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(株)コメダホールディングス【3543】の掲示板 2016/08/05〜2016/09/09

「コメダ愛」。リオ五輪でメダルをとった女子選手の名前ではない。名古屋栄町のキャバクラ嬢の名前でもない。名古屋発のコーヒーチェーン「コメダ珈琲店」を愛してやまない人たちの想いを指して、そう呼んでいる。

コメダ珈琲店は不思議なお店だ。

コーヒーチェーンでありながら、はっきり言って「コーヒーはおいしくない」と多くのファンが認めている。しかし、毎日のように通ってしまう「コメダ中毒」者などのリピーターに支持されている。

Twitterでは「#コメダ珈琲」「#コメダ愛」といったハッシュタグで、ファンは「コメダ愛」を共有している。今回は「コメダが愛される秘密」に迫ってみよう。

■コメダはコーヒーでなくスペースを売る


コメダ珈琲店の魅力とは?「コメダ愛」「コメダ中毒」の秘密に迫る(写真= ZUU online 編集部) ((ZUU online))© (ZUU online) コメダ珈琲店の魅力とは?「コメダ愛」「コメダ中毒」の秘密に迫る(写真= ZUU…
コメダ珈琲店は、名古屋ではスターバックスよりも人気があるそうだ。コメダはコーヒーでなくスペースを売っており、それが「コメダ中毒」「コメダ愛」を生み出す要因とみられる。

Wi-Fiがあり、新聞雑誌があり、ゆったりとしたソファがあり、座席に高めのパーティションがある。地元に愛される親しみやすさ、ゆったりとくつろげるスペースが売りなのだ。コメダ珈琲店は回転率を度外視しているようで、何時間でも気持ちよく過ごさせてくれる。

珈琲店でありながら、フードメニューの人気も高い。

名古屋風のみそカツサンド、ハンバーガー、フィッシュフライバーガーはありえないぐらいデカい。小倉あんのトースト、シロノワールなどのスイーツ系メニューも充実している。

名古屋式ともいうのか、開店から11時までは全てのドリンクに「焼き立てのトースト」と「温かいゆで玉子」などが付く無料の「モーニングサービス」もうれしい。

こうした過ごしやすさ、フードメニューがファンの「コメダ愛」を育み、「コメダ中毒」者の心を奪う理由なのだろう。

■コメダは新規上場で公募価格割れ

コメダ珈琲店をフランチャイズ展開するコメダホールディングス<3543>が東証1部に上場したのは今年6月29日。上場時の株式売出の公募価格が1960円だったのに対し、上場当日は売り気配で始まり、公募価格を93円(4.7%)下回る1867円で初値がついた。

ただ公募価格を下回ったからといって、コメダの人気や実力がないと見るのは早計だ。

読者のなかには、新規上場はかなりの確率で値上がりするとの話を聞いたことがあるかもしれない。しかし、この「神話」はあくまでも新興市場銘柄が中心の話だ。今年前半の日本市場でのIPOは39社。そのうち新興市場への上場は32社で平均初値は82%上昇している。

一方、東証1部、2部への直接上場はコメダを含めて7社。平均初値は2%の下落だった。全部のIPOが上がるわけではないのだ。

直接東証1部や2部に上場するには、株主数2200人以上、流通株式が2万単位以上、上場時の時価総額が250億円を超えることなど厳しい基準がある。東証1部に上場承認されるということはすでにある程度確固とした業界での地位を確立している会社であり、同業他社比較も容易であるため公募価格と初値がそれほど乖離しないことが多い。新興市場の会社と違い流通株式も多いため、上場日は売り圧力も出やすいのだ。

初値後のコメダは7月1日高値2001円まで買われた後、7月20日安値1785円まで下げ、その後は1850円をはさんだ展開となっている。

■コメダの株価は既存店と新店の動向をチェック

ところで、ユニクロのファーストリテイリング<9983>が月次の既存店売り上げ動向で株価が大きく動くのをご存知だろうか?

小売業、外食チェーン店などでは、本業の好調さを見るのに既存店という新規出店を含まない売上の月次動向が注目される。前年同期の実態の比較がしやすいからだ。

コメダの株価を見る上でも、一番のポイントとなるのは既存店の伸びだ。同社は毎月12日頃に前月の既存店動向を開示する。コメダのホームページのIRライブラリーでチェックすることが可能だ。コメダの既存店は今期3月から7月で100.0%。前年同期間比まったく同じペースで推移している。

小売り業、外食チェーンなどを見る上で新店出店動向も鍵となる。既存店の伸び以外で積極的な出店ラッシュでトップラインの売上が伸びることも成長のドライブとなるからだ。コメダの新規店を含む全店の売上は、新規出店効果で111.3%と伸びている。6月末現在の店舗数は686店、上場で得た資金と知名度を利用して今後5年間で1000店に増やす計画だ。

コメダ株に投資するならば、既存店の動向、新店出店動向を同業他社と比較し、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標が、成長に比べて割安なのか割高なのかを比較することが基本になる。

是非、コメダや大好きな外食チェーンの既存店の売上動向をチェックしてみよう。思いのほか、株価に連動していることに気がつくかもしれない。

■コメダは東日本、西日本に積極出展中

コメダは1968年に名古屋で始めた喫茶店が始まりである。名古屋を中心としたフランチャイズ展開で成長した。

先に述べたように、6月末のコメダ珈琲の店舗数は686店。うち343店と半分が中京地区だ。名古屋においては全駅にコメダがあるといったイメージらしい。現在は、東日本、西日本に積極出店をしている。今後5年間で1000店まで伸ばす計画だ。

8月には初の北海道店をオープン、道内初上陸とあって地元メディアの報道で話題となり開店8時間前から顧客が並び始めオープン前には60人以上の行列が出来た。また、初の海外店を今年上海にオープンしている。まだまだ成長の可能性はありそうだ。

■株主優待は「KOMECA」年間2400円、実質配当利回り4%

コメダは、上場に伴い株主優待を導入した。2月年度末および8月の中間期末の1単元(100株)の株主に対し、コメダで利用できるプリペイドカード「KOMECA」1200円分か、自社製品詰め合わせセットのいずれかをもらえる。今回が初めてなのでどんな詰め合わせ商品になるかも楽しみだ。

現在のコメダの株価は1836円(8月23日)。配当は年50円なので配当利回りはグロスで2.72%となる。さらに、年間2400円のKOMECAをもらえることを考えれば1株あたりの年間配当は74円となり実質配当利回りは4.03%となる。コメダ中毒者にとっては長期保有するのに魅力的な利回りかもしれない。

「コメダ愛」や実質配当利回り期待で株主になるものありだ。こういった観点から株式投資を楽しむのも一つのスタイルである。

平田和生(ひらたかずお)

慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。