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以下に書くことは、会社からの正式発表に基づいたものではないですし、私の勘違いも数多く含まれていると思われるので、興味のない方はどうか無視してください。

今さらITK-1の話題を蒸し返すのもアレなんで黙っておったんですが、今年の夏ごろ、はたして医療関係者がITK-1の臨床試験結果に関して情報を発信していないものかとネット検索していたところ、1件あったのです。Pharm Tech Japan Onlineというサイト(日刊薬業の姉妹サイト 無料会員登録要)で、20数年以上、バイオ医薬品の研究開発に取り組んでおられたバイオコンサルタントの岡村 元義さんがコラム(2018/07/06)を書いておられてました。岡村さんのご意見は、ITK-1前立腺がんの臨床試験で、適格基準としてなぜ白血球数の検査値を設定していなかったのか、多くの被治験者にがん細胞を撃退するために十分な白血球数がなかったのはないかというものでした。
検索ワード ⇒【コラム】バイオコンサルタントの視点 ペプチドワクチンはがんに効果がないのか?著者:岡村 元義

各臨床試験の適格基準を調べたところ、確かに前立腺がんの臨床試験では、白血球数の検査値が適格基準に設定されておりませんでした。それに対して神経膠芽腫の第三相では白血球数やリンパ球数の検査値を適格基準に含めていました。9種の悪性腫瘍 探索第2相ではさらにMCP-1検査値まで指定されてました(MCP-1は単球・リンパ球の遊走を引き起こすケモカインだそうです)。

ITK-1 前立腺癌 第3相(JapicCTI-132199) - 血清テストステロン(男性ホルモンの一種)、血清PSA値(前立腺特有のたんぱく質の一種)
ITK-1 神経膠芽腫 第3相(JapicCTI-111726)- 白血球数、ヘモグロビン量、血小板数、血清クレアチニン、総ビリルビン、AST, ALTなど
9種の悪性腫瘍 第Ⅱ相(UMIN000029789)- 白血球数、リンパ球数、血色素濃度、血小板数、クレアチニン、総ビリルビン、末梢血中MCP-1値

この白血球数を適格基準に加えなかったことは、①試験結果にはまったく影響がない ②痛恨の治験設計ミス ③目標の被治験者数を集めるために致し方なかった のいずれか興味があります。

ところで久留米大学では、がんワクチンと免疫チェックポイント阻害薬との併用について、どのように考察していたのでしょうか?2015年11月25日発行の「久留米大学がんワクチンセンターNEWS 第2号」で伊東先生が寄稿されていました。リンパ球減少症の患者には、抗PD-1抗体やPPVの効果を期待し難いのではないかというお考えです。

引用⇒ このPPVの特徴は、活性化・記憶T細胞をがん局所へ速やかに侵入させることです。そのためPPVと抗PD-1抗体併用はがんの局所にリンパ球が存在しない方にも有効であると想定されます。しかし何らかの理由でリンパ球の少ない方(リンパ球減少症)では、抗PD-1抗体もまたPPVの臨床効果も期待し難い(効果の遅延もしくは無効)と想定されます。
検索ワード ⇒ がんワクチンセンターNEWS 2号

米国で実施しているGRN-1201の臨床試験についても、血液検査の適格基準を確認しました。
Phase 1 Study of GRN-1201 in HLA-A*02 Subjects With Resected Melanoma(NCT02696356)- ヘモグロビン量、血小板数、白血球数、リンパ球数
GRN-1201 With Pembrolizumab in Subjects With Metastatic PD-L1+ NSCLC(NCT03417882)- 絶対好中球数(好中球数は白血球数の測定値より計算で求めることができるそうです)

GRN-1201の臨床試験では、免疫アジュバントとしてGM-CSF(仏サノフィ社のロイキン)を併用しています。以下がGM-CSFについての説明です。
”GM-CSFとは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子のこと。白血球(特に顆粒球とマクロファージ)の生産量や血小板になる細胞の産生量の増加を促進する物質。造血因子という種類のサイトカインである。「granulocyte-macrophage colony-stimulating factor(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)」、「sargramostim(サルグラモスチム)」とも呼ばれる。GM-CSFは内皮細胞、単球、線維芽細胞やT-リンパ球で産生される。また、好中球の移動を阻害したり成熟細胞の機能的な活性を強める。”

適格基準の設定やGM-CSFの併用によって、白血球減少症やリンパ球減少症の問題をクリアできていればよいのですね。さらにGRN-1201は4種のペプチドがあらかじめ固定で決まっているそうなので、できるだけ多くの患者さんでT細胞の活性化をできることを願います。