IDでもっと便利に新規取得

ログイン


ここから本文です

3月の日銀短観では企業の「稼ぐ力」を示す売上高経常利益率が、大企業・製造業の新年度計画で上期+6.09%、下期+6.39%となった。日本企業による保守的な見通しが定着する中にあって、2013年3月以来の下期上振れとなっている。過去実績として下期にかけての改善余地は、日本株の年末高が支援されやすい。

今年は年後半にかけて内外でのコロナワクチンの普及拡大や経済対策効果の表出、半導体不足の緩和が見込めるほか、当座は想定為替レート比でのドル高が下方修正の制御と上方修正余地の期待につながる。

米国では3月に成立した1.9兆ドル(約210兆円)などの経済対策が、年後半にかけて実際的な効果を発揮していく。欧州でもECBのラガルド総裁が3月、EUによる7500億ユーロ(約97.5兆円)規模の復興基金の先行き稼働を勘案しながら、「景気回復が本格的に始まるのは年下期から」という見通しを行っている。

日本経済の年後半にかけては、内外でのワクチン普及拡大や内外リベンジ消費、半導体不足の緩和といったプラス材料が期待されやすい。日本では7月から規模縮小ながらも、東京五輪が開催の方向となっている。政治的には10月までが衆院の任期となっており、それまでの感染抑制策や景気浮揚策の増強、間接的な株高維持策も想定されそうだ。

その中で最新3月の日銀短観では、企業の稼ぐ力を示す売上高経常利益率が、大企業・製造業の新年度計画で上期+6.09%、下期+6.39%となった。下期のほうが+0.3%の上振れとなっている。ここ数年の日本企業は株主サイドの「責任ある機関投資家(スチュワードシップ・コード)制度」強化を含めた経営監視の厳格化などもあり、事前の収益計画を控え目に見積もる潮流が定着してきた。その中で3月短観時点での「下期上振れ」は、実に2013年3月以来となっている。

過去実績として上期比での下期の上振れ見通しは、年度後半入りにあたる12月に向けた日本株の「年末高」が支援されやすい。日本企業による保守的な見通しが広がる中での下期改善見通しは、実際の下期について一段の上方修正が期待できる。実際に2013年の場合、日経平均株価は月間高値ベースで3月の1万2650円から12月は1万6320円へと+3669円の年末高が形成されていた。

その前の3月短観における下期上振れには2011年、2008年があったが、それぞれ震災とリーマン・ショックといった特殊打撃に見舞われている。その前の2007年も8月からサブプライム危機に直面したが、日経平均は3−7月の間に+737円幅の上昇となっていた。その前の2006年の場合、日経平均は6−12月の間に+1591円の上昇という「年末高」が観測されている。

今年の3月短観の場合、業種別でも売上高経常利益率の新年度計画で、上期比での下期上振れセクターが散見されている。現状からの関連株の上値余地残存に期待をつなぐものだ。
具体的には鉄鋼が上期−3.44%から下期+1.24(下期は上期比+4.68)、自動車が+2.98%から+6.67%(+3.69%)、はん用機械が+8.58%から+11.97%(+3.39%)、金属製品が+3.75%から+5.17%(+1.42%)、生産用機械が+8.30%から+8.39%(+0.09%)、といった尻上がり計画の業種が見られている。

しかも今年度の4月以降の場合、当座は想定為替レート比でのドル高が企業収益の下方修正リスクを制御させていく。のみならず米国を含めた海外経済の年下期回復を見据えると、想定レート比での実勢ドル高や実勢ユーロ高といった上振れが、企業収益の上方修正を引き出す可能性も残されている。

今年3月短観で大企業・製造業の想定ドル/円レートは、2021年度通期が105.38円となっていた。翌4−6月期の実勢ドル/円レートは、ドル安値が2日アジア市場時点で110.43円前後となっている。あくまで現状段階ながら、早くも+5円の為替差益となっている。
 こうした四半期ベースでの「翌期・実勢ドル/円のドル安値−短観想定ドル/円」という比較では、2017年1−3月に+5.2円幅の実勢ドル優位があった(為替差益)。当時の日銀短観では大企業・製造業の業況判断が同年3月の+12から、同年12月には+25へと改善となっている。連動する形で日経平均株価は上昇。月間高値ベースでは同年3月の1万9668円から11月の2万3382円にかけて、+3714円幅の年末高が形成されている。

その前では2013年1−3月に、+7.6円幅の実勢ドル優位があった。2013年の場合、日経平均株価は月間高値で3月の1万2650円から12月は1万6320円へと+3669円の年末高が形成されている。こうした例を含めて、短観想定レート比で翌期以降の実勢がドル高に振れる場面では、高確率で業況判断の改善と日経平均の上昇トレンドが連動形成されている。

もちろん、現在の日経平均は昨年11月以降、足元4月以降の2021年度における企業収益のV字回復を大きく織り込む形で株高が加速されてきた。月間高値比較の前年同月比騰落率は、4月2日時点で+46.7%に及んでいる。
しかし、過去の収益V字回復とその後の持続的な増益トレンド入り局面では、2013年に+68%、2006年に+54%、1987年に+53%といった上振れ例も見られている。

しかも今後は前年比で伸び率が縮小しても、「企業収益の前年比増益」や「ドル/円での前年比ドル高(=前年比為替差益)」に即した前年同月比での株高トレンドに持続余地が残されている。今年4月以降の株高余力で参考になる昨年の日経平均・月間高値は、昨年11月が2万6834円、12月が2万7602円となっていた。実際に今年が年末高となれば、前年同月比+20%でも3万2000円から3万3000円、+25%で3万3500円から3万4500円方向の株高は非現実ではない。