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ゆく株の流れは絶えずして、しかも、徒然なるままに……息抜きしながら探し物を…。の掲示板

>>214

その3

次に、運用サイドから見てみましょう。投下資本は正味運転資金に固定資産・投資その他の合計と定義されます。運転資本というのは、「売上債権+在庫-支払債務」です。この図のように「流動資産-流動負債」と定義される場合もあります。投下資本というのは、調達サイドでいえば有利子負債(デット)と株主資本(エクイティー)で、運用サイドでいえば、運転資本と有形固定資産と無形固定資産・投資ということになるわけです。つまり、有利子負債と株主資本という形でお金を調達し、それが、運転資本と有形固定資産と無形固定資産・投資に形を変え、1年間で税引き後の営業利益を生み出すということになるわけです。
以上、税引後営業利益(=アウトプット)を投下資本(=インプット)で割ったものがROIC(投下資本利益率)となります。

企業経営者は、営業利益というアウトプットしか見ていないことが多いものです。しかしながら、営業利益を獲得するのに、どれだけ資本を投下しているのかというインプットにも目を向ける必要があります。営業利益を2割増やすために、投下資本を5倍にするということは、必ずしも褒められた状態ではないといえます。インプットの増加分以上にアウトプットの増加につなげていくことが大切です。とはいえ、ROICを大きくするために、投下資本を減らせば良いということをいっているのではありません。営業利益をそのままに投下資本を減らすことができれば、ROICが上がるというのはお勉強としては正しいのです。しかし、これはビジネスを静態的にしかとらえていないということができます。本来必要なインプットを減らすと、短期的にはROICが増加するかもしれません。しかし、時間差でアウトプットが減っていく、つまりROICが低下するということにも注意する必要があります。例えば、戦略コストである研究開発、広告宣伝、教育、あるいは採用、こういったインプット(=未来投資)を減らしていくと、将来のアウトプット(営業利益)に影響を及ぼします。したがって、私たちは、インプットを減らしていくということではなく、きっちりアウトプットにつながるようなインプットをしていくということが求められるわけです。

  • >>215

    その4

    お金の流れを見ると、有利子負債や株主資本という形で資金を調達(=インプット)し、正味運転資本、有形固定資産、無形固定資産・投資という形で、ぐるぐると運用され、1年間で税引後営業利益というアウトプットが生み出されるわけです。資金調達にも当然のことながら、コストが掛かります。デットにかかるコストを負債コスト、エクイティーにかかるコストを株主資本コストといいます。これを加重平均したものをWACCといいます。

    企業経営者に求められているのは、調達コストより運用利回りが大きくすること、すなわちWACC以上のROICを上げるということです。ROICの上昇を目指すのも必要ですが、WACCを下げていくということも経営者の重要な仕事ともいうことができます。