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(株)フルッタフルッタ【2586】の掲示板 2019/07/07〜2019/12/30

アミロイドβの毒性配座理論を基盤としたアルツハイマー病の新しい予防戦略
研究課題

研究課題/領域番号
26221202
研究種目
基盤研究(S)
配分区分
補助金
研究分野
生物有機化学
研究機関
京都大学
研究代表者
入江 一浩 京都大学, 農学研究科, 教授 (00168535)
研究分担者
久米 利明 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (10303843)
清水 孝彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (40301791)
徳田 隆彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80242692)
村上 一馬 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80571281)
喜田 昭子 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (70273430)
研究期間 (年度)
2014-05-30 – 2019-03-31
研究課題ステータス
交付 (2018年度)
配分額 *注記
164,450千円 (直接経費: 126,500千円、間接経費: 37,950千円)
2018年度: 27,300千円 (直接経費: 21,000千円、間接経費: 6,300千円)
2017年度: 23,400千円 (直接経費: 18,000千円、間接経費: 5,400千円)
2016年度: 23,400千円 (直接経費: 18,000千円、間接経費: 5,400千円)
2015年度: 24,180千円 (直接経費: 18,600千円、間接経費: 5,580千円)
2014年度: 66,170千円 (直接経費: 50,900千円、間接経費: 15,270千円)
キーワード
脳神経疾患 / アルツハイマー病 / 有機化学 / 核酸アプタマー / 抗体 / 脳脊髄液 / 毒性オリゴマー / アミロイドβ / アルツハイマー / 毒性ターン / オリゴマー / 神経細胞毒性
研究実績の概要
アルツハイマー病(AD)の原因物質である42残基のアミロイドβ(Aβ42)は、2、3量体を基本単位としてオリゴマー化することにより神経細胞毒性を示す。その際、Glu22及びAsp23付近にターン構造を有する毒性コンホマーがオリゴマー化しやすい。本研究では、毒性コンホマー特異的に結合する抗体ならびに核酸アプタマーを開発し、ADの迅速診断に応用することと、毒性コンホマーをとりやすいE22P-Aβ配列をノックインした新規ADモデルマウスを作出し、機能性食品成分による予防効果の検証を目的としている。
今年度はまず、E22P-Aβ42の34番目および40番目において、長さの異なるリンカーでそれぞれ架橋した2量体モデルを合成したところ、40番目で架橋した2量体モデルがSH-SY5Yに対してモノマーと同等以上の細胞毒性を示した一方で、34番目で架橋した2量体の毒性は低かった。そこでE22P-Aβ42の40番目で架橋した2量体モデルより調製したプロトフィブリルに対する核酸アプタマーの作製を試みた結果、プロトフィブリル特異的なクローン3種を得ることができた。さらに、E22P-Aβ40のC末端領域において、3価性の1,3,5-phenyltrisalanine linkerで架橋した全長Aβの3量体モデルを世界で初めて合成することに成功した。
一方、ヒト型E22P-Aβのヘテロとホモのノックインマウスを、それぞれ複数匹以上得ることができた。ヘテロノックインマウスについては、6ヶ月齢でも脳内のアミロイドが蓄積しない一方で、毒性オリゴマー量が多いことを確認した。また、本研究代表者らが開発した抗Aβ毒性オリゴマー特異抗体・24B3を用いて、ADモデルマウス(Tg2574)に対する受動免疫を行った結果、各種異常行動の改善が認められた。さらに、数種の機能性食品成分のマウスでの体内動態を調べたところ、アオジソ由来のカルコン誘導体が抱合体として脳に取り込まれていることが明らかになった。
現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、毒性コンホマーに固定したE22P-AβのC末端で架橋した2量体モデルが、顕著な神経細胞毒性を示すことを明らかにした。今年度は、3価性のphenyltrisalanine linkerを用いてE22P-Aβ40のC末端領域(34-38番目)で架橋した3量体モデルを複数合成することに成功した。全長Aβ40の3量体モデルの合成は世界初であり、2量体モデルとの比較により毒性オリゴマーの実態が明らかになるものと期待される。
昨年度、本研究代表者らが開発したAβの抗毒性ターン特異抗体・24B3と市販のN末抗体(82E1)を用いたサンドイッチELISA(24B3-ELISA)によるヒト脳脊髄液を用いたAD診断は一定の成功を収め、国内外の複数の研究グループによってもその有効性が報告された。今年度は、高感度のシモア装置(デジタルELISA技術を用いた新規イミュノアッセイプラットフォーム)を用いて、24B3抗体によるAD診断の可能性を、規模を拡げてヒト脳脊髄液を用いて検討した。その結果、AD患者に含まれる毒性コンホマー量(毒性ターン構造をもつAβ量)が、対照群(ADでない人)よりも有意に高いことが明らかになった。将来、血漿を用いたAD診断への応用が期待できる結果である。
一方、24B3を用いて、ADモデルマウス(Tg2576系統)に対する受動免疫を行った結果、複数の異常行動の改善が認められた。本抗体をヒト化することにより、AD治療に応用できる可能性がある。また、ヒト型E22P-Aβ42(毒性ターンをとりやすい変異)配列をノックインしたヘテロノックインマウスの更なる交配により、10匹のヘテロノックインマウスと2匹のホモノックインマウスを得た。今後匹数を増やすことができれば、最終年度内に、Aβオリゴマーの脳内蓄積量の定量や行動試験を完了できる見通しである。
以上により、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
今後の研究の推進方策
全長Aβ40の3量体モデルの合成に初めて成功したので、Aβ42についても対応する3量体モデルを合成し、これまでに合成した各種2量体モデルの各種生物活性、物理化学的性質を比較することにより、毒性オリゴマーに関する詳細な知見を得る。
また、京都府立医大に設置されているシモア装置(デジタルELISA技術を用いた新規イミュノアッセイプラットフォーム)を用いて、ヒト脳脊髄液よりも簡便で侵襲性の低い血液(血漿)において、毒性コンホマーの検出を試み、実用的な早期AD診断の可能性を探る。なお、これらのヒト試料を用いた研究計画は、京都府立医科大学ならびに京都大学の医の倫理委員会により承認されている。
さらに、E22P型(毒性ターンをとりやすい)のコントロールとなるE22V型(毒性ターンをとりにくい)Aβ42配列をノックインした新規ADモデルマウスの作出を行う。これらのノックインマウスにおいても、Aβオリゴマーの脳内蓄積量の測定や行動試験を行う。
評価記号
評価結果 (区分)
A: 当初目標に向けて順調に研究が進展しており、期待どおりの成果が見込まれる
報告書 (7件)
2017 実績報告書 研究概要(研究進捗評価) ( PDF ) 研究進捗評価(評価結果) ( PDF )
2016 実績報告書
2015 実績報告書
2014 研究概要(採択時) ( PDF ) 実績報告書