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上場来高値をつけたサンリオ株 ハローキティたちの快進撃は続くか

2025年8月18日、サンリオの株価は8685円をつけ上場来高値を更新した。これは 2026年3月期第1四半期の決算が好調だった結果であるが、短期的な過熱感から利益を確定する動きも見られたものの、現在も高値を維持している。5年ほど前には数百円台だった株価は10倍以上となり「テンバガー」も達成した。今後もサンリオの快進撃は続くのだろうか。

■好調な決算 業績と配当の上方修正
2026年3月期第1四半期の決算は、売上高が前期比49.1%増の430億9700万円、営業利益が88%増の201億9800万円、純利益が37.8%増の141億9000万円となった。特に営業利益の拡大が顕著であり、物販やライセンス事業といった本業でしっかりと稼げていることがわかる。自己資本比率も56.4%と前期末の52.9%から伸びていて財務健全性の高さがうかがえる。
好調な決算を受けて通期の業績予想が上方修正され、売上高は前回予想から4.1%増の1688億円、営業利益は12.2%増の673億円、純利益は13.1%増の475億円と、それぞれ66億円、73億円、55億円上振れした。年間の配当金も従来予想の54円から6円増の60円(前期実績は53円)となり、配当性向30%を基本とした積極的な株主還元姿勢が強調された。
業績と配当予想の上方修正は株式市場にとってサプライズとなり、さらなる投資資金を呼び込んで上場来高値を更新させるドライバーとなった。改めてサンリオの収益性や成長性の高さが評価された結果であり、またアメリカの関税政策の影響を比較的受けにくいことも株価を下支えしている要因の一つと言えるだろう。
好調な業績は「ハローキティ」依存からの脱却が進み、日本や北米、中国を中心としたグローバル規模での「複数キャラクター戦略」が功を奏した結果であると言える。2025年は50周年の「マイメロディ」、20周年の「クロミ」を中心にマーケティングが強化され、Netflixで始まったアニメ「My Melody&Kuromi」も追い風となり一層の市場規模の拡大が見込めるだろう。

■新事業への成長投資がカギ
高収益を生み出すライセンス事業を中心とした本業が好調で営業利益の成長が続いている。その利益を原資として既存事業の強化はもちろん、教育やゲームといった新事業にも大規模な投資することが可能であり、今後も世界規模での一層の業績拡大を見込むことができる。例えばゲーム事業では、国内外の開発スタジオと少なくとも6本以上の作品を共同開発しており、中長期的に売上高100億円以上を目指している。アニメ・映像事業とともに、これまでサンリオの弱みであったキャラクターのストーリ性を拡張・強化していくことは間違いないだろう。このような経営の多角化が進む中、新分野への投資が成功すれば、既存のキャラクターグッズやテーマパーク事業への波及効果も期待できる。短期的な過熱感はあるものの成長性の高さを考えると現在の株価は一概に過大評価とも言えず、今後も業績の拡大と株価の上昇が見込めるだろう。日本から世界へフィールドを広げるハローキティたちの活躍から目が離せない。

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