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金を好む「ゴールド・バグ」の20年

金融や投資の世界で、実物資産である金投資を好む人を「ゴールド・バグ」と呼ぶことがある。バグは虫。コガネムシ、もしくは金に夢中になるイメージもあるだろうか。

コロナ禍の世界はゴールド・バグの大繁殖だ。ニューヨーク金相場は史上初めて1トロイオンス2000ドルを突破。金地金の直接保有だけでなく、上場投資信託(ETF)などを通じてマネーが押し寄せた。

コロナ危機で落ち込んだ需要を埋めるため各国の財政は急膨張し、中央銀行が未曽有の金融緩和で支える。金利が消えるどころか、紙の通貨の価値がこの先目減りするのではないか。資産を守る手段として金が急浮上している。

金には消極的だった米投資家のウォーレン・バフェット氏でさえ、金鉱株への投資を始めた。ウォール街のご意見番、バイロン・ウィーン氏も最近、ドル安対策として金を保有する意義を説いた。

ただ年季の入ったゴールド・バグからすれば、金が輝き始めたのは最近ではない。起点は20年前。それはダウ工業株30種平均をニューヨーク金相場で割った「ダウ・金倍率」の動きが示す。足元は14倍に下がり、金が優勢だ。

倍率が最も高かったのは1999年の45倍。ネット株バブルの頂点で、株式が最も優位にみえた。しかしそこから低下の道をたどる。本当は経済成長の実力が落ちたのに、国の借金と金融緩和(紙幣の増刷)で需要を膨らませた。その繰り返しの20年間を倍率の低下が映す。2011年には6倍まで低下。いったん22倍まで上げたが、コロナ危機を背景に再び下を向く。

過去、最も極まったのは1930年代と80年代で、1倍台に落ちた。前者は大恐慌、後者はインフレと高失業に苦しんだ時代。ともに通貨への信頼が揺らぎ、制度が大きく変容を迫られた。いま増殖するゴールド・バグは、構造変化のにおいを嗅ぎ取りつつあるのではないか。