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投稿コメント一覧 (6コメント)

  • 医薬品の審査を行う独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)は22日、新型コロナウイルスワクチンの治験の有効性評価を大幅に簡素化する方針を公表した。血液中に含まれる抗体の量が、承認済みのワクチンと同等以上かなどを調べることで承認申請を可能とする。開発中の国産ワクチンの審査を加速する狙いがある。

     同機構によると、従来の治験は、最終段階でワクチン未接種の人を対象に、ワクチンを接種するグループと、偽薬を接種するグループに分け、それぞれの発症者数などを比較して効果を確かめることを求めていた。しかし、国内のワクチン接種率が向上するにつれ、治験に参加できる人が少なくなり、実施が事実上困難となっていた。

     そのため、ウイルスの細胞への侵入を防ぐ「中和抗体」の量が、国内で承認済みのワクチンと同程度か上回る場合、承認が可能になるとした。

     有効性は、原則として同様の製法の先行ワクチンと比較して検証することを求めているが、該当する先行ワクチンがない場合、異なるタイプのワクチンと比べることも可能とする。通常数万人必要な参加者数を「3000人以上」に縮小することも認めた。

     同機構の担当者は「国内メーカーなどが偽薬を使った治験を実施できない中、今後は新たな基準をクリアすることで審査が可能となる」と話している。

  • 日刊薬業より
    国産ワクチン開発の課題克服へ 政府関係者やアカデミアが取り組み紹介
    2021/10/15 21:06

     新型コロナウイルス感染症の流行で顕在化したワクチン開発の課題を踏まえた今後の取り組みについて、政府関係者やアカデミアが紹介するプログラムが15日、横浜市で開催されたバイオジャパン2021であった。西村秀隆内閣官房健康・医療戦略室次長は「将来のパンデミックに備えワクチンを開発、供給する能力を持つことは重要。経済安全保障の課題と捉え、基盤をつくるところまでやっていきたい」と述べ、予算を拡充していくとした。
     政府は2021年6月に「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を閣議決定した。戦略の狙いについて、西村氏は依然として新型コロナの国産ワクチンが出てきていない現状を踏まえ、将来の危機に備え▽ワクチン開発の拠点をつくる▽戦略的な研究費の配分を行う体制を日本医療研究開発機構(AMED)に設ける▽国内外での治験環境の充実▽創薬ベンチャーの育成―などを行っていく方針をあらためて示した。
     政府が、20年度第3次補正予算までに新型コロナ関連の研究開発費として計1930億円を拠出していることや、6月に閣議決定したワクチン強化戦略の各事業について現在各府省で予算要求していることも説明した。
     AMEDの城克文理事も登壇し、AMEDが開発費を支援する国産ワクチンについて、開発者に3カ月に1回AMEDの委員会が助言を行うとともに、ファンドを使って医薬品医療機器総合機構(PMDA)の助言を無料で受けられるよう手配しているとした。
     さらに将来のパンデミックに備え緊急時にワクチンをいち早く国民に届けるためのファンディング機能を備えた先進的研究開発戦略センター(SCARDA)をAMED内に設けるべく、資金配分の仕組みや運用方法の詳細について検討しているとした。
     国産ワクチンの開発が遅れた理由について、大阪大大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学の森下竜一教授は「日本は新興感染症が過ぎ去ったものという考えでアカデミア、ベンチャー、企業も十分な体制がなかった」と述べた。
     その上で、政府のワクチン強化戦略はこうした課題に対応する内容になっており、科学技術の結集にアカデミアの立場から協力していくとした。同時に現在アンジェスと共に開発を行っているDNAワクチンの早期実用化を目指すとした。

  • Late breaking abstracts 楽しみですね。

  • 政府は、ワクチンの承認審査のあり方を見直す方向で近く本格的な検討を始める。新型コロナウイルスのワクチンの承認が欧米から2カ月ほど遅れたことが背景にある。これまでよりも迅速な承認をめざすが、安全性との両立が最大の課題だ。
     新型コロナのワクチンは欧米では昨年12月に米ファイザー製などの使用が認められ、接種が進んだ。
     一方、日本で新型コロナのワクチンが初めて承認されたのは、ファイザー製で今年2月。5月に入り、米モデルナ製、英アストラゼネカ製が続いた。いずれも、海外で販売が認められた医薬品について、国内の審査を迅速に進める「特例承認」が適用されたが、それでも欧米から2カ月遅れになった。
     遅れの理由の一つと指摘されているのが、厚生労働省が国内の治験データの提出を企業に求めたことだ。審査を担当する医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、ワクチンの有効性や安全性には人種による差もあるとして、海外で有効性が認められたワクチンでも、国内でも治験が必要と判断した。
     一般的にワクチンは健康な人にも広く接種するため、高い安全性が求められる。日本では過去に接種後の副反応などで訴訟が相次いだ経緯もあり、安全性への意識が強いと指摘されている。今回は「m(メッセンジャー)RNA」など新しい技術が使われ、慎重な扱いを求める声もあった。
     海外に拠点を置き、世界を広く市場ととらえるメガファーマ(巨大製薬企業)から購入するという事情も影響した。ファイザーは海外で4万人あまりを対象にした臨床試験(治験)の結果をもとに昨年12月に承認申請。だが、アジア人のデータは少なく、中でも日本人に限定して調べてはいなかった。このため、日本人160人を対象にした国内の治験データを同社が今年1月末、追加で提出。その後、承認された。
     だが、パンデミック(世界的大流行)の中、海外で有効性が認められていれば国内治験を不要としていいのではないか、との意見も政権内にある。
     国内治験を求めるかどうかは、PMDAの判断で決めることができる。法改正などは必要なく、現在の制度でも省くことは可能だ。厳密な手続きを踏む治験を増やすのは、企業にとって負担が大きい。厚労省幹部は「大規模治験のデータがあるのに、さらに国内の治験データが本当に必要とするのか、ワクチンの安全性と審査スピードのバランスをどう考えるのか、検討する意味はある」と話す。

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