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ロシア産原油に対する欧米の制裁で原油価格が急騰する中、OPEC加盟国のアラブ首長国連邦(UAE)が増産支持を表明した。今後は増産協議の行方が焦点となりそうだ。

 「われわれは増産を支持し、OPECに増産検討を働き掛ける」。UAEのアルオタイバ駐米大使は声明でこう述べ、31日に予定するOPECプラスの次回会合に向けて一石を投じた。

 ロシアのウクライナ侵攻と欧米の制裁をきっかけに、原油価格の代表的な指標となる米国産WTI先物は一時、1バレル=130ドル台と約13年8カ月ぶりの高値を記録した。1970年代の石油危機の再来を危ぶむ声が強まり、エネルギー価格高騰による世界経済の失速に懸念が広がった。

 OPECプラスは今月2日、ウクライナ情勢の影響を考慮せず、昨年8月から維持している毎月日量40万バレルずつ引き上げる小幅な増産方針を据え置いたばかり。ウクライナ侵攻が激しさを増し、ロシア産原油を回避する動きが世界的に広がる中、米国やドイツなどが産油国に追加増産を働き掛けていた。

 しかし、OPECプラスの生産能力には限界もある。現在でさえ国内事情で生産目標を達成できない加盟国が多く、余力を持つ国はサウジアラビアやUAEなどに限られている。サウジ国営石油会社サウジアラムコのナセル最高経営責任者(CEO)は8日、「われわれの余剰生産能力は日量200万バレル程度だ」と明らかにした。

 ロシアの原油輸出量は石油製品も含め日量約700万バレル。このうち、約500万バレルが「買い控え」の対象になっているとされる。代替は余剰生産能力だけでは不十分で、米国の経済制裁で産油量が落ち込むイランやベネズエラの制裁解除に加え、米国などでのシェールオイル開発の加速も必要となる。

 グランホルム米エネルギー長官は9日のイベントで「この危機的状況ではより多くの供給が必要だ」と述べ、企業の石油開発を後押しする姿勢を鮮明にした。ただ、今から投資を始めても産油量の増加には一定の時間がかかるため、即効薬にはなりそうにない。