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なぜセブン-イレブンは競合よりも高日販・高利益率なのか?

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  • 2025/05/18 06:43
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  • 日本のコンビニ業界は、長年セブン-イレブン(以下セブン)、ファミリーマート(以下ファミマ)、ローソンのコンビニ大手3社が熾烈な競争を繰り広げてきました。
    特に、セブンは国内店舗あたりの1日の売上高(平均日販)が高く、収益性において優位なポジションを築いております。本記事は、セブンがいかにして高い収益性を実現しているのか、その戦略的・構造的な強みについて整理します。

    ■大手3社の平均日販・粗利益率はどう違う?
    セブンは1店舗あたりの平均日販が約60~70万円と、ファミマやローソン(ともに50~55万円程度)よりも高い傾向にあるようです。近年はインフレや物価高の影響もあり各社の日販は上昇傾向にあるものの、セブンは依然として平均して70万円台を維持しており、競合2社に対して約10万円もの差が生じています。また、粗利益は各社とも30%台前半をキープしていることから、セブンは高い日販規模が利益を支え、結果として高い収益性を実現させています。なぜ、同じ業態でここまでの違いが出ているのでしょうか。

    ■セブンの戦略的・構造的な強みは?
    セブンが収益性で優位を保つ背景には、以下の戦略的要因があります。

    1)圧倒的な商品開発力
    創業以来、消費者の嗜好を的確にとらえた商品開発はセブン最大の武器と言えます。特に、おにぎりや弁当、総菜などの中食商品は「セブンにしかない品質」を実現することで、消費者の強い信頼を獲得してきました。たとえば各商品の価格帯においても、多少の値上げがあっても他社にはない付加価値を訴求できるため、顧客単価が自然と上昇し日販向上に寄与しています。

    2)プライベートブランド(PB)の先行優位
    2007年に立ち上げた「セブンプレミアム」は、コンビニ市場(あるいは小売市場全体)において他社をリードする存在となりました。高品質な自社ブランド商品の拡充により、メーカーとの交渉力や仕入れコストの面で優位性を確保。競合に比べてPB商品の比率が高いことで、高い粗利益率を確保しています。

    3)ICTと物流の高度な運用
    セブンは店舗を支えるインフラ部分でも強みを発揮しています。長年にわたるデータ活用と、それに付随した物流システムを構築。POSデータによる高度な需要予測や在庫の最適化、さらに温度管理を徹底した共同配送システムにより、欠品やロスを最小限に抑えています。コンビニの事業戦略で話題になる「ドミナント戦略(方式)」はここに効いており、配送センターを中心とした集中出店によって配送トラックの稼働やそれに伴う人件費に密度の経済性をもたせ、コスト効率をあげています。
    こういった一つ一つの施策において生まれた知見やデータが長年蓄積されており、競合が追いつきにくい競争優位性を構築しているのです。

    4)フランチャイズ制度の質
    コンビニ各社は粗利分配方式(加盟店の粗利益に応じてロイヤリティを分配する方式)を採用しています。加盟店の粗利が増えるほど、本部の売上が高まるという仕組みです。
    そのため、加盟店オーナーと本部の関係性も収益に大きな影響を与える要因となっています。セブンは、契約形態やロイヤリティが競合に比べて厳しく、また競合2社と比較するとオーナーの裁量に制限が多い傾向にあります。その分、売上原価を抑制しやすい構造になっているようです。この構造は収益性こそ高いですが、リスクを伴っており、昨今のオーナー訴訟問題にもつながっていると推察されます。この点については改めてまとめます。

    あなたが考えるセブンの強みはなんでしょうか? 下記の「この記事にコメントする」で教えてください。

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