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iPS-NKT細胞療法の非臨床試験について誤解があるようなので一言。

一般的に他人の細胞を由来とする他家のiPS細胞療法では、様々な組織(心筋、網膜、神経等)に分化させる元になるiPS細胞の起源はどの細胞でも使えます。実際には健常人の上皮細胞由来のiPS細胞をマスターセルバンク (大元の均質なiPS細胞バンク)を京都大学CiRA(iPS細胞研究所)で作り、それを多くの治験・治療で共有して使っています。大日本住友製薬や日立がこれらプロジェクトに関わっています。

それに対しiPS-NKT細胞療法では、健常人から採血しNKT細胞を増幅し、そのNKT細胞を元にiPS細胞に初期化し、この細胞をマスターセルバンクにする必要があります。このマスターセルバンクを作っているのが横浜の理研で、一般的なiPS細胞マスターセルバンクとは別にNKT-iPS細胞マスターセルバンクと呼んでいます。

NKT-iPS細胞マスターセルバンクのがん化やウイルス感染を含む安全性評価は他のiPS細胞とは異なりゼロベースで進める必要があり、そのためにAMEDの潤沢な資金と5年以上の歳月が使われました。iPS-NKT細胞療法の非臨床試験がほぼ終わりに近づいたことは大変な偉業です。その臨床結果が判明するまでまだ数年の時間が掛かりますが、iPS-NKT細胞療法自体はすぐに他の組織なり企業が真似をしてできることではありません。