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なぜマクドナルドは値上げをしても客が離れないのか その強さとリスク

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  • 2025/08/05 12:58
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  • マクドナルドは世界で40000店舗、日本では3000店舗を展開する、言わずと知れたハンバーガーチェーンである。昨今の物価高騰により外食産業全体で値上げが続いており各社が客離れに苦しむ一方で、日本マクドナルドホールディングスは値上げ後も客数を伸ばしている。実際、2025年度の第2四半期累計(1月〜6月)の既存店売上高も前年比で4.9%増、客数は3.3%増となるなど好調が続いている。加えて営業利益11.8%、ROE13.3%を誇り、財務基盤も自己資本比率79%、有利子負債0と盤石である。株主優待もあり投資対象として魅力的な日本マクドナルドの強さとリスクについて考える。

    ■マクドナルドの強さの理由
    1)規模の経済
    世界で40000 店舗を展開するスケールメリットにより、マクドナルドは原材料を安く安定的に調達することができる。その優れたサプライチェーン体制が比較的安価で商品を提供することを可能にしている。値上げが続いているものの、競合他社のハンバーガーチェーンと比較すると相対的に割安であり絶妙な価格設定が消費者を惹きつけている。また平日のお昼限定の「ひるまック」はセットで600円から楽しめ、アプリでは多種多様なクーポンが配信されるなど「お得感」の演出にも余念がない。「規模の経済」による価格訴求力の高さはマクドナルドの大きな特徴の一つである。

    2)利便性の高さ
    気軽に立ち寄りやすい駅近の店舗やドライブスルーに適したロードサイド店など立地の良さも強さの理由である。都心から地方まで展開する店舗は幅広い需要を取りこぼすことがない。また事前に注文しておけばほとんど待ち時間なく利用できるモバイルオーダーの利便性の高さにも驚かされる。アプリも直感的に操作が可能で使いやすく、一度使えばその便利さから離れることは難しい。外食やテイクアウト、デリバリーなど幅広いニーズに対応しており、それぞれのライフスタイルや場面に合わせた利用が可能である。

    3)巧みなマーケティング戦略
    「月見バーガー」などの期間限定メニューによる動機づけも忘れない。「今しか食べられない」という希少性を演出し購買意欲を高めることで継続的な来店に繋げている。また、「ちいかわ」や「ジュラシック・ワールド」など人気IPとのコラボにより子どもや若者の需要も満たしている。マクドナルドは初めてハンバーガーを食べる低年齢の子どもに対するマーケティングを重視しているという。小さい頃から舌で覚えさせ、「ハンバーガー=マクドナルド」という意識を刷り込んでいるのだ。このような巧みなマーケティング戦略により子どもから大人まで幅広い客層を取り囲み、継続的な売上高の成長及び店舗収益性の向上を図っている。

    ■リスクと課題 
    1)値上げによる客離れ
    原材料費の価格高騰などによりこれ以上値上げが続き相対的な割安感が薄れると、素材にこだわった高品質な商品が魅力のモスバーガーや本格的な直火焼きパティが楽しめるバーガーキングなどの競合に顧客が流れる可能性がある。また、マクドナルドは輸入材料を多く使用しているので為替の影響を強く受けることには注意が必要である。

    2)健康意識の高まり
    人生100年時代と言われ健康寿命が重視される今、健康意識の高まりはリスクと言える。過去に起きた消費期限切れの鶏肉を使用したチキンナゲットのような問題が再発すれば客離れは避けられないだろう。実際に安心安全な商品を提供することはもちろん、そのイメージを消費者に浸透させることも今後の課題である。

    ■まとめ
    デフレ時代には外食産業各社の値下げによる熾烈な「価格競争」が繰り広げられていたが、インフレが進んだ今、より良い食体験を提供する「価値競争」へとフェーズが移行した。商品のクオリティを高めていくことはもちろん、利便性の一層の向上など満足度の高いユーザー体験をこれからも提供できるかが日本マクドナルドのさらなる拡大発展のカギである。

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