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【AUD】四半期国内総生産の掲示板

日銀の黒田総裁の在任期間が歴代2位とのNHKニュースの良い意味での違和感

 日銀の黒田総裁は、6日で在任期間が2940日となり、歴代2位に並びましたと6日にNHKニュースで報じられた。昭和30年代に日銀総裁を務めた山際正道に並んで歴代2位の長さとなったそうである。

 そうなのか程度のニュースではあったが、ところどころに気になる箇所があり、それを感じたのは私だけではなく、市場参加者も話題にしていた。

 日銀の黒田総裁は、2013年3月に就任。2%の物価上昇率の目標を2年程度で実現すると宣言して、就任直後に大規模な金融緩和策を打ち出し、「黒田バズーカ」とも評された。その後も、市場の意表を突く「サプライズ」の追加緩和を実施し、2016年1月には日銀史上初めてとなる「マイナス金利政策」の導入を決めるなど、積極的な金融緩和を続けてきましたが、この間、物価目標は一度も達成できていませんと、記事にはある。

 ここで物価目標の未達成を強調していた。その理由も日銀は点検などで示していたものの、特にNHKはそれについてはコメントはしていない。

 その点検について、「日銀は先月、金融緩和策の「点検」を行い、大規模緩和の長期化に備えて各種の施策の見直しを決めましたが、金融政策は一段と複雑化したという指摘も出ています」とコメントしていたのである。

 点検の内容はさておき、結果として金融緩和の深掘りを副作用を控えた上で行えるようにするため、「一段と複雑化」させたのは確かだが、「複雑化」を強調して報じたものはあまり見たことはない。

 そして、この記事では次のような表現もあった。

 「感染症の影響が長期化するなか、日本経済を下支えしながら物価目標を実現できるかに加え、金融政策の正常化に向けた道筋をどう示すのかが、引き続き課題になります。」  

 「金融政策の正常化に向けた道筋をどう示すのか」というところは実は大きなポイントとなる。しかし、現在の日銀は金融政策の正常化に向けた姿勢などは一切示しておらず、むしろ追加緩和が可能であることを強調しているかにみえる。

 何故、物価目標は達成できなかったのか。その理由は言うまでもなく、物価を自由にコントロールなどできないという現実が見えただけである。

 その時々の経済物価情勢に応じ、柔軟に金融政策を変更し、特に金融市場に対し大きな変動をできるだけ抑えることが本来、日銀の金融政策には求められる。

 つまり現在日銀が行うべきは「一段と複雑化」させることではない。必要とされるのは「金融政策の正常化に向けた道筋をどう示すのか」ということである。これを表立って日銀は表明できないものの、NHKがまったくの取材なしに記事を書いたとは思えないこともあり、それを手探りしているのではとも思わせるような記事であった。