行動経済学×AIで資産を増やす時代がやってきた!

~ココロとおカネの意外な関係~

「行動経済学」がノーベル賞を受賞

2017年10月、米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞したことで、このところ注目を集めているのが「行動経済学」です。

これまでの経済学では「ヒトは常に合理的な意思決定をする」ことが大前提となっていました。これを簡単に言うと、「ヒトはいつも正しく冷静に判断し、そのときどきでベストな行動をとる」ということなのですが、現実社会ではこんなことありえませんよね。この大前提に対して、真っ向から立ち向かったのが行動経済学なのです。

徹底解説 大学教授に聞いてみた SPECIAL TALK

大阪大学社会経済研究所教授
池田新介
関西学院大学大学院経営戦略研究科・教授
岡田克彦

今回は、日本における行動経済学研究の第一人者である、大阪大学社会経済研究所の池田新介教授と、関西学院大学大学院経営戦略研究科の岡田克彦教授に、その最前線のお話を伺いました。

行動経済学が21世紀の主役に

岡田
「ヒトが常に合理的」という考えは、それこそ教科書の1ページ目に出てくるくらいの大前提なんですね。一方その対極にあって「決して合理的とは言えない」人間の心理にスポットをあてた行動経済学は亜流ともいえる存在だったのですが、2002年に心理学者のダニエル・カーネマンがノーベル経済学賞を受賞したことで、古典的な経済学者たちの間に大きな衝撃が走りました。
その後も、2013年、そして昨年と行動経済学は21世紀に入って3度もノーベル経済学賞を受賞しているんです。
今や、21世紀の経済学ともいえる存在になりつつある行動経済学。この考えを現実社会へも応用することで、私たちの生活はより豊かになり、企業や国をも活性化できるとも言われています。

人間は弱い生きもの。それを理解するのが行動経済学。

岡田
日本は少子高齢化が進んでいるものの、じわりと経済成長率が上向いてきました。池田先生はマクロ経済を研究されていますが、ようやく「失われた20年」を乗り越えられる時代がきたのでしょうか。
池田
そうですね。20年、本当に長い低迷期でしたよね(笑)。しかし、課題はまだまだたくさんあります。若い世代の多くが将来に不安を感じていますし、個人が保有する1800兆円超の資産の大半も現金で眠ったままです。統計上の数字がよくなったからといって、人々のメンタルを簡単に動かすことはできません。
実は、マクロ経済学を考える上で、消費と貯蓄はとても重要なファクターなんですね。
例えば、貯蓄をしようと思っても、自らの力だけで計画通りに毎月決まった額を積み立てるのは難しいでしょう? 何らかの理由をつけて、減額してしまう月もある。結局、計画よりも少ない額しかたまらない人が多くなってしまう。こうした状態に陥らないように政策などで誘導してあげることで、老後に貯蓄不足で困る人を少なくできるのです。ほんの少しの誘導で大きな効果が生まれることがわかっています。
岡田
2002年にノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンも同じように分析していますね。
池田
はい。人間が意思決定する時、古い脳…簡単に言えば「本能」で決めるシステム1と、理性的に判断するシステム2のふたつが働くのですが、ご存じの通り、人は弱い生きものですから、その時々で葛藤はしても結局、システム2の「理性」は仕事を放棄し、システム1の「本能」が勝ってしまう。だから、貯蓄できない、リスク管理ができないということになるんですね。

ジェネリック医薬品の使用率を高めたのも行動経済学

岡田
そこで、システム2の「理性」が仕事を放棄しないようにコントロールする必要があると。
池田
それが、よく言われる「セルフコントロール」ですよね。ただし、個人で決めたことを最後までやり抜くのは難しいので、専門家の手を借りたり、途中でやめられないように設定された制度を利用したり、たくさんの人が集まって弱さを補い合う必要があります。
実は、企業はこの様な考え方に基づいて成り立っているとも言えるのです。
行動経済学で最初にノーベル経済学賞を受賞したハーバート・アレクサンダー・サイモンは、心理学を経営学に結び付けた学者で、企業組織がどういう風に成り立っているのかを研究しているうちに、人々が合理的に物ごとを考えるのには限界があることに気づいたんですね。だからこそ、その個人の弱さを補い合う組織が必要なのだと。
岡田
なるほど。昨年、同じく行動経済学でノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授は、その考えを進化させ、「人間は放っておくと不合理な意思決定をしてしまうから、そういう間違いをしないように、意図的に誘導したほうがいい」とおっしゃっていますね。
池田
「Nudge(ナッジ)」という考え方ですね。古くからマーケティングでも使われてきた消費意欲を喚起させる方法も、Nudgeの一部だと言えるでしょう。
米英などの先進国では、既に行動経済学を取り入れた政策ユニットが動き始めています。有名な例では、法定書類のデフォルト設定を変えるだけで、望ましい方向に誘導できることが実証されています。例えば、増加し続けている医療費を抑える必要があるとします。そのためにジェネリック薬を積極的につかってもらいたい。そのように誘導するために、これまでは医師が処方箋に「ジェネリックを使っても良い」と記すことになっていた慣習を変え、医師が意思表示しない限りはジェネリックを処方する、というようにデフォルトの設定を変更したんです。すると一気にジェネリック医薬品の使用率が向上したそうです。
この様に、生活や政策運営をよりよくする方向に導く試みはすでに日本でも行われていますし、積み立てNISAが今年からスタートしたのも、その一環だと言えるでしょう。

