグループ<3798>を選定した。
※ULSグループは2025年10月1日に1対10の株式分割実施、エクスモーションは26年6月1日に1対2の株式分割実施
成長性・収益性・財務安定性
・成長性
今後の事業環境の変貌を見据えてコンサルティング事業におけるストックビジネス化を進めるため、26年11月期は生成AI活用にリソースを振り分ける計画。売上高成長率は4.7%(前期は7.9%増)、営業利益成長率は7.7%(同22.1%)、EPS成長率が4.2%(同28.4%)に落ち着く見通し。ストックビジネス化への転換の成果は今期中にもみえてくるとみられ、まずは既存の「CoBrain」などの動向を見守りたい。
比較企業のうち、ULSグループは27年3月期で2ケタ増収増益を予想。エンジニアやコンサルタントの積極採用と人材育成などにより、持続的な事業成長の基盤を強化する。
・収益性
26年11月期の売上高営業利益率は14.1%(前期は13.7%)とやや上昇する見込み。ビジネスモデルの転換でストックビジネスの伸長と、「CoBrain」の開発がひと段落ついたことにより利益率が改善するとみている。25年11月期の自己資本当期利益率(ROE)は7.8%(24年11月期は6.3%)、総資産経常利益率(ROA)は10.7%(同9.1%)と、いずれも24年11月期から向上した。
・財務安定性
エクスモーション、ULSグループは有利子負債がなく、財務面での不安は小さい。エクスモーションは「CoBrain」の受注で前受金が増え、流動負債がやや膨らんだものの、25年11月期の自己資本比率が89.9%(24年11月期は90.5%)、流動比率が885.0%(同941.3%)と、競合と比較しても高い水準を維持した。エクスモーションは創業まもなくリーマンショックがあり、直接的な影響は小さかったものの、将来の資金制約リスクなどに備えて現預金を多く保有している。
ウエルスアドバイザー・エクイティ・リサーチレポートの用語説明・読み方(外部サイト)
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2026/09/10更新