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QDレーザー 6613の掲示板

○シリコンフォトニクス
シリコンフォトニクスによる光トランシーバの開発ターゲットは800 Gbpsに移っている。100 Gbpsをアナ ログ 2 値振幅変調で行うことは駆動電子回路の高速化の観点で困難だと予想され、多値変調、波長多重、マ ルチコアファイバを用いた空間多重、フューモードファイバを用いたモード多重など、いずれかと組み合わ せて実現されるものと予想される。また、LSIからの電気信号インターフェースとしてQSFP(quad small formfactor pluggable)やon-board opticsを用いる標準化も進められてきており、高速コンピューティン グにおける光インターコネクトの重要性が益々重要となってきている。
シリコンフォトニクスにおいて重要課題の 1 つであるレーザ光源の実装技術に関しては、PETRA が行ってい るフリップチップ実装が主流となりつつあるが、従来の化合物半導体レーザの貼り合せ技術に代わって、量子 ドットを Si 上に直接成長する技術が目覚ましく進歩してきており、実用レベルの光出力と閾値が達成されてい る。また、最近では所定位置にレーザ素子を貼り合わせるトランスファー・プリンティング技術も完成度を増 しており、光集積回路への機能デバイスの表面実装技術も今後注目される。
光スイッチの研究開発が活発化している。これは、現在データセンターなどで用いられている電気のパケッ トスイッチが帯域・遅延時間・消費電力などの観点でシステム全体のボトルネックになりつつあり、その解決 手段として光サーキットスイッチに対する期待が高まっているためである。2 次元 MEMSとシリコン導波路を 組み合わせた構成で、従来に比べて約 1 桁低損失な光スイッチが報告されており、小型・低価格・大規模化 を同時に実現できる方式として注目されている。
○量子集積フォトニクス
シリコンフォトニクスを利用した量子光回路が進展している。シリコンモノリシック光集積回路では、オンデ マンドで決定論的に単一光子の生成が可能な単一光子源の集積化が困難なため、ハイブリッド集積技術を用 いた量子光回路の実現を目指す研究が加速している。化合物半導体量子ドットからなる量子光源を用いたハ イブリッド集積量子光回路の研究が欧米を中心に進んでいる。国内では転写プリント法(後述)を用いて量 子ドット単一光子源を CMOS ファウンドリで作製した光回路に集積する研究などがある。最近の成果として注 目されるのは、MIT のグループによる AlN 光回路にダイヤモンド色中心を用いた単一光子源 128 チャンネル を集積した量子光回路の報告である。この報告は量子光源の集積にとどまるものであるが、今後量子中継器 や量子演算チップへの展開が期待されている。ダイヤモンドを用いた量子情報技術はさまざまな形で進展して おり、日本はダイヤモンドに関する高い材料技術を有するものの、その集積化をめざした取り組みでは海外グ ループが大きくリードしている。