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Yahoo!ファイナンス つみたてNISA特集

“預金だけ”は黄色信号? 自分のお金に働いてもらう時代へ

突然のインフレと急激な円安。「お金は預金しておけば元本割れしないし安心」という方もいるでしょう。しかし、今年に入ってからさまざまな商品が値上げされ、以前と同じ商品を同じ金額で買うことができなくなっています。そう、お金の価値が急速に下落しているのです。

お金を増やすためには「投資」もひとつの方法だと聞くものの、投資って怖くない? 投資っていったい何から始めたらいいの? そう悩んでいる方も多いはず。そんな方はまず、投資初心者さんでも始めやすくメリットが多い「つみたてNISA」を知るところから始めてみてはいかがでしょうか。

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目次

  1. 国が認めた商品限定? 円安でも始めやすい? つみたてNISAのメリットとは

  2. つみたてNISAの始め方簡単2STEP

つみたてNISAとは?

つみたてNISA(少額投資非課税制度)とは、投資で増えた分のお金に税金がかからない制度のことです。通常であれば、投資によって増えた分のお金である利益には、20.315%の税金がかかりますが、このつみたてNISAを利用して投資すると、開始から最長20年間、利益を非課税で受け取ることができます。

また、つみたてNISAは毎年最大40万円まで投資が可能です。例えば、その投資額40万円に対して、5万円の利益が出たとしましょう。通常であれば、その利益額の20.315%である10,157円の税金が引かれた39,843円が手元に残りますが、つみたてNISAを使って得た利益には税金がかからず、5万円の利益をそのまま受け取ることができるのです。

例:40万円の投資で5万円の利益が出た場合 まず、通常の投資の場合、元本40万円に対して利益が5万円が出たとすると、利益5万円分に対して20.315%の税金がかかるため、手元に残るのは、課税分を引いた439,843円となります。一方で、つみたてNISAの場合、元本40万円に対して利益が5万円しても、課税されないため、手元に残るのは450,000円となります。税金がかからないからこそ、つみたてNISAを使えばお得にお金を増やすことができるのです。
つみたてNISAの非課税の仕組み

国が認めた商品限定? 円安でも始めやすい? つみたてNISAのメリットとは

メリット1:つみたてNISAは、金融庁厳選の金融商品に投資する

ファイナンシャルプランナーの高山一恵氏によると、多くの人がメリットだと感じているのは、「つみたてNISAで投資できる銘柄が、あらかじめ金融庁の定めた基準によってふるいにかけられた公募株式投資信託・上場株式投資信託(ETF)に限られていること」だといいます。

プロフィール

高山 一恵氏

ファイナンシャル・プランナー、株式会社Money&You 取締役

女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。また、『Money&You TV』や「マネラジ。」「Voicy」などでも情報を発信している。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。

プロフィール画像

高山氏 投資信託とは、運用のプロであるファンドマネジャーが、プロの視点や経験で選んだ株式や債券などに投資し、運用している金融商品です。ひとつの投資信託には、国内外の株や債券など、複数の資産が組み入れられているため、ひとつの投資信託に投資するだけで、自動的に分散投資していることになります。

投資信託のお金の流れとして、まず投資家がファンドマネジャー・証券会社などの運用のプロに対して投資を行い、その資金をもとに、今度は運用のプロが株式や債券などの商品に対して投資を行い、それにより発生した運用益を投資家に還元するもの。つみたてNISAにおける商品は、手数料が少ない、長期投資向きなどの金融庁の基準をクリアしているのが特徴。
投資信託のお金の流れ

現在、国内で運用されている投資信託はなんと6,000近くもあり、投資初心者がその中から自分に適した商品を選ぶのは至難の業です。その点、つみたてNISAで投資できるのは、金融庁が長期、積立、分散投資に合っていると判断したものに限られているのでメリットといえるでしょう。ただし、損をしないということではありませんからご注意を。

メリット2:始めやすく、必要な時にすぐに引き出せる

投資というと、500万円、1,000万円などまとまったお金が必要なイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、つみたてNISAの場合は毎月100円、1,000円、1万円と少ない額から始められる金融機関もあります。無理のない範囲で始めやすいのも初心者にとってはメリットといえるでしょう。

高山氏 資金がすぐ引き出せるというのもメリットです。とりあえず始めてみて、やっぱり引き出したいと思えば、すぐに引き出すことができます。

これなら、お金が必要になるライフイベントまでに積み立てて、必要な時に使うということもできそうです。

メリット3:円安のピンチもチャンスに? ドルコスト平均法

投資信託の価額は日々上下していますが、どんな値動きをしていても一定の金額を定期的に買い付けていくのが、「ドルコスト平均法」です。毎月、同じ金額を積み立てていくので、下がった時には多く買い付け、上がった時には少なく買い付けることができます。

