各銘柄の業績や動向を当サービスが募集したユーザーが分析した記事を表示しています。詳細はこちら V字回復を果たしたサンリオ株、「カワイイ」だけじゃないその戦略を分析 1 2 2025/06/09 10:00 rss ★ ツイート 1 Ko-haku 6月9日 10:00 近年、サンリオ株の上昇が続いている。これまでの道のりは平坦ではなく、2014年3月期から7期連続で減収減益となり、ついに2021年3月期には赤字に転落し株価も低迷していた。しかし、組織の風土改革と経営の合理化が功を奏し、その後は増収増益を続け、2025年3月期の連結純利益は前期比137%増の417億と、最高益を達成した。V字回復を果たしたサンリオの「カワイイ」だけに頼らない戦略とは。 ■世界中から愛されるサンリオ 1)高収益を生むライセンス事業 国内店舗やテーマパークの顧客も順調な伸びを見せているが、特筆すべきは営業利益の大半を稼ぐライセンス事業である。ライセンスを他社に提供するのはほとんどコストがかからず、サンリオの高収益を支える大きな柱となっている。ロイヤルティ(著作権使用料)をもらいながらキャラクターの宣伝にもなるというまさに一石二鳥のビジネスである。特にアメリカや中国での伸びが顕著であり、日本のみならず世界規模での市場拡大を見込んでいる。 2)効率的な経営 投資指標から見てもサンリオ株は魅力的である。ROE(自己資本利益率)30%という目標を定めており、実際、2025年3月期にはそれを大きく上回る48.6%を達成した。日本市場の平均が9%であることを考えると、極めて高い数値である。これはサンリオがいかに効率的に利益を上げているかを示しており、今後も積極的な株主還元などにより高水準を維持していくという。 3)MSCI指数への組み入れ また、株価指数算出大手の米MSCIが、全世界株指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」にサンリオを新規採用したことも注目すべきポイントである。これは日本株の中でもサンリオが世界的に評価されていることの証左であり、今後はインデックスに連動した買いも見込むことができる。 ■今後の展望は 1)IPのさらなる育成・強化 サンリオの代名詞といえば「ハローキティ」であるが、現在は複数キャラクター戦略を打ち出し、かつての一極集中からの脱却が進んでいる。10年前には「ハローキティ」が売上のおよそ75%と大部分を占めていたが、直近では30%ほどとなっている。「シナモロール」や「ポムポムプリン」などの既存IP(知的財産)をさらに浸透させていく一方で、2023年に誕生した「はなまるおばけ」などの新しいキャラクターにも期待したい。また、「ちいかわ」とのコラボなど、他社のIPも活用しながら、IPプラットフォーマーとしての地位確立を目指している。 2)映像作品の展開 サンリオは豊富なキャラクターを抱えている一方で、アニメや映画といった映像作品が少なく、競合他社のディズニーなどと比べるとそこが弱みとなっていた。しかし、2025年7月からNetflixでアニメ「My Melody&Kuromi」の独占配信が決定し、さらには公開時期などの詳細はまだ未定だが、ハリウッドで「ハローキティ」映画化プロジェクトが進んでいる。映像作品により世界観に深みや奥行きが出て、これまで以上に顧客の人生そのものに寄り添う存在となるだろう。 3)エデュテイメント(教育×エンタメ) サンリオは経営の多角化を進めており、その一つとして教育分野への進出が挙げられる。教育とエンタメを掛け合わせた「エデュテイメント」を掲げており、楽しみながら学ぶことのできる子ども向けの英語教材などの開発を進めている。少子化で子どもの数が少なくなっているものの、一人あたりにかけることのできる教育費は上がっているので注目すべき事業であると言える。 ■まとめ 以上のような多分野にわたる取り組みを行うことで、サンリオは10年後に時価総額を現在の3倍以上となる5兆円にする目標を掲げている。企業理念である「みんななかよく」を実現し、株主、顧客、従業員、取引先といった全てのステークホルダーが笑顔になることを期待したい。 返信する 投資の参考になりましたか? はい53 開く お気に入りユーザーに登録する この記事にコメントする 読み込みエラーが発生しました 再読み込み お客様の環境ではJavascriptが有効になっていないため、次ページを読み込むことができません。 次ページ以降のコメントを参照したい場合は、Javascriptを有効にしてください。
