ここから本文です
3224 - (株)ヒューマンウェブ 「オイスターバー直営店舗運営・牡蠣の陸上養殖研究...etc」 新材料まとめ
投稿一覧に戻る

3224 - (株)ヒューマンウェブ 「オイスターバー直営店舗運営・牡蠣の陸上養殖研究...etc」 新材料まとめの掲示板

ヒューマンウェブ「完全に安全なカキ」陸上養殖で一年中出荷目指す
2015.4.17 05:00

 生ガキなどのシーフードを提供する飲食店「オイスターバー」を全国展開するヒューマンウェブが3月19日、東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)した。起業からほぼ15年かけて上場に至るまでには独自の工夫で安全性を確立し、生ガキの食文化を広めてきた苦労があった。新たなステップとして「完全に安全なカキ」を目指し、独自の陸上養殖によって一年中出荷できる生産体制確立に挑む。

 カキは1時間に20リットルもの海水を吸い込んではき出す。海水中の藻やプランクトンなどから栄養をとるが、陸上で繁殖した細菌などが河川に流入するとカキの体内に取り込まれてしまう。安全への取り組みはこの「カキの特性を逆に利用する」ことから始めた。
 産地から入荷したカキをセンターに集め、紫外線殺菌した海水で36~48時間処理を行う。無菌の大量の海水でカキの菌を流してしまう。14年、富山県入善町に設立した入善センターでは富山湾の200メートル以下の深海から採取した、人体に害になる菌がいない、ミネラルなどの栄養豊富な海洋深層水を使う方法も取り入れた。

 この結果、飛躍的にカキの安全性が高まり、生ガキを提供するオイスターバーを全国展開できるようになったという。

 吉田社長は「百貨店内への出店では半数で、月坪売り上げ(1カ月の単位面積当たり売上高)が、従来トップだったすし店を追い抜くほど集客できるようになった」と胸を張る。
 同社のカキの独自基準は「ノロウイルス検出ゼロ」など厚生労働省基準を上回るが、一層の安全性向上を目指して研究を進めている。広島や富山で取り組んできたのはカキの「加工」による安全性向上だが、東京大学と共同でウイルスや細菌に汚染されていない深層水を利用して、安全なカキの陸上「生産」を目指している。

 目を付けたのは、沖縄県の久米島にある海洋温度差発電のプラントに使っている深層水だ。東大は深層水の特性を生かした藻を生育する研究を行ってきた。同社はこの藻を餌にして久米島でカキ養殖を進める。
 吉田社長は「深層水の低温という特徴も生かし、養殖時の海水温を自在にコントロールして、1年に何回も安全なカキを取る技術を確立する」という。生産から加工、販売を一貫して行うカキの6次産業化の夢が間もなく実現しそうだ。