相場の偏りをビッグデータやAIで解析して、利益に結びつける

池田
あ、金融部門は岡田先生の専門でしたね(笑)。
岡田
ありがとうございます(笑)。確かに、貯蓄意欲を喚起してくれる、積み立てNISAなどの制度は、Nudgeそのものですね。うまく活用されれば、個人のためにも、社会的にもプラスになると考えられます。
個人はNISAのキャピタルゲインにかかる税金20%がゼロになる優遇措置が動機付けとなって、貯蓄に誘導されます。これは個人の老後を考えると大変重要なことです。貯蓄は必要だとわかっていても、どうしてもシステム1に支配され先延ばしにしてしまうのを克服できるからです。また、社会的にみれば、多くの個人が長期的に投資することで、現金で眠ったままの膨大な金融資産が、長期的に資本市場に向かうことにもつながります。個人の資産が増えるのと同時に、資本市場も活性化するという、WinWinの関係が生まれるんですね。
こうした循環はさらに良い結果をもたらします。資本市場とは、リスクマネーを供給する市場ですから、そこが活況になるということは、ベンチャー企業が資金調達しやすくなったり、新たなビジネスモデルや産業に資金が流れやすくなるということです。こうした良い循環が起きることで、日本の経済全体を元気にできるんです。
池田
個人と資本市場がWinWinの関係だということが重要ですね。富があるところから別のところに移転するのではなく、誰にとっても利得がある状態になるという点がポイントだと思います。
岡田
はい。おっしゃる通りですね。これまでは、20年間に及ぶデフレによって株価は上がらず、個人は株式投資を信頼できませんでした。リスクはあっても、報われる市場だという実感が持てなかったからです。しかも、たくさんある金融商品のほとんどが、金融業界が手数料を稼ぐための投機的な商品で、最終的に個人投資家は大きな損失を被りました。この20年間で、リスクマネーを供給する資本市場と金融機関は、信頼を失い、その結果個人の金融資産はほとんど現預金に偏るという事態になったのだと思います。
ただ、ようやく最近になって、株価が上昇トレンドを描き始め、少しずつ投資に興味を持つ人たちが増えてきました。だからこそ、金融業界にとって都合のいい商品ではなく、個人に寄り添った「資産形成」できる金融商品を増やすべきなのです。
池田
そういう意味では、ビッグデータやAIの発達、データ処理能力の向上が金融商品を劇的に変えるかもしれませんね。
岡田
その可能性は高いと思います。株価が上昇しすぎたり、下落しすぎたりする相場の「行き過ぎ」は、合理的でない人間が参加しているからこそ生じるものです。この人間の非合理性は系統だって起こるので、部分的には予測することが可能です。こうした相場の偏りを正しく知ることができれば、それを利益に結びつけることができるのです。
近年、こうした「偏り」をビッグデータとAIで解析する投資アプローチを採用するところが増加し、米国にはいい成績を上げるヘッジファンドが出始めました。間違いなく今後は運用の世界の新しいトレンドになっていくでしょう。
池田
偏りを見つけたご褒美が、儲けというわけですね(笑)。残念なことに、みんなが気づいてしまったところで、その偏りはなくなってしまうんですよね。
岡田
はい(笑)。ただし、偏りを見つけることは、偏りを修正するきっかけになりますから、資源配分を効率化することになり、無駄の少ない経済社会を創ることができるのです。
残念ながら、日本にはこの行動経済学の考え方を取り入れたファンドは、まだ多くありませんが、国内の課題を解決する力になると確信しています。
現在、投資環境は良くなってきています。1950年以降、過去のどの地点から毎月の積み立てを始めたとしても、現時点では利がのっている水準まで株価が上昇してきました。バブルの絶頂期から積立をはじめたとしても利がのっているのです。日本の資本市場もようやく、失われた20年を乗り越えられたということでしょう。
池田
でも、投資する企業を選んだり、タイミングを計ったり、個人が自らの力だけでアクティブ投資をするのは簡単ではありません。だからこそ、最新のテクノロジーを用いて運用するプロをうまく利用して、資産形成してほしいですね。
岡田
はい。いよいよそういう時代が来たと思っています。

社会はますます成熟し、所得も増えず、預金金利も上昇しない時代が、これからも続くと言われています。だからこそ、眠っているお金を効率的に働かせ、資産を増やさなければなりません。
そんな環境の中、テクノロジーの発達が投資の世界を一変させるようになってきました。投機というイメージを持たれることが多かった「株式投資」も、今、大きな変化の時を迎えています。その流れに気づいた人だけが、チャンスを手に入れることができる---。この機会に、投資の進化を感じてみてください。

池田 新介(いけだ しんすけ)
大阪大学社会経済研究所・教授

1957年大阪生まれ。神戸大学経営学部卒、大阪大学博士(経済学)。行動経済学会会長、公認会計士二次試験委員、文科省科学官など歴任。現在、日本経済学会代議員、行動経済学会常任理事。国際査読誌に論文多数。著書:『自滅する選択 先延ばしで後悔しないための新しい経済学』東洋経済新報社、2012年(第55回日経・経済図書文化賞);The Economics of Self-Destructive Choices, Springer 2016 。

岡田 克彦(おかだ かつひこ)
関西学院大学大学院経営戦略研究科・教授

博士(経営学)神戸大学 MBA(ワシントン大学)。Morgan Stanley New York/Tokyo 及びUBS証券でデリバティブトレーディングの責任者、シンガポールのヘッジファンド運用会社の経営者などを歴任。現在、行動ファイナンス理論と人工知能を組み合わせてポートフォリオ構築を行う投資顧問会社(株)Magne-Max Capital Management社のCEO/CIO兼務。2015年同社は、Yahoo! JAPANの連結対象グループ企業となり、ビッグデータを活用した資金運用で日本の金融イノベーションを強力に推し進める。専門は行動ファイナンス。

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記事提供:内田まさみ

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