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【君にひかれて】①   副題:カブ・ストーリーは突然に 作:鳥山ペプチ  全2回

君の名は。・・・江成(えなり)スー・・・僕と同じ名法高校の同級生。僕たちは将来の日本の電気関連を担う電子科の学生だった。

僕たちは偶然に吹部で出会った。中学時代からスタジオシャブリの「天空の城アピタ」の中で主人公のバズーが吹くラッパにほのかなあこがれを抱いていた。そんなこともあり、僕はトランペットを吹くという動機だけで吹部の門をたたいた。

中学時代はなんちゃってサッカー部で、実質帰宅部の僕はそれほど体力は無かった。だから、文化系の部活なら体力的な問題は無かろうとたかをくくっていたのだが、それが大間違いとうことに入ってから気づいた。その時の詳細は省くが、待望のトランペットに触れたのは入部から3か月が経った夏休み前のことだった。

入部当初から江成スーの美貌は同級生の中では際立っていた。隣のクラスだったので、部活で知り合うまでは隣のクラスに美人がいるということを喧伝する同じクラスの輩の言うことを聞き流していたのだが、実際会ってみると、すらっとした身体に、長い黒髪に、細く切れ長の目、静かで大人な雰囲気に、一発でやられてしまった。

江成スーはお母さんがフィリピン人とのことなのだが、詳細は知らなかった。

吹奏楽部でもパート練習が中心で、木管のフルートの江成と金管のトランペットの僕はあまり一緒にいる機会が無かった。だから、全体練習やパート練習前の全体会が数少ない彼女の姿を拝める貴重な時間だった。

ところが、6月にとんでもない事件が発生した。

江成スーと同じクラスの池田凛太郎というサッカー部のイケメンが一緒に帰ったというニュースが梅雨のまっさかりのうっとうしい季節に僕を襲った。

このイン売(インは淫)めと僕は心の中で叫び、その日の夕食は食べられなかった。

そんなことがあってから、僕は密かなテロ行為に意識が移った。まだ一言も口をきいていない彼女の口を奪うという非常に冷酷で冷徹なテロ計画だ。

もちろん彼女と正対すらできない僕がいきなり彼女の唇を奪うなんていう少女マンガばりのことなどできはしない。

そこで、彼女のフルートをひそかになめることにしたのであった。

(鬼大尉)