つみたてNISAで毎回同じ額を積み立てることは、すなわち高い時には少なく購入でき、安い時には多く購入できるということです。
ドルコスト平均法の考え方

高山氏 投資に慣れていない方が、相場の下落局面で不安を感じてしまうのは仕方ないことです。でも、考えてみてください。安い時にたくさん買っておけば、その後、相場が上がった時に利益を得やすくなりますよね。その逆に、高い時は少ししか買い付けませんから、もし相場が下がったとしても比較的、傷は浅く済むはずです。

長期投資は、相場に一喜一憂せずに淡々と続けることが基本であり、税優遇を受けながら積立投資できるつみたてNISAは、ドルコスト平均法ともっとも相性のいい制度だといえるでしょう。

損失をなかったことにできない? デメリットも理解しよう

もちろんデメリットもあります。いくつかの証券口座を保有している場合、それぞれの口座の利益と損失を合わせて計算し、損失をなかったことにできる「損益通算」という仕組みがあるのですが、つみたてNISAでは、この損益通算を行うことはできません。したがって、損失が出れば、そのままマイナスとなってしまいます。

高山氏 これはデメリットといえるかどうかわかりませんが、年間40万円まで投資できるにもかかわらず、20万円しか使わない人もいます。この余ってしまった非課税枠の20万円は、残念ながら消滅してしまいます。たとえ枠が余ったとしても、次の年に繰り越すことができないのです。ですから、まずは無理のないように積立設計して始めることが大事ですが、最大の税優遇を受けるために、いずれは年間の最大金額を目指してほしいです。

つみたてNISAの始め方簡単2STEP

では、メリットとデメリットがわかったところで、つみたてNISAを始めるにはどうしたらよいのでしょうか? 始めるまでの流れをSTEPごとにご紹介します。

STEP1:自分に合っていそうな商品を知る

まずは「どんな商品が合っていそうか」を知るところから。以下の選び方フローチャートの質問に答えながら、商品の系統、その商品系統のなかでも代表的なものを見てみましょう。なお、選び方フローチャートに掲載している商品は、具体例として本特集のライターにより選定されたものです。つみたてNISA投資はご自身の判断で行っていただくようお願いいたします。

商品の選び方チャートです。リスクを許容してでも積極にお金を増やす投資スタイルがよい、身近な日本企業に投資したい場合は、「日本株式アクティブ型(コモンズ30ファンド等)」がおすすめです。このように、ご自身が積極的な投資スタイルを好むか安定的な投資スタイルを好むか、コストを許容してでも投資のプロに運用を任せたいか、どこに投資したいかの3点で自分にあった商品が見つかります。

1つしか選べないというわけではないので、「自分に合っている商品はこれみたいだけど他も気になる!」などの場合は、口座を開設する金融機関のなかで取り扱われていれば組み合わせて投資することももちろん可能。もっと商品について詳しく知りたい場合は、Yahoo!ファイナンス内の「投資信託詳細検索」を使ってみるとよいでしょう。

STEP2:口座を選んで運用開始!

口座選びの基準として、「自分が投資したい商品の有無」、「取り扱っているつみたてNISAの商品数」の2つを基準に見てみましょう。

Yahoo!ファイナンス内の「証券会社カタログ」では、つみたてNISAを取り扱っている証券会社の口座を詳しく紹介していますので、実際にどんな証券会社があるのかについては、ぜひこちらで詳しく見てみてくださいね。

口座と商品が選べたら、本人確認に必要な書類をそろえて口座を開設したい金融機関に申し込み、手続きの完了通知を受け取れば、つみたてNISAの口座開設完了です。

「資産所得倍増プラン」で、さらに使いやすくなる可能性も!

2021年末、日本の家計にある金融資産額が、2,000兆円を超えました。この度、政府が打ち出した「資産所得倍増プラン」は、その家計にある金融資産を「貯蓄」から「投資」へと促し、増やすことで、国力も上げていこうとするものです。

高山氏 政府が積極的に投資を促すために、つみたてNISA制度のテコ入れをする可能性があります。年間40万円の投資枠を増額する、非課税期間が恒久化されるといった話も聞かれています。

そうだとすれば、つみたてNISAはますます使いやすく、さらにお得な制度になるのかもしれませんから、今後の制度改正もしっかりチェックしてみてください。

また、自由度の高いつみたてNISAでライフイベントに備えながら、つみたてNISAと同じように税金がかからない制度であり、安全度も高いiDeCo(別名:個人型確定拠出年金)で老後に備える、といったダブル投資もおすすめ。それぞれのメリットを活かしながら、さらなる“お得”を手に入れましょう。

プロフィール

取材・文:内田 まさみ

フリーアナウンサー、フリーライター

ラジオNIKKEIや日経CNBCで投資・経済番組のパーソナリティーを務めるほか、ライターとして複数のメディアに記事を執筆するなど、多方面で活躍中。2017年11月には、初の著書となる『FX億トレ!7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』を刊行した。

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