近年、サンリオ株の上昇が続いている。これまでの道のりは平坦ではなく、2014年3月期から7期連続で減収減益となり、ついに2021年3月期には赤字に転落し株価も低迷していた。しかし、組織の風土改革と経営の合理化が功を奏し、その後は増収増益を続け、2025年3月期の連結純利益は前期比137%増の417億と、最高益を達成した。V字回復を果たしたサンリオの「カワイイ」だけに頼らない戦略とは。
■世界中から愛されるサンリオ
1)高収益を生むライセンス事業
国内店舗やテーマパークの顧客も順調な伸びを見せているが、特筆すべきは営業利益の大半を稼ぐライセンス事業である。ライセンスを他社に提供するのはほとんどコストがかからず、サンリオの高収益を支える大きな柱となっている。ロイヤルティ(著作権使用料)をもらいながらキャラクターの宣伝にもなるというまさに一石二鳥のビジネスである。特にアメリカや中国での伸びが顕著であり、日本のみならず世界規模での市場拡大を見込んでいる。
2)効率的な経営
投資指標から見てもサンリオ株は魅力的である。ROE(自己資本利益率)30%という目標を定めており、実際、2025年3月期にはそれを大きく上回る48.6%を達成した。日本市場の平均が9%であることを考えると、極めて高い数値である。これはサンリオがいかに効率的に利益を上げているかを示しており、今後も積極的な株主還元などにより高水準を維持していくという。
3)MSCI指数への組み入れ
また、株価指数算出大手の米MSCIが、全世界株指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」にサンリオを新規採用したことも注目すべきポイントである。これは日本株の中でもサンリオが世界的に評価されていることの証左であり、今後はインデックスに連動した買いも見込むことができる。
■今後の展望は
1)IPのさらなる育成・強化
サンリオの代名詞といえば「ハローキティ」であるが、現在は複数キャラクター戦略を打ち出し、かつての一極集中からの脱却が進んでいる。10年前には「ハローキティ」が売上のおよそ75%と大部分を占めていたが、直近では30%ほどとなっている。「シナモロール」や「ポムポムプリン」などの既存IP(知的財産)をさらに浸透させていく一方で、2023年に誕生した「はなまるおばけ」などの新しいキャラクターにも期待したい。また、「ちいかわ」とのコラボなど、他社のIPも活用しながら、IPプラットフォーマーとしての地位確立を目指している。
2)映像作品の展開
サンリオは豊富なキャラクターを抱えている一方で、アニメや映画といった映像作品が少なく、競合他社のディズニーなどと比べるとそこが弱みとなっていた。しかし、2025年7月からNetflixでアニメ「My Melody&Kuromi」の独占配信が決定し、さらには公開時期などの詳細はまだ未定だが、ハリウッドで「ハローキティ」映画化プロジェクトが進んでいる。映像作品により世界観に深みや奥行きが出て、これまで以上に顧客の人生そのものに寄り添う存在となるだろう。
3)エデュテイメント(教育×エンタメ)
サンリオは経営の多角化を進めており、その一つとして教育分野への進出が挙げられる。教育とエンタメを掛け合わせた「エデュテイメント」を掲げており、楽しみながら学ぶことのできる子ども向けの英語教材などの開発を進めている。少子化で子どもの数が少なくなっているものの、一人あたりにかけることのできる教育費は上がっているので注目すべき事業であると言える。
■まとめ
以上のような多分野にわたる取り組みを行うことで、サンリオは10年後に時価総額を現在の3倍以上となる5兆円にする目標を掲げている。企業理念である「みんななかよく」を実現し、株主、顧客、従業員、取引先といった全てのステークホルダーが笑顔になることを期待したい。
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